ようやく2023年シーズンのロードレース世界選手権の幕開けが目前に迫った。開幕を前に、2022年シーズンの振り返りとしてHRCでレース運営室長を務める桒田哲宏氏に話を聞いた。HRC開発ライダーである長島哲太に、どのような思いからMotoGPクラスで計4戦を戦わせたのだろうか。
2020年までMoto2を戦った長島は、2021年から国内に戻りHRCのテストライダーとして、MotoGPマシンのRC213VやSBKマシン、鈴鹿8耐マシンのCBR1000RR-Rをテストしてきた。Moto2参戦者の長島だが、MotoGPにおいての経験はこのマシンの開発が初めてだった。
2022年型ホンダRC213Vの大きな課題とドゥカティへの意識。2023年に向けた開発コンセプトとは/MotoGP取材会
しかし、2022年シーズンの第16戦日本GPでTeam HRCからワイルドカードで自身初となるMotoGPクラスへの参戦を果たした。デビュー戦は無念のリタイアに終わったが、日本GP後3戦にはLCRホンダ・イデミツよりフル参戦している中上貴晶が怪我したことにより代役で出場した。
「彼にはMotoGPのレースを経験してもらいたかったんです。日本GPでは彼も初のMotoGPのレースで思うようなレースも出来なく、決勝も転倒してしまったので、中上選手の欠場もあり出場してもらいました」と桒田氏は語る。
「MotoGPのレースを他のライダーと一緒に走ることで、彼らがどういう走り方をして、どういうところでスピードを出してるかなど、しっかり把握してもらうのはテストライダーとして非常に重要なところです。それが足りてなかったところなんですよ」
それまでもモビリティリゾートもてぎでテストした際は、好タイムを記録していたというが、ライディングがレギュラーライダーと違ったという。
「彼はもてぎでそれなりのタイムで走るんですけど、タイムを出してる場所は(レギュラーライダーと)違うんですよね。レースになった時にどういうタイムの出し方をしている方が強いのかなど彼自身が学んでくれました」
中上の欠場により、偶然にも4レースを経験できたことになるが、それが長島にとって良い経験になったと説明する。また、2023年型マシンの開発には良い効果だったと続けた。
長島にとって、世界トップクラスのライダー達とともにレースを展開する中で、新たな視点や気付きを得て、レベルアップにも繋げることができたシーズンとなったことだろう。そんな長島がHRCのテストライダーとして、開発に携わった2023年型のホンダRC213Vが今季にどのようなパフォーマンスを発揮するのか注目したい。
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