2019年のインディカー・シリーズ最終戦モントレー・グランプリがウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカで行われ、コルトン・ハータ(ハーディング)がポール・トゥ・ウインを果たした。最終戦までもつれ込んだチャンピオン争いは、ジョセフ・ニューガーデン(ペンスキー)に軍配が上がった。
ニューガーデン、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ)、シモン・パジェノー(ペンスキー)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)の4人にチャンピオンの可能性が残った状態で、最終戦を迎えた2019年のインディカー・シリーズ。この4人全員がグリッドのトップ6内に並び、真っ向勝負の対決となった。
■佐藤琢磨、2020年もレイホール・レターマン・ラニガンに残留決定
しかしポールポジションにつけたのは、ルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング)。スタートでは、ランキング4番手からの大逆転チャンピオンを狙うディクソンがアグレッシブに並びかけるが、ハータはなんとかこれを退けて首位をキープ。ランキング2番手のロッシはディクソンの一瞬の隙を突いてポジションを奪おうとするが、ここも順位変動はなかった。
先頭を行くハータと2番手のディクソンのペースは圧倒的で、3番手ロッシ以下を大きく引き離していく。10周を終えた段階でその差は7秒以上に広がっていた。
そんな10周目に先陣を切ってピットインしたのは、後方を走っていた佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン)。長持ちするがペースは悪いとされるブラックタイヤから、ライフは短いがペースは速いとされるレッドタイヤへと交換する。
これを皮切りに、上位勢も含めて続々とピットインしていった。3番手を争っていたロッシとパジェノーは同じ13周目にピットイン。パジェノーのピット作業が早く、ロッシの前に出ることに成功した。しかしロッシも必死の抵抗。ピットアウト直後にパジェノーに並びかけ、片輪をコース外に落とすシーンもあったが、順位は変わらなかった。
ディクソンは17周目にピットインして、ハータをアンダーカットしようとする。しかし翌周ピットインしたハータは、ディクソンの直前でコースに復帰。ポジションを守った。
先頭の2台(ハータとディクソン)はブラックタイヤを装着したがペースが上がらず。レッドタイヤを履いたパジェノーとロッシが、猛スピードで差を縮めていった。ただ、その後ろのウィル・パワー(ペンスキー)のペースはさらに良く、30周目にはロッシをオーバーテイク。パジェノーはディクソンに追い付き、プレッシャーをかけた。
レース中盤、躍動したのはルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙うフェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ)だ。ローゼンクヴィストは、タイトルを狙うニューガーデンとロッシを立て続けにオーバーテイク。一気にポジションを上げた。
ローゼンクヴィストに抜かれたロッシとニューガーデンは、36周を終えたところでたまらずピットイン。ブラックタイヤを装着する。次の周にはディクソンとパジェノーもピットに入り、こちらもブラックタイヤを選択した。
45周目のターン1で、コナー・デイリー(アンドレッティ)がチームメイトのマルコ・アンドレッティに仕掛けた際にスピン。ランオフエリアにストップしてしまう。これにより、このレース最初のイエローコーションとなった。
この頃からサーキットの気温は急降下。さらには霧も舞い降り始める。
リスタートではローゼンクヴィストがパワー攻略を狙うが、オーバーテイクはならなかった。後方では、ブレーキングをミスしたサンティノ・フェルッチ(デイル・コイン)が、佐藤琢磨に追突。フェルッチはここでレースを諦め、佐藤はスピンを喫して21番手まで順位を落とした。後方から11番手まで追い上げていた佐藤だっただけに、非常に悔しい接触となった。
ただ佐藤はこれで諦めることはなく、コークスクリューの入り口でオーバーテイクを仕掛けるなど、レース後半もアグレッシブな走りを見せた。
最後のピットストップタイミングが近付くにつれ、先頭のハータは2番手のディクソンを引き離していく。
トップ5で最初に最後のピットストップを行なったのは、ローゼンクヴィスト。63周を終えた時点でピットに入り、ブラックタイヤを選択した。続く周回でハータとディクソンもピットインしたが、ローゼンクヴィストの前でコースに復帰。パジェノーは次の周にピットストップし、ディクソンの前でコースに復帰する。しかし、ディクソンがズバリとオーバーテイク。順位は変わらなかった。
パワーは67周目までピットストップを遅らせる。それまでハイペースで飛ばしたパワーは、首位に立つことこそできなかったものの、ハータに次ぐ2番手に浮上してみせた。
70周目には、パジェノーがコースオフ。これで勢いが鈍ったことで、ローゼンクヴィストにオーバーテイクされてしまう。ただパジェノーも76周目の1コーナーでやり返し、4番手の座を奪い返した。ローゼンクヴィストを抜き返したパジェノーは一気にディクソンとの差を詰め、プレッシャーをかけた。またパワーもハータの真後ろにつき、残り10周を迎えた。
ハータとパワーが優勝争いを繰り広げる中、タイトルを狙うディクソンとパジェノーがテール・トゥ・ノーズの激戦を展開。しかし、いずれもオーバーテイクはならなかった。
結局ハータが優勝、2位には最終周の最終コーナーまで攻めたパワーが入った。ディクソンが3位、パジェノーが4位。ニューガーデンはペースが上がらず苦戦したがなんとか8位に入り、2019年のインディカー王者に輝いた。ニューガーデンはこれで2017年に次ぐ2度目の王座獲得となった。
ローゼンクヴィストは5位に入り、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを手にした。
佐藤琢磨はレース終盤に追突の影響かトラブルに見舞われ、ピットインをするなどして後退。1周遅れの21位でのフィニッシュとなった。
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