「手軽なサイズで走りと実用性を兼ね備えた車が欲しい」
そんな需要にピタリ、ハマるのが実用的なハッチバックをベースとしながらスポーティなエンジン、足回りを持つ“ホットハッチ”だ。近年、車の大型化が進み、セダンが衰退するなかで、特に「手頃なサイズ」という条件にも合致するのが、いわゆる欧州Bセグメントサイズの小型ホットハッチたち。
下剋上なるか!? 日本が誇る名門車VS世界の定番強豪車対決 3選
国産車では2017年にスイフトスポーツが発売されたのを皮切りに、2018年に入ってVWの新型ポロGTIも発売されるなど、Bセグホットハッチは今まさに活況。
注目のベスト5は、走りの楽しさと快適性、そしてコストパフォーマンスを採点し、その合計点で決定! まずは2台が同点で並んだ4位からお届けしよう。
文:松田秀士
写真:編集部、VW、NISSAN
ベストカー 2018年10月26日号
4位/ノート NISMO S
【このモデルの〇】
クラッチペダルのストロークが短く、奥まで踏み込んでエンドになった時のフィーリングに剛性感がある。まるでスーパーGTレースカーのようだ。ペダルストロークが短くてもシフトストロークが長すぎるとタイミングが合わない。その点、ノートNISMO Sはちょうどいいレベルにある。
またNISMO Sはレカロシートを採用。サポート性、乗り心地、機能性そしてデザイン、どれを取っても申しぶんない。ステアリングやシフト操作の邪魔にならず出しゃばらないデザインがいい。コーナリングでノートNISMO Sは操作に対する反応がリニアで、限界がわかりやすく、安心して攻め込める。
ドライバーが行った操作に対して常に正確なフィードバックがある。2速4200rpmが60km/h、この回転域のエンジンレスポンスがとても鋭い。
エクステリアデザイン面では、まとめ方がお洒落。サイドスカートのリアフェンダーあたりでは曲線を使って風を流すイメージを演出。リア周りのエアロも、コンプリートモデルとしては出しゃばり過ぎていない。
【このモデルの×】
メーターパネルのデザインをもっとNISMOらしく主張のあるものにしてもいいのではないかと思う。
また、100km/h巡航は5速ギアで3200rpmほど。メカニカルノイズが耳につき気になるので、クルージング用の6速ギアが欲しい。
4位/MINI ジョン・クーパー・ワークス
【このモデルの〇】
現在、筆者はジョン・クーパー・ワークス(JCW)をベースに、本格レーシングマシンに改造したMINIで戦うMINIチャレンジ・ジャパンにフル参戦しているが、グリップの高いレーシングタイヤを履いても負けない堅剛なボディに毎戦感動する。少々のクラッシュや接触にもボディはまったくヘタらない。
まず、そのタフでガッシリしたボディだ。そして短いホイールベースからもたらされる、ゴーカートのように横方向に瞬間移動するようなデジタルなドライブフィール。レーシングマシンに改造しても、そのフィーリングはまったく変わらない。
つまり、MINIのハンドリングの楽しさはこの個性的なボディからもたらされている。そして、オーバースペックと呼べるほど力強いトルクとパワーだ。8速ATは非常に滑らかで、ダッシュボードのトグルスイッチひとつでエコモードに変更でき、コースティングを積極的に行い省燃費に貢献する。
【このモデルの×】
どんな良薬にも副作用があるように、短いホイールベースゆえに前後の荷重移動が速く、ブレーキングで不安定になりがち。また、他モデルは7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)仕様に変更されたのに、JCWはトルコン式の8速ATなのか?
スムーズだが、やはりパドルシフト時に歯切れのいいDCTにしたい。また、これも短いホイールベースゆえなので、アジリティと引き換えに致し方ないのだが、速度の高低にかかわらず路面の影響を受け直進性がファジーだ。
3位/ルーテシアR.S.
