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永遠のライバル「512BB」と「カウンタック」はどちらに高値がつく?

掲載 更新 26
永遠のライバル「512BB」と「カウンタック」はどちらに高値がつく?

■スーパーカーブーム時代の代表「ベルリネッタ ボクサー」とは?

 1970年代半ば、日本がスーパーカーブームに包み込まれた頃、その主役となったのは、通称ランボルギーニ「カウンタック」であり、またフェラーリ「BB(ベルリネッタ ボクサー)」だった。

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 もちろんそれ以外のスーパーカーをお気に入りとする子供達もいたが、カウンタックとBBの人気を決定的なものとしたのは、各々300km/h、302km/hとされた最高速にほかならなかった。

 現在では300km/hはスーパースポーツの世界において現実的な世界だが、当時はそれが可能であるかどうかは別として、最高速は絶対的な説得力を持つ数字にほかならなかったのだ。

 フェラーリが、新世代のプロダクション12気筒モデルとして、ミッドシップの基本設計を採用した「365GT4/BB」の生産をスタートさせたのは、1973年のことである。

 そのプロトタイプが初公開されたのは1971年のことなのだが、この沈黙の2年間はフェラーリにとっては深刻化する労使関係の悪化に苦慮していた時代であった。

 だがフェラーリにとってそれ以上に重要な問題だったのは、近い将来アメリカでその施行が決定していた大気汚染防止法、そして連邦自動車安全基準への対応にほかならなかった。

 そして決定的だったのはランボルギーニが「ミウラ」で、すでにミッドシップの基本設計を実現していたということである。同時期に生産されていた「365GTB/4(デイトナ)」では、フェラーリは革新性という点でランボルギーニにかなりの遅れを取っており、加えてミウラはすでに次世代のカウンタックにフルモデルチェンジされていたのだ。

 フェラーリの焦りがどれほどのものであったのかは、容易に想像できるところだ。

 しかし1973年に生産を開始した365GT4/BBは、そのハンデを一瞬で覆すほどに魅力的なモデルだった。当時最新の風洞実験装置を導入したばかりのピニンファリーナは、それを積極的に活用してエアロダイナミクスに優れた、そして流麗なミッドシップのボディデザインを描き出すことに成功した。その造形美は現代の目で見ても十分に魅力的である。

 フロントとリアのフェンダーはいずれもフードと一体成型されたもので、ボディ素材の多くは軽量なアルミニウム製となっている。

■ライバル「カウンタック」よりリーズナブルか!?

 365GT4/BBは、ミッドシップ化のためにバンク角を180度まで開いた4.4リッターV型12気筒エンジンを採用し、これに5速MTを上下に重ねる形で搭載した。このエンジンの最高出力は380psであった。

●1984 フェラーリ「512BBi」

 実際の生産は1973年から1976年までおこなわれ、総生産台数は387台だったと記録される。そして1976年になるとフェラーリはこのBBにマイナーチェンジを実施した。

 車名も「512BB」とシンプルなものになり、エンジンも5リッターの排気量を得るに至った。総計で929台が生産された512BBの目的は、もちろん前で触れた排出ガス規制等への適応にあった。そのため、最高出力こそ360psへと低下してしまったが、心配された最大トルクやその発生回転数は、365GT4/BBのそれに等しい。

 さらに1981年、BBシリーズの最終進化型として誕生したのが、今回RMサザビーズのアリゾナ・オークションに出品された、「512BBi」だ。RMサザビーズでは、生産台数は1984年までの間に1007台だったと解説している。

 この512BBiでの最大の特徴は、V型12気筒エンジンへの燃料供給が、これまでのキャブレターからボッシュ製Kジェトロニックへと変更されたことだ。

 これによってエミッション・コントロールをさらに細かくおこなうことが可能になったほか、ドライバーはエンジンの扱いやすさを感じることができるようになった。最高出力は340ps、ちなみにこれは後期型の512BBと共通の値である。

 出品車のS/N:47191は、1984年式とあるから、BBシリーズとしてはほぼ最終期に近い期間に生産されたものである。

 参考までに1984年式の512BBiは、RMサザビーズの調べでは144台しか存在しない貴重なモデルであるという。またこの個体はラインオフした後にアメリカへと出荷され、16年間をカナダの著名なコレクターのもとで所有されている。その間に、9万ドル(邦貨換算約927万円)をかけて完全に整備もおこなわれている。

 その後スイスへと渡り、そこでも1万ドル(同103万円)ものメンテナンス費用をかけて、再整備をおこなったという。

 RMサザビースがつけた最低予想落札価格は、25万-30万ドル(邦貨換算約2600万-3100万円)である。

 現在の走行距離は約2万4200km。内装も素晴らしい美しさを保っている。フェラーリのコレクター、もしくは「BB派」だったかつての少年には、最高の1台といえるのではないだろうか。

 ちなみに、同じ2020年のRMサザビーズのアリゾナ・オークションに出品された1983年式のランボルギーニ「カウンタックLP5000S」の落札価格は、26万8800ドル(邦貨換算約2800万円)であった。

 BBとカウンタック、新車当時からのライバルは、オークション・マーケットにおいても、いまだに拮抗した人気のようである。

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みんなのコメント

26件
  • 美しい512BBと未来的なカウンタックが悩みどころ
    だが自分はカウンタック推し。
  • カウンタックの出来栄えは現代から見ても異常ですよね。
    直線的なイメージが強いが、曲面が多く、うまく取り込んで非常に手間かけて作ってる。
    50年も前の発表なのに
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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