ボルボのコンパクトSUV「XC40」は、2018年の日本導入以来大量のバックオーダーを抱えている大人気モデルだ。なぜ?
世界中で大人気
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ボルボ「XC40」はなぜ売れまくっているのか? ということについて、ここではあれこれ書いてみたい。
そう、2017年9月にヨーロッパでデビューした、このボルボ初のコンパクトSUVは、2018 年3月の国内発売以来、丸2年を経た現時点でも、納車は9月以降になる。というほどニッポンで人気なのだ。ボルボ・カー・ジャパン(VCJ)広報によれば、生産枠を追加で確保したので、ボディ色やオプションにこだわらなければ、9月以前にお渡しできる可能性もあるという。こういうのを「嬉しい悲鳴」というのでしょう。
いや、そうはいっても、XC40がどれほど日本で売れているのか? たいして街で見ないではないか、と、思われる人もいらっしゃるかもしれない。2018年、XC40導入初年の国内の登録台数は1874台ぽっきり。それが2019年は一挙に4594台と、2倍以上に膨れあがった。2019年のボルボの登録台数は全体で1万8583台だったから、およそ25%、ボルボの4台に1台がXC40だったことになる。XC40の存在感が今後、ますます増すことは間違いない。
XC40の納車待ち時間が長くなっている理由はいたってシンプルで、VCJ広報いわく、「グローバルで人気車種となっていて、受注に対して生産が追いついていない」からである。
vol;vo-xc40-172019年、ボルボ93年の歴史において、彼らは初めて世界販売70万台超えを達成した。50万台を初めて超えたのが2015年。それから毎年10%増やし、わずか4年で20万台をプラス、およそ40%もの急成長を遂げて、現在に至っている。
振り返ってみれば、2010年に中国資本のジーリー傘下に入ったことが大きな転機となった。製品ラインナップを徹底的に見直し、デザインからパワートレイン、プラットフォームにいたるまですべて一新するという思い切った戦略をとった。
その第1弾が2014年春発表の「XC90」であり、第2弾が2017年春の「XC60」で、第3弾が同年秋のXC40ということになる。90、60、40と呼称される大・中・小の各シリーズにはそれぞれセダンとワゴンもあるけれど、成長の牽引役はこれらSUV3モデルである。2019年のおよそ70万台の販売台数のうち、XC60がおよそ20万台、次いでXC40 が14万台、そしてXC90が10万台を占めている。SUVが過半を占めている。
XC90から始まった新世代ボルボに共通するのは、“北欧らしさ”“スウェーデンらしさ”“ボルボらしさ”に回帰した点である。どれも同義語のようなものだけれど、“ボルボらしさ”とはすなわち、サステイナビリティを最重視する自動車メーカーたらんとすることである。究極の目的は、人間の繁栄を持続させる社会を築くことである、と宣言し、その課題を自らに課す。そして、同社がパイオニアであると自負してきた安全性と、サステイナビリティのための環境性能を両輪とするクルマづくりを推し進める。若き環境活動家グレタ・トゥーンベリさんの主張に合致するようなクルマづくり、という言いかたもできる、と筆者は思う。
実際、ボルボは2025年までに1台につきCO2を40%減少させることを狙うと発表し、電動化に邁進しているだけでなく、生産を含めたCO2の削減にも挑んでいる。安全面においては、すべてのボルボ車の最高速を2020年から180km/hにするという、自動車メーカーにとってみずからの手を縛るような決断を下している。「スピードは危険である」というシグナルを送るために。
スウェーデン流を貫くという気概がボルボには満ちている。それが年産100万台のスバルより30万台も少ない北欧メーカーが選んだ生き残り戦略なのである。
スタイリッシュな内外装
さてそこで、ボルボXC40はなぜ売れまくっているのか? という冒頭のテーマに戻るわけだけれど、ひとつにはデザインの力によるものだと筆者は思う。
見てください、この薄いブルーがかったグレーに白いルーフの清々しいコンビネーションを。試乗したのは、XC40 T4モメンタムという、下から2番目にお求めやすい前輪駆動(FWD)モデルで、といっても457万3148円もするわけですけれど、寒いときに見ると寒々しくも感じる、しかしそこがたいへんオシャレとも言える、北欧らしさを満喫できるカラーリングであると筆者は思う。ついでに申しあげると、軽自動車でも流行の白いルーフの設定があるのはモメンタムだけである。
日本でウケるには大きさも重要だ。大きすぎては大衆的な人気は得られない。その点、XC40は全長4425×全幅1875×全高1660mmと、全幅がちょっと広すぎるきらいはあるものの、全長だけとりだせば、フォルクスワーゲン「ゴルフ」ぐらいのコンパクトさだから、大いに好ましい。タイヤが大きくて、全体が四角くて、プロポーションが寸詰まりでカワイく見える一方で、前後フェンダーに筋肉質な張りがあって、ボーイッシュでもある。前後のドアの側面に凹みが設けてあるところも、お腹がキュッと締まっているようで、アスリートっぽい。