【このモデルの〇】
ルノー独自のHCC(ハイドロリック・コンプレッション・コントロール)によって、コーナリングの質が高い。
通常ダンパーには凸凹を通過したり、コーナリングで大きくロールした時に、オーバーシュートを防ぐ目的から樹脂製のバンプストッピングラバーが組み込まれている。
ただ、このラバーに接触すると反力が発生して急激な面圧変化が起き、タイヤのグリップが一時的に減少する。もちろんクルマも不安定になる。またラバーに接触した瞬間のステアフィールへの影響もありイマイチになる。
そこでHCCはラバーを廃止してセカンダリーダンパーをダンパー内に組み込む、という贅沢な設計。これによって底突き感がなく、路面からの強い入力があっても安定したロードホールディングが得られるのだ。もともと激しくホイールトラベルを繰り返すラリーからフィードバックされたものだ。
また、コーナリングでFF特有のアンダーステアを軽減する目的で、前輪内輪にブレーキをかけて、より曲がりやすくする電子制御ディファレンシャルが採用されている。少ない操舵角で狙ったラインをトレースできる。
【このモデルの×】
正直これがNGというのはあまりない。敢えて言うならHCCによってタイヤの限界を感知しにくくなったことか?
知らぬ間にバンプラバーによる限界のわかりやすさに慣れ切った我々としては新しいフィーリングなのだ。
2位/ポロGTI
【このモデルの〇】
プラットフォームを上位モデルのアルテオン、パサート、ティグアンそしてゴルフで採用しているMQBを基に開発したコンパクトモデル用のMQB AOにしたことで、ボディ剛性が格段にアップし、その効能としてサスペンションの動きが正確になっている。
サスペンションはベースモデルに比べて締まり感が強いが、初期操舵時のノーズの反応が速く、落ち着きがあるのでコーナリングラインを正確にトレースできる。旧モデルのポロGTIにはなかった点で、大きく進化している。
アクティブインフォディスプレイは、ステアリング上のスイッチを操作することで簡単にメーターパネルに、ナビやメーター、燃費情報などを表示させることができ、とても利便性が高い。
スポーツモードに設定して、アクセルOFF時にアフターファイヤーのボロボロボロ♪ というエキゾースト内の爆発音、そしてシフトアップのたびにDSGと協調したブッ♪ というブリッピング音など、とてもレーシーな排気音演出がされている。
【このモデルの×】
やっぱり車幅が1751mmとなり、これまでの5ナンバーから3ナンバーになってしまったこと。MQBプラットフォームをベースにしているからしかたのないことか。
あと、エクステリアデザインにもっとGTIっぽいアクセントが欲しい。ポロはゴルフの弟分なのだから、もっと弾けてもいいと思う。サイドステップの空力感があってもいい。
1位/スイフトスポーツ
【このモデルの〇】
キャビンでの耳障りなノイズが少なく室内快適性が高い。サスペンションのバネレートがスポーツモデルとしては比較的ソフトで、路面へのタイヤの追従性がいい。特に、コーナリング中に路面の凸凹を上手く吸収するので、安定したコーナリング姿勢を維持することができる。自律直進性が高く、直進時のステアリングのピタッと座ったフィーリングが安心感をもたらす。
エンジンのトップエンドは6000rpmで、2速60km/hが4000rpm。3000~6000rpmまでの伸びのある加速感がいい。
エンジン音も出しゃばりすぎていない。操舵時の初期応答はしっかりしていて、そこから切り足していった時にヨーの立ち上がり(ノーズが入っていくレベル)が過敏でなく、ドライバーのステアリングスピードを忠実に反映する(意のままの操舵感)。
【このモデルの×】
ハッキリ言って×はない、といってもよいが、走りにフォーカスした車体設計なのでスポーツハッチとしてのユーティリティに欠ける。後席のスペース、ラゲッジスペースにそれほど期待してはいけない。歴代スイフトスポーツとはこんなもの、という認識が一般化しているのでそれほどネガに捉えられてはいないけれども。
また、エンジン音はスポーティだが、例えばメルセデスベンツ A45 AMGのように、アクセルオフ時のアフターファイヤーの爆発音などのようなギミックを演出してもいいのではと思う。また、シフトストロークはもっとショートシフトでもよいと感じる。
◆総合結果
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