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ルノー「アルカナE-TECHエンジニアード」に試乗! F1由来のドグクラッチを採用したフルハイブリッドの乗り心地とは?

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ルノー「アルカナE-TECHエンジニアード」に試乗! F1由来のドグクラッチを採用したフルハイブリッドの乗り心地とは?

走行性能やハンドリングにも独特の軽快感が垣間見られた

ルノー「アルカナ」「キャプチャー」「ルーテシア」に設定された「E-TECHハイブリッド」は、日本市場に正規導入されている輸入車では唯一のフルハイブリッド車。また、輸入車最高の低燃費を誇り、国内マーケットでも大きな人気を得ている。そして2023年5月末、クーペスタイルSUVのフラッグシップ「アルカナ」を筆頭に、新たなグレード「E-TECHエンジニアード」が追加設定されたことから、AMWでもテストドライブを敢行することになった。

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正規輸入される唯一のフルHV車に、新グレードが登場!

これまでのルノー アルカナは、E-TECHモデル/1.3L直4ターボ+マイルドハイブリッド版ともに「R.S.Line」の名のもと、スポーティな内外装に仕立てたグレード構成とされてきたが、このほどE-TECH版は「エンジニアード」と名づけられた新グレードへと移行することになった。

これは「R.S.(Renault Sport:ルノー スポール)」の活動が「アルピーヌ」に引き継がれ、「R.S.」としてのコミットメントが満了したためとされる。

従来のR.S.ラインとの最大の違いは、内外装のフィニッシュ。たとえばE-TECHエンジニアードのフロントインテークに配される「F1ブレード」や、リアのエキゾーストフィニッシャーは「ウォームチタニウムカラー」と呼ばれるシャンパンゴールドで仕上げられるほか、インテリアにも同系色のラインやステッチが効果的に使われ、室内空間をモダンかつエレガントな雰囲気に仕立てている。

じつはこの金の差し色は、フランス本国で展開中のEV「メガーヌE-TECHエレクトロニック」のバンパーなどにも用いられているという。つまり、今後のルノーが電動化の道を歩んでいくことを語るカラーをE-TECHエンジニアードにも採用したことで、EVやフルハイブリッドがもつ「先進性」や「エレガントさ」といった表現を際立たせているとのことなのだ。

いっぽうグリルやエンブレムはグロスブラックで設えられ、スポーツ性を強調したR.S.グレードよりも、シックな雰囲気を醸し出している。

そして肝心のE-TECHパワートレインは、駆動用のメインモーターとHSG(ハイボルテージ スターター&ジェネレーター)の2モーターに、1.6Lのガソリン4気筒エンジンを電子制御ドグクラッチ マルチモードATを介して組み合わせた独自のフルハイブリッド機構。ルノー技術陣が開発に着手した際、あのLEGOブロック(!)で模型を製作してアイデアを絞り出したという逸話も残る優れモノである。

ここで貢献したのが「ルノー スポール」として長年参戦してきたF1で培われた技術。近年のF1用PUテクノロジーを盛り込んだドグクラッチに、駆動用とは別系統となるモーターを組み合わせたもので、パフォーマンスを損なうことなく実用燃費の大幅な低下に貢献しているというのだ。

さらに、多くの先進運転支援装備やBOSEサウンドシステムなど安全&快適装備も充実させたアルカナE-TECHエンジニアードの走りについて、これからさらに話題を進めてゆくことにしよう。

R.S.ラインよりも洗練度が高まった……?

2022年春、ルノー初のクーペSUVである「アルカナ」が初めて日本市場に導入された際、筆者は当初日本における唯一のバージョンだった「R.S.Line」に試乗する機会を得たものの、正直に言ってしまうと、乗る前の段階ではあまり新鮮味を感じていなかった。

フランスにおけるクーペSUVを先取りするかたわら、ルノーの歴史的名車、元祖カー・オブ・ザ・イヤー受賞車として知られる「16」を意識したと言われているボディスタイルも、近年のルノーのデザイン言語を踏襲したものと映っていた。

そして、アルカナとともに日本に初導入され、のちに「ルーテシア」や「キャプチャー」にも追加設定されてきたE-TECHは、まったく新しい設計思想に基づくフルハイブリッドと謳われながらも、プラグインHVやBEVが急速に勢力を伸ばしている現在においては、ちょっと「今さら?」な感じも否めなかったのだ。

