現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 変わりゆくポルシェの聖地、ツッフェンハウゼン。911と最新EVはいかにして生まれるか? 【Playback GENROQ 2019】

ここから本文です

変わりゆくポルシェの聖地、ツッフェンハウゼン。911と最新EVはいかにして生まれるか? 【Playback GENROQ 2019】

掲載 更新
変わりゆくポルシェの聖地、ツッフェンハウゼン。911と最新EVはいかにして生まれるか? 【Playback GENROQ 2019】

Porsche in Zuffenhausen

ポルシェ・ツッフェンハウゼンファクトリー探訪

大阪から京都、志摩、東京。750km乗って実感したベントレー ベンテイガ、驚きの実力 【動画】

未来はここから始まる

ポルシェの本拠地であるシュツットガルト・ツッフェンハウゼン。66年にも及ぶ歴史を持つこのファクトリーが、911だけでなくタイカンなどのEVを生産する拠点として大きく変貌しつつある。すでにポルシェの未来は、ここで始まっているのだ。

「1953年から稼働、すべての911が生まれるツッフェンハウゼン」

今、プレミアムカーブランドで次世代モビリティに最も熱心なのがポルシェだ、と言っても過言ではないほど、最近のポルシェはEV時代への準備を着々と進めている。初の量産EVであるタイカンは2019年に生産を開始すると発表しているが、その生産拠点となるのがツッフェンハウゼンの工場だ。

ポルシェの本拠地であるシュットガルト・ツッフェンハウゼンのファクトリーは1953年から生産を開始。ポルシェはライプツィヒにも工場を持っているが、911は一貫してツッフェンハウゼンですべて生産されていることからもわかるように、ここはポルシェの精神的な拠り所だと言える。他にも718ボクスターとケイマンもツッフェンハウゼンで造られている。創業当初は320人ほどだった従業員も今は5000人を超え、1日あたり250台の車両と550基のエンジン、年間にすると5万台以上を生産している。

「面白いことにタイプ992とタイカンの両方が生産される」

そのツッフェンハウゼンが大きく変わりつつある。タイカンなどEVの生産と新型911(992)の導入にあたって新たにボディショップを建設するなど設備の拡張を行っているのだ。このEV生産のための投資だけでも7億ユーロ(約870億円)に上るという。そして現在約5000人の従業員も、2019年中には8000人に増やす予定だ。

面白いのは、新設されたボディショップでは992とタイカンの両方が生産されるということ。エンジン車と電気自動車が同じ建屋で組み立てられるというのは不思議な気もするが、ちょうど992とタイカンの生産開始がほぼ同時期となったこともあり、両方を生産することを前提とした効率的な工場を新設したということなのだろう。992生産に当たっては、3年もの準備期間を費やしているらしい。

「ハード面でもソフト面でも新たな時代に向けての動きが加速している」

タイカンの生産開始に伴い、ツッフェンハウゼン工場では現在デジタル化や無人搬送など、生産現場全体に新たなシステムを導入し始めている。この運動はポルシェ・プロダクション4.0と名付けられており、従業員には新たに6ヵ月の研修を行っているという。このようにハード面でもソフト面でも新たな時代に向けての動きが加速しているツッフェンハウゼン工場は、今まさに過渡期の状態にあるのだと言える。もちろん、いずれはタイカンに続く第二、第三のEVモデルの登場を見越してのことであるはずだ。また、近い将来には911へのバッテリー搭載も計画されているのかもしれない。

今回の取材では工場副社長のクリスチャン・フリードル氏が「エンジンに依存しない工場を目指す」と語った。911と718系の生産拠点、つまりポルシェの聖地的工場がエンジンへの依存をやめるというのだから、その決意は相当なものだ。ツッフェンハウゼン工場はポルシェの次世代モビリティを象徴する拠点となることは間違いない。

とはいえ、ポルシェ車の走りの魅力、楽しさが減ることはないだろう。今までポルシェのプロダクトが我々を失望させたことはないし、それは今後も変わらないはず。まずはここから生まれるタイカンの仕上がりを、楽しみに待つことにしよう。

