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Rなら918psで0-100km/h 2.9秒 ロータス・エレトレへ試乗 新しいブランド像を定義 後編

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Rなら918psで0-100km/h 2.9秒 ロータス・エレトレへ試乗 新しいブランド像を定義 後編

回生ブレーキと物理ブレーキの融合は巧妙

日常的な運転をしている限り、ロータス・エレトレの駆動用モーターによる回生ブレーキと、スチールディスクによる物理ブレーキとの融合は巧妙。ペダルの感触もしっかりあり、自然だった。

【画像】新しいブランド像を定義 ロータス・エレトレ 最新のエヴェイヤ 競合の電動SUVも 全136枚

アクセルペダルを緩めた時の回生ブレーキの効きは、ステアリングホイール裏のパドルで調整可能。ただし、最も強い設定を選んでも、そこまで強力にはならないようだ。

乗り心地は、路面が平滑なテストコースということで充分には確かめられていない。コースの縁石へ乗り上げてみた限り、エアサスペンションとアダプティブダンパーが、幅広い能力を備えていることは伺い知れた。

複数あるドライブモードで最も穏やかなのが、ツアー。611psのエレトレ Sで選択してみると、全体の質感がソフトに変化し、急加速時にはフロントノーズが上を向く。コーナーでは、ボディロールも大きく感じられた。

スポーツ・モードを選ぶと、フラットな舗装路でもサスペンションが引き締まるのを実感する。回頭性も明らかに鋭くなっていた。

エレトレ R専用となるのが、トラック(サーキット)・モード。エアサスペンションが自動的に車高を落とし、公道では許されない動的能力を味わえる電動SUVへ切り替わる。V8ツインターボを積んだ、ランボルギーニ・ウルス・ペルフォルマンテのように。

電子技術が相乗しSUVとは思えない走り

アダプティブ・ダンパーやアクティブ後輪操舵システムなどが相乗し、918psのエレトレ RはSUVと思えない走りを実現している。とはいえ、2400kgの質量を素早く動かすことが、チャレンジングな課題であることに変わりはない様子。

フロントタイヤの反応はシャープで、旋回初期の身のこなしはタイト。しかし、きついコーナーではアンダーステアを抑えることができていなかった。

もっとも、試乗したエレトレは欧州仕様として完成される前の状態。今後、チューニングが煮詰められていくことだろう。試乗した日の武漢市はムシムシと暑く、気温は35度に届き、タイヤへの負担も大きかったはず。空気圧も上昇気味だった。

走り込む前の、冷えたタイヤで同様にコーナリングしてみたが、遥かにニュートラルな回頭性を叶えていた。高速域での方向転換も安定してこなしていた。

リアアクスルにはオープンデフが組まれ、ブレーキ制御によるトルクベクタリング機能が実装されている。それでも、機械式リミテッドスリップ・デフや、左右個別の駆動用モーターによる、より広範囲な制御には届いていない。

限界領域まで踏み込むと、システムがグリップとトラクションを最大限に高める努力をしていることが感取できる。だが、それを超えた滑沢さまではない。スタビリティ・コントロールをオフにすれば違うのかもしれないが、今回は許されなかった。

操舵感は従来のロータスと明らかに違う

操舵感は、従来のロータスとは明らかに違う。電動パワーステアリングに加えて、可変レシオのラックも備わる。タイトコーナーでは少ない舵角での旋回を実現しているものの、これまでのロータスらしい、秀抜にダイレクトでリニアな印象とは異なっていた。

情報によれば、固定レシオのステアリングラックも選べるという。こちらなら、従来に近い感覚を備える可能性が高い。

さて、最後にボディとインテリアを確認していこう。スタイリングには、エミーラにも通じる雰囲気があるように思う。ボディパネルは端正に成形され、パネルのギャップは最小限。塗装の艶も深く、製造品質は高いと感じた。

車内空間は、前後列ともにゆとりがある。定員は4名か5名を指定できるという。ダッシュボードには15.1インチのインフォテインメント用タッチモニターが備わり、運転席側にメーター用モニター、助手席側にも細い情報用モニターが備わる。

デジタルな雰囲気に、圧倒されるほどではなかった。試乗車の内装は、中国市場の好みに合わせた設定になっていたようだが、カラーの選択肢は幅広く、落ち着いたコーディネートも可能だという。レッドとブラックとでは、ボディの印象も大きく変化する。

カイエンを発売したポルシェと状況は近い

エレトレは、真のロータスと呼べるだろうか。2400kgの電動SUVが、同社の真髄といえる、ミニマリスト的な哲学からかけ離れていることは否定できないだろう。今はなきコーリン・チャップマン氏は、どんな思いで天から見ているだろうか。

それでも、新しいブランド像を定義する重要な1台ではある。2028年までに、15万台以上の新車を販売する計画を立てているロータスにとって、大きな推進力になることは明らか。追って登場する、2つのモデルと同様に。

ポルシェのカイエンと比べて、ロータスのエレトレはブランドの精神から遠い位置にあると感じたことは事実だ。しかし、ポルシェはまだ背の高い電動SUVを提供していない。その点では、一歩リードしているともいえるだろう。

恐らく、ロータス・ファンの多くは腑に落ちないはず。ポルシェがカイエンを発売した時と、状況は似ている。20年後には、ラグジュアリーな電動SUVも提供する、スポーツカー・ブランドという地位を築いているのかもしれない。

ロータス・エレトレ R プロトタイプのスペック

英国価格:12万1305ポンド(約1953万円)
全長:5103mm
全幅:2000mm
全高:1630mm
最高速度:265km/h
0-100km/h加速:2.9秒
航続距離:489km(予想)
電費:−km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2400kg(予想)
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:108kW
最高出力:918ps(システム総合)
最大トルク:100.1kg-m(システム総合)
ギアボックス:2速オートマティック(リア)

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