現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 初号機はとんでもない異端児だった!? レースの世界で最も成功を収めたホンダ「NSR500」

ここから本文です

初号機はとんでもない異端児だった!? レースの世界で最も成功を収めたホンダ「NSR500」

掲載 14
初号機はとんでもない異端児だった!? レースの世界で最も成功を収めたホンダ「NSR500」

 ホンダが現在のMotoGPへ繋がる世界グランプリ最高峰のGP500クラスで、1984年からか2002年までの19年間、数多くの栄光とドラマを生み出したのが「NSR500」であり、その活躍から「GP500クラス=NSR500」と連想するファンも多いのではないでしょうか。

 1984年の初代「NSR500」(開発コードNV0A)は残念ながら世界タイトルを逃しており、ゼッケン「1」は前年の2サイクルV型3気筒エンジンを搭載した「NS500」で獲得したものです。トリコロールカラーの初代から、翌1985年にはスポンサーであるロスマンズカラーとなります。

【画像】かっこよすぎ! ホンダ「NSR500」をもっと見る(13枚)

 コンパクトかつ骨太な雰囲気の車体を見ると、2サイクルエンジンの象徴である排気チャンバーが完全に内蔵されています。燃料タンクをエンジン下に、排気チャンバーをエンジン上(本来燃料タンクがある位置)に配置する特異なレイアウトで、排気チャンバーとの干渉がないためアンダーカウルが後方に長く、さらに後方に向かって窄まるシートカウルと相まって、現代的とも思えるファルムを形成しています。

 レース用マシンは市販車のような様々な制約が少ないため、とくにGPレースを走るファクトリーマシンなら、エンジンも車体も速さを追求するためにあらゆるアイディアと最新技術が試されています。

 1970年代半ばから、2サイクルエンジン車が活躍するGP500クラスでは、ヤマハとスズキがタイトルを争っていました。2サイクル車では後発のホンダが1983年にV型3気筒の「NS500」でタイトルを獲得したものの、パワー競争を勝ち抜くには力不足だったため、4気筒エンジンを搭載した「NSR500」は、言わば本命のマシンでした。

 初代「NSR500」は低重心化が開発テーマとなっており、トラクションコントロールなど無い当時、ハイパワー過ぎるがゆえのウイリーや後輪のスリップを軽減するため、低重心化は車体設計の要でした。

 満タンになると重たい燃料タンクをエンジン下へ、薄板の軽量な排気チャンバーを通常では燃料タンクがある場所に通すという常識破りの上下逆転レイアウトを採用しています。

 また、エンジンはライバルが敬遠していた、より高出力が狙えるV型4気筒1軸クランクシャフトタイプを採用し、山積する様々な課題を解決して完成した初代は、走り出す前からドラマを持って生まれたマシンでした。

 1984年に天才ライダー、フレディ・スペンサー選手に託されてレースに臨み、GP500クラス決勝では2戦目のイタリアGPを含め4勝を記録(1勝は代役のランディ・マモラ選手によるもの)。シリーズランキングはスペンサー選手のケガによる欠場もあり4位に留まっています。

 ホンダコレクションホールに展示された写真の初代「NSR500」は、そのイタリアGPでの優勝車両であると解説プレートに記してあります。

 ホンダの技術的チャレンジスピッリットを具現化したような初代「NSR500」は、コースによってはライバルを圧倒する速さを見せつけ、また別のコースでは乗りこなすのが難しいマシンでもありました。

 当時、レースのある週末は見ている側も「勝つことが最大の目的だ」と一喜一憂するものでした。あれから数十年経ったいま、タイトルを獲得できなかった初代「NSR500」が、世界GP初優勝を果たした「RC143」と共に特別なスペースに展示されています。

■ホンダ「NSR500」(1984年)主要諸元エンジン形式:水冷2ストロークV型4気筒ケースリードバルブ総排気量:499cc最高出力:140PS以上フレーム形式:プレスバックボーンダイアモンド

