2023年3月に発売されたレクサス初のBEV、電気自動車専用モデルがレクサスRZ450e。プラットフォームはトヨタbZ4X、スバル・ソルテラと共通するBEV専用プラットフォーム、e-TNGAを採用してはいるが、結論を先に述べれば、モーターなどに大きな違いはないものの、上屋はもちろん、中身は別物と断言できる仕上がりだ。
国産SUVの中でピカイチのエクステリアデザイン
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モノグレード、前後にモーターを備える四輪駆動力システム「DIRECT4」によるAWDのみのRZ450eバージョンLのボディサイズは全長4805×全幅1895×全高1635mm。ホイールベース2850mm。数あるレクサスSUV、いや、数ある国産SUVの中でピカイチのエクステリアデザイン、カッコ良さの持ち主であると、筆者が強く思えたのも本当だ。
サスペンションはフロント:ストラット、リヤ:ダブルウィッシュボーン。コンベンショナルなバネと周波数感応式ダンパーを組み合わせている。そして贅沢にも車体側のパフォーマンスダンパーを前後に備えている凝りようだ。最低地上高は205mm。気になるいち充電航続可能距離はWLTCモードで494km(標準装備の20インチタイヤ/18インチタイヤ装着時は534km)と、十分な航続距離の持ち主と言っていいだろう(リース専用車のbZ4Xの4WDモデルのいち充電航続距離は540km)。
レクサスRZに乗り込んで、まず驚かされるのが、14インチもの巨大なタッチディスプレーオーディオ(コネクティッドナビ対応)Plusだった。bZ4Xが12.3インチだから、その差は大きい。が、それだけに小ぶりで画面表示も地味なメーターとの落差を感じてしまった。
bZ4X同様のダイヤル式セレクターをDレンジにセットして走り出す。おっと、ダイヤルの操作感はbZ4Xより遥かに質感が高かった。こうした細部へのこだわり、コストのかけ方もまたレクサス一流の所作ではないだろうか。
洗練されたモータードライブを実現
出足の走行フィールもまた絶品だ。モータードライブならでは、というより、かなり洗練された濃厚なモータートルク感、タイヤの回転フィール、精密感あるステアリングフィール、乗り心地に、走り始めた瞬間から感動できたほどだ。ただし、BMWのBEVのような軽快感は、ない。質の高い重厚感が支配する乗り味だ。
もちろん、一般道を流している時の車内の静けさも一流だ。フロント235/50R20、リヤ255/45R20サイズのタイヤを履く乗り心地そのものはやや硬めながら(20インチだから当然か)、表現するのがなかなか難しいのだが、ふわっとフラット・・・という乗員の体にやさしいタッチに終始。アクセルペダルを踏んだときのモータートルクの出方はドライブモードがノーマルの場合、意外なほど穏やかでジェントル。これなら後席で寝ている乗員を起こすこともないだろうし、パフォーマンスダンパーの効果の一つでもある車酔いの低減にもつながるに違いない。※トヨタ車同様、オートブレーキホールド機能にメモリ―機能がないのは残念。
首都高に入れば、継ぎ目を走破したときのいなし方にも感心させられる。あれっ、いつもの継ぎ目からの入力(音、振動、ショック)がこんなに小さくなったのか、と思えたほどだ。基本的なレクサス一流のボディ、足回り剛性の高さとともに、リアルタイムに減衰力を最適化する周波数感応ダンパーが功を奏しているはずだ。サスペンションがエアサスではなく、一般的なバネでこの乗り心地を実現しているあたりは、レクサスならではの手腕と感心せざるを得ない。
そして合流などでアクセルペダルを深々と踏んだ時のスムーズでありながら強力な加速力も文句なし。ドライブモードをスポーツモードにセットすれば、さらなるアクセルレスポンス、強烈な加速力が味わえるだけでなく、アクセルオフでの回生減速動作も高まり、ブレーキなしでの車速維持、先行車との車間維持がたやすくなる(パドルシフトも完備)。つまり、高速走行での走りやすさもまた高まるというわけだ。ただし、ドライブモードの物理スイッチは存在しない。デイスプレー右の車両ボタンをタッチし、トップのドライブモード画面から選択する2タッチが必要になる・・・。
また、車両の走行状態に応じたモーターの走行サウンドによって快適なドライブ空間を演出するASC(Active Sound Control/Acceleration Sound Control)を備えているからか、スポーツモードではモーター音がうるさくない程度の快音に聞こえる演出もなされているようだった。
車内の静粛性の高さは高速走行に入っても不変だ。とくにロードノイズ、風切り音の小ささが、例えば同じトヨタ製BEVのbZ4Xとの差となって感じられる。
安定感たっぷりの走りと操縦性
操縦性もなかなかだ。パワーステアリングの操作感はじつにリニア。言い方を変えれば、けっこうなボディサイズのこのRZがよりコンパクトに感じられるほどの意のままのコントロール性と安心感が与えられている。首都高のカーブでは、走行状況のモニタリングから前後の駆動力を100:0、0:100の範囲で可変する四輪駆動力システム「DIRECT4」の高度なトラクション性能によって、まさに安心感、安定感たっぷりの走りが味わえ、陳腐な表現かも知れないが、カーブで「運転がうまくなった」と感じられる、そしてすっきりとした走行性能に躾けられていると言っていい。
そんなレクサスの新たな幕開けを告げるレクサス初のBEV(電気自動車)専用モデル、モノグレードのRZ450eバージョンLの価格は、bZ4X 4WD最上級グレードの650万円に対して880万円。なお、その価格には例の14インチタッチディスプレーオーディオ、レクサスRZプレミアムサウンドシステム、AC100V/1500Wコンセント、充電ケーブル、ETC2.0ユニット、レクサスチームメイトのアドバンストドライブ(渋滞時支援)機能なども含まれている。
文・写真/青山尚暉
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