さらなるポルシェ・クオリティの追求

ポルシェはもともとクオリティの高さに定評があるが、近年はその向上にさらに力を入れている。品質面での信頼性を高めるために、例えば新型911は摂氏マイナス35度の低温から摂氏85度の高温、海抜マイナス90mの低地から標高4350mの高地など、あらゆる状況下で約300万kmに及ぶ走行テストを実施した。品質を上げればクレーム、つまり保証に関わるコストが減るので、結果的にはコスト削減に繋がるという考えだ。

もちろん個々の車両の仕上がりに対しても同様。塗装チェックの現場を見せてもらったが、ちょっと見たくらいでは判別できないほどの小さな傷やムラなどもしっかりとチェックが入れられていた。特に室内は素材が51種類、300種類のパーツ、そしてサプライヤーが76社もあるので、11種類もあるカラーの色合いを揃えるのが大変なのだという。またEVになると乗員はますます音に敏感になってくるので、今後はノイズや振動の低減により一層注力していくとのことだ。

REPORT/永田元輔(Gensuke NAGATA)
PHOTO/Porsche AG

※GENROQ 2019年 3月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「AI EV時代のトヨタ」めざすファラデー・フューチャー、新型EV『FX』最初の試作車が完成
「AI EV時代のトヨタ」めざすファラデー・フューチャー、新型EV『FX』最初の試作車が完成
レスポンス
待ってろスイスポ!!! FF1.3Lターボのピリ辛ボーイズレーサー[新型GRスターレット]は若者にも手が出しやすい250万円で登場か!?
待ってろスイスポ!!! FF1.3Lターボのピリ辛ボーイズレーサー[新型GRスターレット]は若者にも手が出しやすい250万円で登場か!?
ベストカーWeb
F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
F1関係者への入国拒否が続くラスベガス。角田裕毅も足止め「危うく帰国させられるところだった。来られてラッキー」
AUTOSPORT web
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
Team HRC、S耐の2年計画を完遂。初期メンバーの武藤「楽しい環境がいつまでも続けばいいな」
AUTOSPORT web
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
くるまのニュース
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
“ボロボロ”のランボルギーニ「ミウラ」に価値はある? マニア垂涎“ジャンクヤードのガラクタ”がオークションに登場! 気になる価格は?
VAGUE
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
なんとハイブリッド仕様も!! クラシックなボディに6気筒を押し込んだ[クラウン]セダンがスゴすぎる
ベストカーWeb
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
ミニバンなら日本車……とも言い切れんぞ! ちょっとマイナーだけどヨーロッパにも個性派ミニバンが存在した
WEB CARTOP
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
くるまのニュース
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
SS12は“安全上の問題”でキャンセルに。SS11を終えた時点でトヨタ勝田貴元は総合3番手|WRCラリージャパンDAY3午前
motorsport.com 日本版
コンチネンタル、車内の生体情報を検知する革新的ディスプレイ発表へ…CES 2025
コンチネンタル、車内の生体情報を検知する革新的ディスプレイ発表へ…CES 2025
レスポンス
[圧倒的燃費]と環境性能! [トヨタ・ヤリス]を超えるクルマってぶっちゃけある? 
[圧倒的燃費]と環境性能! [トヨタ・ヤリス]を超えるクルマってぶっちゃけある? 
ベストカーWeb
給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
給与が高いスイスに拠点を置くザウバーは例外? ハースF1小松代表、FIAが検討する予算上限”優遇措置”に反論「皆反対している。シンプルなままでいい」
motorsport.com 日本版
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
日産「新型スカイライン」発売! 歴代最強「匠“手組み”エンジン」×旧車デザインの「特別仕立て」登場も「次期型」はもう出ない…? 「集大成」完売した現状とは
くるまのニュース
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
実は大きく違う!? モータースポーツ総合エンターテイナー濱原颯道が開催した「クシタニライダー台湾人スクール」で感じた台湾人ライダーと日本人ライダーの練習環境の違いとは
バイクのニュース
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
旧車への憧れ、理由の1位は「デザイン」、人気車種は…旧車王が調査
レスポンス
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
いずれスポーツカー[バブル]は崩壊する!! その時あなたは買う勇気があるか!?
ベストカーWeb
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レゴとF1、パートナーシップを締結…2025年からクリエイティブな遊び提案へ
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索
911の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村