現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > かつてのスーパースポーツ「2000GT」や「フェアレディZ432」などが採用! 「マグネシウムホイール」が何十年たっても普及しないワケ

ここから本文です

かつてのスーパースポーツ「2000GT」や「フェアレディZ432」などが採用! 「マグネシウムホイール」が何十年たっても普及しないワケ

掲載 更新 16
かつてのスーパースポーツ「2000GT」や「フェアレディZ432」などが採用! 「マグネシウムホイール」が何十年たっても普及しないワケ

 この記事をまとめると

■軽量化はクルマづくりにおいて重要な要素

大径なのに幅が狭い! クラウンやプリウスが「謎のサイズ」のタイヤを装着するワケ

■しかしマグネシウムホイールが普及しないのはなぜか?

■マグネシウムホイールの特性や弱点について解説する

 2000GTやフェアレディZ432などに採用されていた

 自動車を設計する際、重要度の高い項目として車体(車両)の軽量化が挙げられる。自動車を動く物体と捉えた場合、軽く仕上げるということは、走る、曲がる、止まるの基本3要素すべてにおいてプラスに作用することになる。軽ければ、その分だけ加速はよくなり、旋回運動の限界点は向上し、制動距離は短くなる。もちろん負担重量が軽くなるから燃費性能も向上し、二酸化炭素の排出量も抑えることができる。自動車にとって、軽く仕上げることの効果は、計り知れないほど大きなものがあるということだ。

 さて、自動車の軽量化の歴史をたどってみると、材料工学との戦いだった一面が明らかになる。もともと自動車の構成要素は、鉄、木、革、ゴム、それにガラスあたりを組み合わせたものだったが、材料工学の進歩により、軽合金素材や樹脂素材が用いられるようになってきた。とくに、重量の多くを占める鉄素材が、軽合金素材や樹脂素材に代わったことで、軽量化や造形の自由度が増すという効果も生んできた。

 今回は、「時おり目にするマグネシウムホイールがそれほど普及しなかったのはなぜ?」というテーマを編集部から示されたが、たしかに、日本でもマグネシウムホイールはかつての高性能車、トヨタ2000GTや日産フェアレディZ432、世界レベルでもポルシェ・カレラGT、ブガッティ・ヴェイロンといった超ド級スポーツカー、いわゆるスーパーカーで採用されてきた実績がある。

 ふつう、ホイールといえばアルミホイールが頭に浮かぶが、アルミニウムではダメでマグネシウムでなくてはならない理由、あるいはその逆で、マグネシウムではだめでアルミニウムでなくてはならない理由を考えてみることにしよう。そのためには、まずホイール素材という条件を捨て、広範な視点でアルミニウムとマグネシウムの特性の違いを挙げてみることにしよう。

 マグネシウムの弱点は耐腐食性

 まず、素材そのものだが、元素表で見れば、マグネシウムが12番元素、アルミニウムが13番元素と隣同士だが、比重はマグネシウムが1.7でアルミニウムが2.7とけっこう違っている。マグネシウムはアルミニウムに対して約6割程度の重量で、軽量性という意味ではマグネシウムが勝る状況にある(ただし、比強度はマグネシウム42GPaに対してアルミニウム70GPaとアルミニウムのほうが強い)。

 ただし、これらはあくまで純マグネシウム、純アルミニウムの場合で、実際、工業製品として作られる場合には、マグネシウム合金(アルミニウム、亜鉛などとの合金)、アルミニウム合金(銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケルなどとの合金)という形で、本来の素材が持つ特性上の弱点を補うかたちで実用化されている。

 こうした意味では、マグネシウム合金もアルミニウム合金も実用上の特性には大きな違いがないようにも思えるが、じつは、マグネシウムは決定的な弱点を持っている。水、アルコール、酸と反応しやすく、耐腐食性が低いということである。もちろん、合金化によってこれらのウイークポイントは抑えられるようになっているが、基本的に持つ特性を根底から拭い去ることはできない。

 たとえば、ホイール素材として使った場合だが、腐食を避けるために塗装を施すが、マグネシウムという金属は塗装との密着性があまりよくなく、塗装の剥がれから金属面が外気と接触するとそこから腐食が進み、しかも内部に進行するというありがたくない特徴を持っている。簡単に言えば、古くなったマグネシウムホイールの利用にはリスクを伴うということである。実際、軽いことからレーシングカーのホイールとして使われているが、時間の経ったマグネシウムホイールの使用は避けられ、廃棄される例がほとんどである。

 マグネシウム合金ホイールは、経時変化に伴う品質の保証(耐腐食性、耐振動性、耐衝撃性の確保)が難しく、量産車レベルでの使用であれば特性的にもアルミニウム合金ホイールで代用が効くことから、積極的な採用にいたっていないと判断してよいだろう。軽さは魅力だが、耐腐食性を狭い領域での実用化にとどまっているのが現状だ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
オヤジむせび泣き案件!! ホンダの[デートカー]が帰ってくるぞ!! 新型[プレリュード]は究極のハイブリッドスポーツだ!!!!!!!!!
ベストカーWeb
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
ラリージャパン2024が開幕。勝田貴元が新レイアウトのスタジアムステージで3番手発進/WRC日本
AUTOSPORT web
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
N-VANより安い200万円以下!? スズキ新型[エブリイ]は配達業を助ける!! 航続距離200kmのBEVに生まれ変わる
ベストカーWeb
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
実録・BYDの新型EV「シール」で1000キロ走破チャレンジ…RWDの走行距離はカタログ値の87.9%という好成績を達成しました!
Auto Messe Web
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

16件
  • それ以前に加工自体が大変なんです。材料的には柔らかいのですが、旋盤等機械加工時に火花出したら困った事に一気に燃えるんです。おまけに水をかけての消化が出来ません。水の化学式のOに反応してしまい更に燃焼が大きくなるので黄色い金属消化器でないと消せないんです。マグネシウム材は加工引き受けてくれる業者少ないんです。
  • 今はもっと軽いカーボンホイールやチタンホイールもありますが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村