なにより、フレッシュでありながら、ちゃんとボルボに見えるところもこのデザインの美点だ。ボルボ共通の四角いグリルと、「トール・ハンマー」(北欧神話に登場する神が持つハンマー)をモチーフにしたLEDのヘッドライトの組み合わせが効いている。
また、内装がイイ。インストゥルメント・パネルの中央に9インチのタッチ・スクリーンがあるのはボルボ共通だけれど、まったくもってSUVっぽくない。SUVというのは本来はアウトドア用なのに、武骨なところは微塵もなくて、汗とかホコリとかとは無縁、都会派路線で一貫している。
スマートフォンのワイヤレス充電なんてのも付いている。ティッシュの箱が置ける場所まで設けてある。ペットボトルやノート パソコン等がドア ポケットにすっきりおさめられたりもする。こういう細かい気配りほど、ニッポン人が好きなものはない。機能的でありながら、どこか温かみが感じられるのがスカンディナヴィアン・デザインである。たぶん、北欧の冬はものすごく寒いからだろう。
vol;vo-xc40-20vol;vo-xc40-21思えば、ボルボXC40は発売当初から大人気だった。日本での正式発表は2018年3月28日で、その2カ月ほど前の1月26日にXC40 T5 AWD R-Design 1st Editionという発売記念モデルの予約注文が始まっていた。消費税8%の当時、389万円から始まるXC40にあって、1st Editionは559万円もする仕様だった。にもかかわらず、全国300台限定ぶんは3月の正式発表時には完売していた。
ということは、多くの方が実車も見ないで予約したのだろう。XC40のなにが私たちをかようにひきつけるのか? 四角い自動車が好きなんだとか、顔が獅子舞に似ているとか、理由はいろいろだろうけれど、ともかくあのカタチに私たちは好感を抱く。だから、売れまくっている。
果報は寝て待て
T4モメンタム、運転してみると、冬用タイヤを履いていたこともあるにせよ、乗り心地のしなやかで快適なことは驚くほどだった。SUVっぽさがまったくない。着座位置がちょっと高くて、先まで見えるから運転しやすいということはある。それ以外は、ホント、乗用車ライクで、乗用車ライクどころか、ちょっと着座位置の高い乗用車だと思っていただいたほうが伝わるのではあるまいか。
それでいて、最低地上高はSUVだから、FWD(前輪駆動)でも乗用車では入っていけないようなところに気軽に入っていける。
vol;vo-xc40-7日本市場には現在、基本的にはおなじ2.0リッター直列4気筒ガソリンターボのチューン違いで、最高出力190psのT4と、同252psのT5、の2種類のエンジンがある。190psのT4でも、最大トルクは300Nmもあって、車重1610kgのモメンタムを走らせるのには十分以上。このエンジン、あくまで実用エンジンで、快音を発したりはしないけれど、実用に徹しているからこそ、ごくフツーに運転できる。ごくフツーに運転できて、ひっかかるところがない。実用車として、こんなにすばらしいことはない。
T4モメンタムのFWDはとてもよい買い物のように筆者なんぞは思うけれど、現実にFWDを選ぶひとはそれほど多くない。むしろ日本市場では少数派だ。T4 モメンタムAWDがその20万円プラスの477万6852円で手に入るからだ。東京の住人で年に1度しか雪が降らないとしても、そりゃAWDを買いたくなるのはわかる気がする。
国内のXC40のグレード別販売構成は次のごとくである。
モメンタム 約27%
Rデザイン 約34%
インスクリプション 約38%
500万円を切るモメンタムが、圧倒的量販グレードかと思いきや、そうではないのだ。
「現在のボルボ車は、先進安全装備が全車標準ということもあり、価格や大きさにとらわれず、ライフスタイルでチョイスされていることが顕著にあらわれていると思います。『高額所得者=90シリーズ』というような図式は成り立たず、デザイン性や使い勝手、ご自身のライフスタイルで選べるラインナップです」
というのはVCJ広報によるXC40人気の分析である。ライフスタイルの表現手段として、XC40はクラスレス・カーとして認知されている、ということでしょうか。
衝突被害軽減ブレーキ・システムや各種運転支援システムをミックスした先進安全装備群「インテリセーフ」も現在のボルボ車の魅力のひとつである。
インテリセーフはすべてのモデルに標準。それが最大の特徴で、なぜなら命に値段はつけられない、というのがボルボの基本的な考え方だからである。
それがボルボ流なのかスウェーデン流なのか、ともかくボルボは北欧的であることを貫こうとしている。企業として生き抜くための最良の戦略だからだろうし、北欧のひとびとは本気でそう思ってもいるのだろう。彼らはサステイナビリティの面で自動車界のリーダーシップをとろうとさえしている。
日本おけるXC40人気は、一義的にはデザインのよさであると筆者は思うけれど、そのデザインには内側から、“社会を変革したい”という、いまのボルボの気迫が滲み出ている。そう考えると、納車まで半年ぐらい、果報は寝て待て、ではあるまいか。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
お洒落に見えてカッコいいからです。
駐車場パレットは日本では1850が限界。
2021年の登場が期待されるC40やXC20は1800以内を強く希望したい。