バブル時代、国産「デートカー」御三家はガイシャ勢にどう対抗したのか
80年代から90年代にかけてのバブル期には、遊び人の三種の神器としてクルマがバカ売れした。ガイシャ(当時は輸入車ではなくそう呼んだものだ)では六本木のカローラことE30の2代目BMW3シリーズ、黒限定のサーブ900、メルセデス・ベンツをより身近にしてくれた、現在のCクラスの源流とも言える190E。さらに女子大生が、隣ではなく自分で運転し、キャンバスに通うためにこぞって買い求めたVWゴルフカブリオなどがその代表格だった。
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流行語まで生み出した「シーマ」
しかし一方で、ガイシャに負けじとバブル時代を象徴した、国産モテグルマがあったことを忘れてはいけない。そう、まずは80年代後半のハイソカーブームを制し、「シーマ現象」という流行語まで生み出すほどの大ヒット車となった日産最高級セダンの初代Y31型シーマである。
ガイシャ勢には3L V6エンジンのパワーで勝負。六本木や赤坂の路上で、3L V6 DOHCターボ、255ps(グロスですが)の迫力で、タイヤを鳴らしてブイブイ言わせることで、そこまでのパワーがないBMW3シリーズやサーブ900、メルセデス・ベンツ190Eを蹴散らそうとしていたのである。
もちろん、全長4890×全幅1770×全高1380mm、ホイールベース2735mmの、セドグロの上級車種ならではのゆとりあるボディサイズだから室内空間はガイシャ勢のライバル!? よりゆったり。エアサスのふわふわした乗り心地、デジタルメーターの目新しさもあって、女子に人気があったことは言うまでもない。
眼のくらむラグジュアリーそのものだった「ソアラ」
80年代を席巻した初代~2代目のトヨタ・ソアラも、当時、ガイシャに負けない女子人気を誇った、バブル期を象徴するハイソカーの代表格。とくに2800GTと呼ばれる最上級グレードのホワイトボディ(2トーン)は、夜の街にキラキラと輝く美しさと、2ドアクーペならではの流麗なスタイリング、パーソナル感によって、当時のお立ち台女子を含め、持ち帰りやすいクルマとされた。 シートはソファのような見た目、かけ心地であり、メーターは当時の先端トレンドのデジタルメーター。モテグルマとしてないものはなかったと記憶する。当然、ライバルたるガイシャより速く、ラグジュアリー。コンパクトなガイシャから乗り換える遊び人も多かったようだ。
その名の通りまさに前奏曲を奏でた「プレリュード」
もう1台、忘れてはいけないバブル期前に発売されたモテグルマが、AB/BA1型2代目ホンダ・プレリュード(1982年~1987年)。FFスーパーボルテージというキャッチコピーと、TVCMのボレロの重厚でエレガントな楽曲も印象に残る、リトラクタブルヘッドライトを採用した当時を代表する元祖デートカーである。 ガイシャ勢がどうにも敵わないのは、プレリュードをデートカーと言わしめた助手席リクライニング機構だ。助手席のリクライニングレバーが運転席側にもついていて、落ち着ける場所、例えば当時の晴海ふ頭の突端にプレリュードを止めるや否や、デート相手の隙を狙って助手席をパッコーンとほぼ水平にリクライニング! そのあとどんな展開になったかはあえて言わないが、デートのフィニッシュにこれほど”使える”クルマはほかになく、BMW3シリーズやメルセデス・ベンツ190Eでも敵わない。そして、シーマやソアラよりずっとお手ごろ価格のある意味、究極のデートカーと呼べるアイディアある仕掛けの持ち主だったというわけだ。 80年代は男女の関係性、恋愛が今では想像もできないほどおおらかな時代で(夜の六本木はナンパ待ちの女子で溢れていた!?)、そんなことをしても訴えられた話は、ボクの知る限り、ない。とはいえ、今、プレリュードの中古車を手に入れて、初デート、それほどじゃない関係の女子にかのリクライニングをやったとすれば、大変なことになりかねないので、要注意である。
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