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プレステージとスポーツの本質を究めるのならば「レンジローバー・スポーツSVR」が本命である理由 ジャパンSVエディション試乗

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プレステージとスポーツの本質を究めるのならば「レンジローバー・スポーツSVR」が本命である理由 ジャパンSVエディション試乗

SVOによる25台だけの限定車

すでに新型の話題が先行しているレンジローバー。ロイヤルワラント銘柄であることはつとに有名ながら、英国という成熟したお国柄を代表するプロダクトゆえ、従来シリーズでこそ成し遂げられる境地は確かにある。

【画像】SVO専用デザイン ジャパンSVエディション【細部まで見る】 全65枚

それがビスポークオーダーやハイパフォーマンス化を専門に手がけるSVOこと「スペシャル・ビークル・オペレーションズ」であり、この部門を経て仕上げられた究極のモデルだ。

今回試乗した「レンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディション」は、そうした仕様のひとつ。

日本市場のために本国のSVビスポーク・チームと話し合いを重ねて設定された専用ボディカラーをはじめ、内外装トリムに独自の仕立てを凝らした、たった25台の限定仕様だ。早い話が、日本だけに向けられた別注モデルという訳だ。

まずボディカラーのロランジュ(メタリック)は、派手なようで地味にも見える絶妙のニュアンス。

ドアを開けると足元には25台中のナンバリングを示すイルミネーション付きのメタルトレッドプレートが、またBピラーには「SV BESPOKE」のエンブレムが、さりげなく目に留まる。

イギリス式 内装の考え方

内装はエボニーとシーラスという柔らかなモノトーンと相まって、一部パーフォレーション仕立てのレザー内装が、モダンな雰囲気だ。ヘッドレストにも「SVR」の刺繍が入れられている。

確たる主張はあるが、ドアの開け閉めや乗降時の一瞬しか目につかず、常時主張しない、そんなところが英国式アンダーステイトメントの奥ゆかしさ、という訳だ。

続いてSVRパフォーマンスシートに、身体を落ち着けてみる。

するとSUVらしく視線は高いが、ウィンザーレザーの滑らかなタッチ、スリークで薄い造りのバケットシートによる包み込まれ感は、やはり独特だ。

センターコンソールのアルミニウムも両サイドは磨かれているが、小物トレイのリッドやシフトコンソール周辺はヘアライン仕上げで、防眩仕様としつつ、指先に触感の細かな違いを伝えてくる。

いわば、クロームパーツなどのキラキラ演出で強調したラグジュアリー内装の背伸びとも、機能性一辺倒でミルスペックじみているか、スポーティたらんと頑張っている内装の力みとも、明らかに一線を画している。

いずれかの要素に偏らない、ひと言でいって華も実もあるインテリアで、「何か」になりたいのでなく、己を弁えているからこその余裕が、モダンな雰囲気や使い勝手に自然と表れているのだ。

後席の仕立てについて

上下2画面のワイドタッチスクリーンやメーターパネルと連携した、インフォテイメントの直観的なインターフェイスが、優れて使いやすいだけではない。

搭載されるメリディアンのオーディオ・システムは、後列シート側にも前列シートとほぼ同じ配置や仕様のスピーカー構成を実現しており、音像の定位や再生クオリティに差がない。

SVRパフォーマンスシートの座り心地と同じく、それだけ後列シート側も、大人を迎えて一緒に過ごすのにふさわしい空間へと仕上げられているのだ。

これはレンジローバーが後席に重きのあるリムジン的な一面のあるSUVだからというだけではない。

ハンティングのような野外でのスポーツが社交の一部であるからこそ、造り込んだディティールというより、嗜みとしてホスピタリティとして最初から組み込まれている、「そうあるべき仕立て」といえる。

加えてレンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディションで見逃せないのは、575ps/71.4kg-mを発揮する5.0LスーパーチャージドV8から繰り出される、圧倒的な動的クオリティだ。

パワフルなのに洗練 その理由

微低速から高速域まで車重2420kgもの巨躯をスムーズな吹け上がりで、しかも反応の鋭ささえ伴いつつ操らせてくれる。

怪力であることは確かだし、アクセルを強く踏み込めば野性味あふれるエグゾーストノートすら響かせるが、そのパワーフィールは粗暴さとは無縁で、むしろ洗練すら感じさせる。

この躾けの行き届いた名馬のような感覚を支える要素は、いくつか挙げられる。

まずセンターコンソール手元、ダイヤルが押し込まれている間は、駆動力配分もサスペンション減衰力も車高もすべて自動制御モードだが、ひと押ししてポップアップさせ回すことで、路面や走り方に応じたモード選択となる、可変シャシー&トラクション制御機構。

ノーマル・モードからエコ、ピッチ&ロールを抑えるスポーツ・モード、あるいは轍や氷雪路といったオフロードまで、指先ひとつでシームレスに操作できつつ、制御の違いが即座に体感できる。

この幅広い自由自在の走りを支えるのは、ストローク量が豊富で渋味のないリアのマルチリンク式サスに拠るところが大きい。

拡がるビスポークサービス

もちろん、オンロードでのハンドリングの小気味よさはカーボン製のボンネットやエンジンカバーなど、上モノの軽い仕立てと無縁ではない。

それでいて、これらのスペシャル・パーツは、ややフレアしたレンジローバー スポーツSVR特有のフロントフェンダーと精密にチリ合わせされつつ、渡河時にエンジンルームへの水の流れを防ぐ回路を確保するなど、設計からして丁寧に造り込まれている。

一事が万事とはいうが、無駄なく豊かなインテリジェンスによって、然るべき時間をかけて造られた1台、そこにSVO仕様の真骨頂を感じられるのだ。

ちなみに今回のレンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディションの限定25台の内、ロランジュ外装はたった8台のみ。だが日本で現在、顧客の要望をビスポークオーダーとして英国のSVOに繋いで実現する「SVスペシャリストセンター」は全国8拠点で展開しており、今後も拡張されていく。

英国車だからこそプレステージとスポーツの両面で妥協のない、ビスポークメイドの1台。今やそれは限定版が新たに登場するのを待つだけではなく、自らのタイミングや機会でも可能であり、ますますアクチュアルで身近なサービスになりつつあるのだ。

レンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディション スペック

価格:2165万円
全長:4880mm
全幅:2020mm
全高:1800mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
車両重量:2420kg
パワートレイン:4999ccV型8気筒スーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:575ps/6500rpm
最大トルク:71.2kg-m/3500-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック
乗車定員:5名
駆動方式:四輪駆動

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