自分のクルマの見栄えを足元から際立たせられる重要なポイント
タイヤはクルマにとって必要不可欠なパーツのひとつである。いきなり余談だが昔“クルマはガソリンで走るのです”のCMコピーがあったが、当時、斜に構えた小学生だった筆者は、運動会の日の朝礼で校長先生が「きょうは皆さんの日頃の行いがよく雲ひとつない快晴で……」というのに「あっちに小さい雲がひとつあるじゃん」とツッコミを入れていたように、「タイヤが付いてなきゃ走らないじゃん」などと心の中で思ったものだ。
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あるいは別の言い方または極論でいえば、どんなタイヤでも付いていれば、ともかくクルマは走る。だがそこでクルマ好き、マニアは、もちろんただタイヤが付いていればいいというものではない。クルマ好きである以上タイヤにこだわることは、自分のクルマの見栄えを文字通り足元から際立たせられるかどうかの重要なポイントになるからだ。
幅広タイヤでグリップの違いを感じていた70~80年代
最新の事情、センスを正しく把握している訳ではないが、古今東西、クルマ好きがタイヤにこだわる場合、まずとりかかるのがサイズアップ。幅、径ともに大きくする。今と違い昔は(とくに国産車は)ボディの幅に対しトレッドが狭いクルマが多く、勢い、マニアはフェンダーからなるべく凹んで見えないようタイヤ(ホイール)の拡幅をした。
筆者が知っている70~80年代といえば、今ほどロジカルに洗練されたセンスの持ち主ばかりではなかった(!?)から、とりあえず幅広なタイヤをクルマにつけ「いやぁ、やっぱりワイドタイヤはコーナリングのグリップが段違いにいいよね」などと嬉々としていたものだ。
またFR車とFF車ではホイール自体のオフセット(今でいうインセット)が違ったものだが、とにかく付けばいい、とも。筆者の友人で某FF車に知人から譲り受けたワイドタイヤをFRのホイールごと付けて走っていたところ白バイに停止を命じられ、免許証をメジャー代わりにタイヤの上に当てて、フェンダーを上から見下ろすよういわれ「な、はみ出しているよな」と諭されたヤツがいた。
マニアから注目された「ピレリ」と「ミシュラン」
ところでタイヤのコダワリも進化すると、今度は“どのブランドを選ぶか?”にステージがあがる。昔(ここで言う“昔”とはざっくりと70~80年代と思っていただきたい)、最初に人気を集めたブランドは、何といってもイタリアのピレリとフランスのミシュランだろう。
ピレリはスーパーカーブームの盛り上がりとともに広く有名になったブランドで、ポルシェ930ターボ、ランボルギーニ・カウンタックなどが装着していたP7チンチュラート(今はチントゥラートと書く)が何といってもスター級。矢羽根を並べたようなトレッドパターンも個性的だった。
もうひとつの有名どころのミシュランは、ムッシュ・ビバンダムと呼ばれたブクブクのマスコットでもお馴染みだが、もともとフランスの実用車などでもポピュラーなブランドだった。
次第に高性能さが評判になっていき、左右非対象パターンのXVSは、日本車でもスカイライン(ジャパン)の特別仕様車が装着したりして広く知られるように。輸入ブランドではほかにヤナセが取り扱うドイツ車がほぼ装着していたコンチネンタル、ホワイトレターが似合うグッドイヤー、ミニ、ジャガーといったイギリス車が御用達のリブパターンのダンロップなどは古くから知られるところ。
国産と言えば「ブリヂストン」と「ヨコハマ」の2大ビッグネーム
国産ブランドは、やはりブリヂストンとヨコハマの2大ビッグネームといったところか。ヨコハマといえば少し前に、トレッドパターンが独特のあのアドバンHFが復刻され、旧車が履いているところを見たが、アスペックではニキ・ラウダをCMに起用するなど、スポーツイメージ推しで、クルマ好きの心を今でも掴んでいる。
一方でブリヂストンは“打ち出し”の上手さで、多くのユーザーの心を捉えてきた。ポテンザといえば今でも第一線で走りにこだわる多くのクルマが純正装着する。それとは別にレグノもブリヂストンを代表するモデルだ。遠い昔、土曜の夜にTVの“ベストヒットUSA”を見ながら、番組の間に流れるレグノのCMを覚えている……そんな一定以上の年齢の方も多いのでは?
“ディープだ”のコピーと、フェラーリやジャガー、アウディ・クワトロのランデブー走行の映像、アラン・パーソンズ・プロジェクト、ピーボ・ブライソン&ロバータ・フラックのバラードをBGMに使ったあのCMは、イメージ訴求型ながら、乗らずともレグノの静粛性の高さが伝わってきた。
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やっぱり寺尾聰ですな…