しかし、実際にこのクルマを走らせ、ルノージャポンのスタッフから詳しい話を聞いてみると、実はハイブリッドの新時代を提案する画期的技術の結晶であることが判明した。

まずは発進時のデフォルトであるEVモードで走り出したのち、極めてスムーズに始動するガソリンエンジンは、レスポンスも非常にナチュラル。モーターの助力のおかげか、システム総出力143psという数値のわりにはトルクフルである。

また、回転が乗ってくると聞こえてくるサウンドも健康的な4気筒の快音で、われわれが長年にわたって親しんできた内燃機関由来の魅力が充分に残されている。

そしてこのシステムの最大の特徴である、ドグクラッチを使用したモーターの変速はシームレスなのにダイレクト。これまでの国産ストロングハイブリッドにも負けない快適さを維持しながら、独特の爽快感を味わうことができた。

くわえて、SUV+ハイブリッドという重量を嵩ませてしまう組み合わせであるにもかかわらず、1470kgという比較的軽めの車重に収めていることも相まって、走行性能やハンドリングにも独特の軽快感が垣間見られ、いかにもルノーらしい、あるいはフランス車らしい世界観さえ感じられる。

そして何より、プラグインHV、さらにはBEVばかりにスポットライトが当てられがちな昨今にあって、E-TECHはまったく新しい発想のもとに、従来のハイブリッドにもまだまだ伸びしろがあることを知らしめてくれたことこそが、アルカナE-TECHにおけるもっとも重要なトピックだったのだ。

都会的魅力を漂わせるエンジニアード

それから約1年を経た今回は「エンジニアード」という新グレードに移行したアルカナE-TECHに試乗することになったのだが、聞けば内外装の仕立て以外は、少なくともスペックの上ではR.S.ラインから大きな変更はないはずという。

ところが実際に走らせてみると、まだ鮮明な記憶として残っているR.S.ライン時代のアルカナE-TECHとは、明らかに異なる気がする。どこが? というと少々説明しにくいのだが、少しだけ洗練の度合いが高まっているようなのだ。

ドライブ中に耳を凝らしていると、E-TECHシステムのドグクラッチからかすかに聞こえてきた「カシャッ」という変速音も、この新型エンジニアードでは心なしか、いや明らかに小さくなったかに感じられる。

またサスペンションもタイヤも変わっていないはずなのに、乗り心地は若干よくなっている。また、ロードノイズも心なしか軽減したようにも聞こえてくるおかげで、BOSEサウンドシステムを介して耳に入ってくるFMラジオの音楽も、よりクリアに感じられた。

これが熟成というものなのだろうか……? ルノー スポール的に「ホットな」雰囲気とは一線を画し、ダークティント仕上げやゴールドの差し色で「クールな」都会的魅力を漂わせるエンジニアードには、よりマッチした走りのキャラクターを得たといえるだろう。

なお、日本における車両本体価格は469万円に設定。くわえて6月30日より販売を開始された特別仕様車「アントラクト E-TECHフルハイブリッド」は、438万円とのことである。

●ルノー アルカナ E-TECHエンジニアード(カッコ内はR.S. LINE マイルドハイブリッド) ・車両価格(消費税込):469万円(消費税込) ・全長:4570mm ・全幅:1820mm ・全高:1580mm ・ホイールベース:2720mm ・車両重量:1470kg(1380kg) ・エンジン形式:直列4気筒DOHC(直列4気筒DOHC+ターボチャージャー) ・排気量:1597cc(1333cc) ・エンジン配置:フロント ・駆動方式:前輪駆動 ・変速機:電子制御ドッグクラッチマルチモードAT(7速AT) ・最高出力:94ps/5600rpm(158ps/5500rpm) ・最大トルク:148Nm/5600rpm(270Nm/1800rpm) ・モーター最高出力:49ps/1677−6000pm ・モーター最大トルク:205Nm/200−1677rpm ・ラゲッジ容量:480L(513L) ・タイヤ:(前)215/55R18、(後)215/55R18 ・ホイール:(前)7Jx18、(後)7Jx18

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みんなのコメント

2件
  • アルカナの流れるようなクーペスタイル。ルノー伝統の脚の良さとF1由来のドグクラッチの爽快な走りは欧州車の走り。ハリアーあたりとは走りが違う。
  • 「NASAが開発した素材」と「F1で培った技術」と喧伝する商品ほど眉唾な物はない。このE-TECHハイブリッドも欧州のメディア評価はかなり微妙だし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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