ライバルはコルベットと911
英国のスーパーカーメーカーであるノーブルは、2009年に登場し好評を博したM600以来の新型車「M500」を発表した。
【画像】新型ノーブルM500【前作のM600やM12と写真で比較】 全61枚
2018年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでコンセプトとして初公開され、その後順調に開発が進められているM500は、M600よりも安価で低出力のモデルとしてこれに取って代わるものと見られる。
プロトタイプによる最終的なテストが始まったばかりだが、ノーブルは最初の1台が今年中に納車されると述べている。
新型M500は、M600と同様、スチール製のシャシーにエンジンをミドシップ搭載した2シーターのスーパーカーである。しかし、ボルボのV8ツインターボではなく、フォードGTに搭載されている3.5LのV6ツインターボが採用されている。
標準では、このエンジンは500ps強と83kg-m近くを発生するが、ノーブルはM500を約550psで市場に投入する意向である。
M600は最大ブースト設定で660psを発揮し、当時最も強力なスーパーカーの1つとなった。550psのM500は、新型シボレー・コルベットC8やポルシェ911ターボSを含むスポーツタイプのモデルとなるであろう。
前作M600をベースに開発
ボディはカーボンではなく新たにガラス繊維強化複合材を採用し、低コスト化を目指している。しかし、ノーブルのマネージング・ディレクター、ピーター・ブートウッドによると、ボディの下にある鋼管シャシーは「70%がM600」であるという。
M500はM600とほぼ同じサイズで、全幅はわずか数mmの違いがあるが、より広いスペースが確保できるように再設計された。シャシーやサスペンションの基本設計はよく似ているため、乗り心地やハンドリングは「M600に近い」とブートウッドは予想する。
サスペンションはダブルウィッシュボーンで、コイルオーバースプリングとパッシブダンパーが前後に装備されている。油圧式パワーステアリングは搭載されているが、アンチロック・ブレーキやエアバッグは装備されていない。
トランスミッションは、グラツィアーノ社製の6速マニュアルのみで、メタルゲートとシフトアクションはノーブル独自のもの。
キャビンには2つのレカロ・ポディウムシートが備わり、ペダルがわずかにオフセットされているとはいえ、第一印象で好ましいドライビングポジションとなる。メーターはシンプルなデジタル式が採用された。シャシーの再設計によりドアシルが小さくなり、M600よりも乗り降りがしやすくなっている。
現時点ではあくまでプロトタイプだが、内外装パネルのフィット感や仕上げは極めて良好である。
価格は2000万円台前半?
スタイリングは、初公開時より高速走行テストを経てほぼ最終的なデザインになっている。リアウイングはもう少し角度をつける予定だが、ボディ下面はほぼフラットで、大型ディフューザーに空気がスムーズに流れるようになっている。フロントには、マクラーレンや911のような適度な広さのトランクがある。
プロトタイプは、2018年にM600の生産が終了したノーブルのレスター工場で製造され、その後、非常に小さなチーム(合計わずか8名で、うち5名の技術者が車両に触れる)がここまで仕上げた。
価格未定のため、受注はまだ始まっていないが、セールス&マーケティング責任者のキム・グラウスは、「できる限り身近なものにしたい」と話した。
ブートウッドは、「ノーブルM12やポルシェを持っている人たちが買えるようにしたい」と語っている。各部品のコストなどが完全には定まっておらず、価格の最終決定にはまだ時間がかかるようだが、ブートウッドにとっては「15万ポンド(約2350万円)くらい」が目標だそうだ。
もしその価格帯が実現したら、ノーブルがもともと存在していた市場への回帰に近づくことになる。つまり、エキゾチックなミドエンジン・スーパーカーのスリルを低価格で味わえるかも知れないということだ。
M600は発売当時、20万ポンド(約3140万円)という高額路線を歩んだ。15万ポンドのM500であれば、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンを十分に下回る価格で、同等のパワー・ウエイト・レシオを得られるだろう。
目標重量は1250kg
M600は製造に手間がかかるクルマだったが、ブートウッドは、「(M500は)できるだけ簡単に作りたいんです」と話している。
ミドエンジンのエスタブリッシュメントに比べるとパワーは劣るが、そのスポーツカーとしてのピュアさゆえ、重量は軽くなるはずだ。ブートウッドは、プロトタイプの重量は1400kg近くあるが、生産車両では「1250kgまで持っていけると思う」と語った。多くのスーパーカーではこの数値を上回っている。2009年に行われたM600のロードテストでは、燃料を満タンに入れた状態で1305kgという重量を計測した。
M500には、重量を最小限に抑えるためにカーボンファイバーのオプションパーツが用意されている。ボディ全体をカーボンファイバー製にすることも技術的には可能だが、ブートウッドは「道徳的に正しいことをしたいので」、軽量コンポーネントに何千ポンドも請求するようなことはしない、と述べた。
いずれにせよ、M500の性能は輝かしいものになりそうだ。現在のチューニングでも、3.5LのエコブーストV6は513ps/5250rpmと82kg-m/4000rpmを発揮し、69kg-mのトルクをわずか2500rpmから利用できるのが大きな特徴である。
その加速力は、セミ・オートマチック・トランスミッションやローンチコントロール・システムを搭載したライバル車には到底及ばないかもしれない。しかし、M600では0-97km/h加速を3.5秒で駆け抜けた。M500も同様の速さであることが予想され、ブートウッドによると最高速度は320km/h弱になるという。
M600は、映画『ワイルド・スピード9』の主役の1台として、いまでも注目を集めているが、販売されたのは数十台、ソフトトップのM600スピードスターは2台のみ。会社の資金は2015年にノーブルを購入した中国人投資家が引き受けたものである。
ブートウッドは、M500で年間最大50台の販売を目指している。主流メーカーのライバルに比べればまだ控えめだが、彼は「我々にとっては大量生産だ」と言う。
ノーブル・オートモーティブ社の歴史
1999年:英国人自動車デザイナー兼エンジニアのリー・ノーブルが、自身の名を冠したスポーツカー会社を設立。最初のモデルであるM10コンバーチブルは、168psの自然吸気2.5L V6を搭載している。
2000年:より知名度が高く、販売台数も多いM12が登場し、ノーブルはスポーツカーブランドとして確立された。パワートレインはフォード製V6ツインターボで、最高出力は430ps(M400)、ボディはファイバーグラス製で、重量と価格を可能な限り抑えている。
2004年:M12の後継モデルであるM14のプロトタイプが英国モーターショーで公開されたが、開発費の高騰により生産が見送られた。2006年、大幅に改良されたM15が登場する。
2008年:リー・ノーブルはノーブル・オートモーティブを退社し、新会社フェニックス・オートモーティブを設立。2010年に発売される660psのスーパーカー、M600の開発を開始した。
2018年:マネージング・ディレクターのピーター・ブートウッドが最初のスケッチを完成させてからわずか6か月後、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでM500をコンセプトモデルとして公開した。ノーブルはフォード製V6とDSGの搭載を計画している。
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みんなのコメント
エクステリアデザインは車選びで大きな比重を持つんだよね〜