【取材協力】ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
レッドブル&HRC密着:フロントタイヤへの熱入れを苦手にするRB20。弱点が露呈し初日は2台とも下位に沈む
AUTOSPORT web
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
タイトルに王手のフェルスタッペンが苦戦、ミディアムで17番手「タイヤが機能せず氷の上を走っているよう」/F1第22戦
AUTOSPORT web
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
見かけ倒しでもいいじゃん! ルックスと性能が釣り合わないスポーツモデル5選
ベストカーWeb
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
2025年WEC暫定エントリーリストが発表。ハイパーカーは2社が撤退もLMGT3と同数の18台が参戦
AUTOSPORT web
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
【角田裕毅F1第22戦展望】昨年の反省をもとにセットアップを2種類用意。FP2で「だいたいの方向性は見つかった」
AUTOSPORT web
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ベストカーWeb
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
勝田貴元、パンクで後退も挽回「まだ諦められない。ファンの声援が力になる」/ラリージャパン デイ2
AUTOSPORT web
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
いよいよ正式発表!? デザイン一新の[新型フォレスター]登場か! トヨタHV搭載でスバル弱点の燃費は向上なるか
ベストカーWeb
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
荒野にポツンと1軒のカフェ!?…25ドルでキャンプサイトを確保。オーストラリアはトレイルも何もかもナメてかかってはいけません!【豪州釣りキャンの旅_10】
Auto Messe Web
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
ローソン初日15番手「路面コンディションに苦労。今日の学習を役立て、トップ10に食い込みたい」/F1第22戦
AUTOSPORT web
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
ボッタス、PUエレメント交換で5グリッド降格が決定。RB勢はエキゾーストを交換/F1第22戦
AUTOSPORT web
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
タナクが王座目指して猛加速。僚機2台はクラッシュ&失速、トヨタに選手権逆転の光明【ラリージャパン デイ2】
AUTOSPORT web
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
燃費と運転体験の両立 フォルクスワーゲン・ゴルフ GTEへ試乗 電気で最長130km走れるHV!
AUTOCAR JAPAN
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
北米の自動車博物館ハシゴ旅! 往年のF1GPカー「ペンスキーPC-1」に出会えて大感激!!…が、展示車両数の多さにすべてを見ることができずに大後悔…
Auto Messe Web
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
角田裕毅 初日10番手「一日のなかで状況を好転させ、方向性を見出した。Q3進出のため調整を続ける」/F1第22戦
AUTOSPORT web
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
イモトアヤコ、600万円超の「“オシャ”ハイエース 」購入! 「車中泊楽しそう」「テンション上がる」反響多数のゴードンミラー「GMLVAN V-01」とは
くるまのニュース
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
日産、英国のゼロ・エミッション義務化に「早急」な対応求める 政府目標は「時代遅れ」と批判
AUTOCAR JAPAN
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
「柏の杜オークション」会場で「パラモトライダー体験走行会」開催! 参加者だけでなくボランティア活動にも興味を持ってもらえた1日でした
Auto Messe Web

みんなのコメント

14件
  • 天才フレディーでさえ優勝か転倒か?とNSと併用したデビューシーズンでしたね。燃料タンクを車体下部に置いたため、レース中にどんどん車体下が軽くなっていき、バランスが変わっていくから、クセの強さにプラスして難しかった事でしょう。
  • まあ、良くも悪くも”ホンダ”らしい技術側が主導して造られたバイク、な印象ですよね。
    低重心を極める為に、タンクとチャンバーを逆転させたレイアウトや、軽量化の為にカーボン製のホイールを採用したり…
    机上での理想を具現化したものの、実際に走らせたらタンクが縦長の為に(バッフルを設けても)ガソリンの移動に拠る不規則な荷重の変化、
    ガソリン残量の変化でハンドリングに影響が起きたり、本来のタンク位置に有るチャンバーの熱でライダーが火傷するとか
    色々と予想外の事がアウトプットされて、結果1シーズンでコンベンショナルなレイアウトに戻されましたが
    ソコはホンダ、ただ転んだ訳で無く翌シーズンは前人未到のフレディによる250&500のダブルタイトルに成ったのですから、凄いモンですよね。。。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村