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29歳、フェラーリを買う──Vol.59  認定中古車で迷う(後編)

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29歳、フェラーリを買う──Vol.59  認定中古車で迷う(後編)

『GQ JAPAN』の編集者・イナガキ(29歳)が、ひょんなことから中古のフェラーリを購入した! 勢いで買ってしまったフェラーリのある生活とは? 今回は、認定中古車にかんするおはなしの後編。

認定中古車のメリット

フェラーリの新型「ローマ」を購入しようと意気込んだものの、納車にかなりの時間を要することが判明! 360モデナの維持費が今後どうなるのか不透明なこともあり、とりあえず認定中古車の購入を検討しはじめたのは前回、報告した通り。

Vol.58  認定中古車で迷う(前編)

認定中古車の商談をするため、「Nicole Competizione 横浜認定中古車ショールーム」に向かった。担当はセールス・エグゼクティブの嶋田兼浩さん。

認定中古車のメリットは先週公開した記事に詳しくあるが、簡単にまとめると以下のとおり。

(1)登録から14年以内の正規輸入車
(2)走行距離は9万km以内
(3)正規ディーラーでしっかり整備を受けていて、かつオウナー履歴がはっきりしている個体
(4)1年間の保証付き

ボクとしては、とくに(3)が重要である。世に流通している中古のフェラーリは、整備履歴が判然としない個体も多いと聞くし、正規ディーラーで整備を受けていない場合、どういったパーツが使われているのかが分からない場合も多いという。

かくいうボクの360モデナも、整備履歴書こそすべて揃っていたものの、当初、クラッチの残量はわからなかった。購入から4カ月後の車検整備時、残量を計測して初めてわかった。ちなみに、残量は約80%だったから問題ナシ。もっとも、残量を計測せずに勢いで購入したことが間違いだったのかもしれないが……。

認定中古車であれば、クラッチの残量がわからない、ということはない。すべての整備履歴がはっきりわかる個体しかないからだ。

オプションがたっぷり付いたカリフォルニアT

ボクがいいなぁと思った個体は2015年型「カリフォルニアT」。走行距離は1.4万kmで、価格は1898万円。やはり、“アンダー2000万円”という価格が魅力的である。同店にはほかにも「488」や「812スーパーファスト」などの在庫はあったものの、いずれも3000万円オーバー。もともとローマを購入するときも“3000万円以下でなければダメ“と、自主的に基準を設けていたので、3000万円オーバーの車両は購入対象外。ゆえに、選択肢はカリフォルニアTのみである。

このカリフォルニアTは、Nicole Competizioneが新車で販売した個体で2オウナーという。

「新車で購入されたオウナー様が弊社に売却され、認定中古車として販売しました。今回、2番目のオウナー様も弊社に売却されたため、再度、認定中古車として販売することになりました」

認定中古車だから整備履歴がしっかりわかるのはもちろんのこと、いずれのオウナーもNicole Competizioneの顧客だったから、クルマの状態は隅々まで把握しているというから安心だ。

少し青みの入ったシルバーのボディカラー「グリジオ・アロイ」をまとったカリフォルニアTは5年前のクルマとは思えないほど美しい。内装も外装同様美しい。

しかも、多数のオプションが備わっている。外装には、クロームのフロントグリルやダークグレーペイント仕上げの20インチ鍛造ホイールなど。内装にはカーボンファイバーを使ったステアリング・ホイールやダイアモンドパターンの前後シート、ヘッドレストにあしらわれた“跳ね馬”の刺繍など。

嶋田さんに訊くと、すでに問い合わせが数件入っているという。フェラーリのディーラーウェブサイトに掲載された情報からの問い合わせが圧倒的に多いそうだ。首都圏のみならず、全国各地から問い合わせがあるとのこと。

「弊社では常時15~20台の認定中古車を販売しています。とくに人気の高いモデルというのはなく、満遍なくあらゆるモデルの引き合いがあります」と、嶋田さん。

ちなみに、新車が納車されるまでのあいだに、“つなぎ”で購入するオウナーは、多いという。さらに、非常に長い納期待ちのお客のなかには、認定中古車を2台乗り継ぐひともいるそうだ。たしかに、購入すればすぐ乗れる、というのは大きな魅力である。

まずは“フェラーリ・クラシケ”を

用意してくれた見積書の総額は約1947万円。注目すべきは税金・保険料などを含む諸経費だ。新車時は約95万円だったが、認定中古車は約34万円とリーズナブル。自動車取得税などが大幅に異なるからだ。

「諸経費が抑えられるのも認定中古車の魅力です」と、嶋田さんは述べる。

購入方法は、キャッシュではなくフェラーリ・ファイナンシャル・サービスが提供するローンの利用率が圧倒的に高いという。ボクは「据置タイプ」をチョイス。最終回に残価を据え置くタイプだ。

ローンシミュレーションの結果は以下の通り。

頭金:300万円
支払い回数:37回(37カ月)
第1回目分割支払金:16万2930円
第2回目以降分割支払金:15万9700円
最終回据置支払金:1200万円

8年落ちになるカリフォルニアTに1200万円の価値が残るといのうはさすがフェラーリ。中古車価格に対する残価率は63%! 新車価格に対する残価率でも40%だ。ちなみに月々の支払額は、ローマの支払額(17万8100円)とそれほど変わらなかった。

下取りについて訊くと、“古いフェラーリ”はほとんどないそうだ。“古い”とは360モデナも含む。ほとんどが高年式のフェラーリという。

「F355や360モデナの場合、お客様が大切に乗られているケースが多く、なかなか手放さないようです」と、嶋田さん。

みんな頑張って維持しているのかぁ……と、思うと、もう少し頑張って維持したほうがいいのでは? と、心が揺らぐ。そもそも、目の前にあるカリフォルニアTは自分が望むイエローのボディカラーではない。とはいえ、この先の維持費を考えると、高年式のフェラーリは大いに気になる。

すると嶋田さん、「せっかくならまずは“フェラーリ・クラシケ”の認証を取得するのはいかがでしょうか? イナガキさまの360モデナは状態が大変よいので、クラシケ認証を取得しやすいかと思います」と、提案してきた。

フェラーリ・クラシケとは、フェラーリ社の公式認証プログラムだ。対象は生産から20年以上経過したモデル。オリジナル状態を保っている車両に対し、フェラーリ社が有償で鑑定書を発行する。鑑定は日本のフェラーリ正規ディーラーで代行するから、わざわざイタリア本社に持ち込む必要はナシ。

鑑定書の発行には、360モデナの場合、数十万円要するという。が、鑑定書の有無によってクルマの価値は大きく変わる。たしかに、中古車情報サイトを調べたところ、鑑定書付きの個体は、同程度の個体にくらべ100~200万円高かった。

フェラーリ・クラシケの認証を取得すれば下取り価格は間違いなくアップしそうだ。鑑定書の発行には費用を要するけれども、その分は“アップ分”で相殺出来るかも。もしかすると、相殺どころから“プラス”になるかもしれない。

たしかにボクの360モデナはほぼノーマルだから、フェラーリ・クラシケの取得は容易そう。足まわりこそ社外品に換装されているが、前オウナーが純正パーツもちゃんと残してくれている。訊くと、マフラーなどを換装している場合、元に戻さないとフェラーリ・クラシケの取得は不可。360モデナやF355は各所に手を入れた個体も多いようで、取得出来るクルマは少なさそう。したがって、ボクのようなほぼフルノーマルの360モデナは珍しいようだ。

というわけで、まずはフェラーリ・クラシケの取得を進めることにした。認定中古車は、「欲しい!」と、思う運命の個体があらわれるのをもう少し待ちたい。とはいえ、イエローの個体はなかなか入荷しないらしいが。

ローマ購入が、認定中古車購入へ、そしてフェラーリ・クラシケ取得へ、と、二転三転したものの、フェラーリの知られざる世界を見られたのは大いに興味深かった。しかも、愛車の価値を高める方法があるなんて。

360モデナとの生活はまだ続きそうだ。下取りに出すつもりだったので、予約していなかった1年点検を早速受けないと……。

『29歳、フェラーリを買う』直近記事
Vol.58  認定中古車で迷う(前編)
Vol.57 フェラーリ・オウナー専用のスマホ・アプリとは?
Vol.56 新車フェラーリの購入はいかに
Vol.55 いざ、新車フェラーリの商談へ!
Vol.54 ローマの購入を真剣に考える
Vol.53 1カ月半ぶりのドライブへ(後編)
Vol.52  1カ月半ぶりのドライブへ(前編)
Vol.51  月々2万円でフェラーリに乗れる!?
Vol.50 気になる車両価格と連載50回目
Vol.49  カスタマイズ費用の総額
Vol.48 ちょっと古いフェラーリのランニングコスト
Vol.47 愛車にしばらく乗りません!
Vol.46 外出自粛の今、愛車を楽しむ方法とは?
Vol.45 新型コロナウイルス問題でフェラーリの新車販売はどうなる!?
Vol.44 フェラーリでスキーに連れてって!
Vol.43 ドアがロックされない!後編
Vol.42 ドアがロックされない!前編
Vol.41 トラブル発生! ドアが開かない!?
Vol.40 超有名漫画家が360モデナを描き下ろす!
Vol.39 新車フェラーリを購入!?

文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)

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みんなのコメント

5件
  • この人、ジャーナリストのわりにはオウナーとか独自の変な表記多いんだよな。普通はオーナーでしょ。他にも同様な例が沢山ある。小学校の国語からやり直さないといけないレベル。
  • F355を選んでいれば、その官能的なエキゾーストで手放す気など起きなかったでしょう。
    F1はトラブるのでMTで。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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