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GRスープラをライバル対決で測る! vs アルピーヌA110 & ポルシェ718ケイマン【動画レポート】

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GRスープラをライバル対決で測る! vs アルピーヌA110 & ポルシェ718ケイマン【動画レポート】

GR Supra SZ-R vs Alpine A110 vs Porsche 718 Cayman

GR スープラ SZ-R 対 アルピーヌA110 対 ポルシェ718ケイマン

GRスープラをライバル対決で測る! vs アルピーヌA110 & ポルシェ718ケイマン【動画レポート】

サーキットで相対するはアルピーヌA110&718ケイマン

これまで様々な舞台でステアリングを握ってきた新型スープラ。ファーストコンタクトはサーキットで、その時のモデルはRZだった。その後、開発の舞台となった南仏の一般道ではライバル達と比較。そして日本の下山テストコース、更には箱根の一般道ではRZ、SZ-R、SZの各モデルを試している。

振り返れば、一般道で乗る限りは本命である直列6気筒ターボエンジンを積むRZよりも、直列4気筒ターボのSZ-Rの方が、走りがより軽快に感じられることは間違いない。パワーはそこそこだがフロント荷重が軽い分、動きにより強い一体感が得られるからだ。世間、特に同業者の評価も概ね同様のようである。

但し、これまでサーキットでSZ-Rは試せておらず、その限界特性を知るまでは評価を下せないという気がしていたのも事実。また、直列4気筒ターボエンジンを積むとなれば、多くのライバルが視野に入ってもくる。ここはやはり、スープラSZ-Rのサーキットテスト、ライバルとの比較も含めて実現するしかないと考え、我々は夏の暑いさなかに袖ヶ浦フォレストレースウェイに集まったのである。

ライバルとして連れ出したのはアルピーヌA110ピュア、そしてポルシェ718ケイマンの2台。いずれもスポーツカーとしては最上級の評価を得ているモデルである。スープラSZ-Rは果たしてどんな走りを見せるのか。そして、ライバル達と戦えるのか。

コンパクトなサーキットで本領を発揮するA110

まずはライバルからチェックを開始する。最初に乗り込んだのはアルピーヌA110である。

鮮烈なのは、その軽さだ。1110kgの車重は伊達ではなく、加減速もコーナリングも今どきのクルマとしては異例なほどに一体感が高い。当然コーナリングスピードは速く、しかもアンダーステアやオーバーステアが出た時にも余裕をもって対処できる懐深さも併せ持つ。サスペンションは柔らかめの設定だが、それがタイヤを路面に執拗に押し続け、安心感に繋がっているという具合だ。

ミッドマウントされる1.8リッターターボエンジンの最高出力は252ps、最大トルクは320Nmを誇り、しかもトランスミッションはダイレクトな締結感が魅力の7速デュアルクラッチ、そして車重1110kgという軽さが相まって、動力性能は活発そのもの。全域でツキが良く、踏めば即座に確かなトラクションを感じることができる。吹け上がりはフラットでドラマ性には乏しいが、このパワートレインも間違いなく走りの一体感、コントロール性の高さに貢献している。

まさに袖ヶ浦フォレストレースウェイのようなコンパクトなサーキットでは水を得た魚。ずっと走り続けていたい・・・思わず、そんな誘惑に駆られてしまった。

718ケイマンはスポーツカーの教科書だ

続いて718ケイマンに乗り換える。右ハンドル+MTの試乗車は、ペダル配置がやや窮屈。慎重に走り出す必要があったが、一旦コースに出ると、やはりこちらもさすがと唸らされる走りっぷりを披露してくれた。

アルピーヌから乗り換えると、車重の差もあって安定志向というか、最終的にはアンダーステアに落ち着くハンドリングの躾けではあるが、曲げるにせよ安定させるにせよドライバーに委ねられている部分は多く、非常に素直で運転しやすい。自分を中心としたような旋回感覚など、911とは異なるミッドシップの魅力も十分に味わえる。まさにスポーツカーの教科書、いかにもポルシェらしいフットワークと言ってもいいだろう。

水平対向4気筒2.0リッターターボエンジンは、当初ほど4気筒の粗いビート感がイヤには感じられなくなり、むしろ回転上昇につれてスムーズさを増していくフィーリングを楽しめた。但し、最高出力300ps、最大トルク380Nmというスペックはともかく、実際に走らせると低速域のトルクは明らかに不足していて、変速をさぼればコーナー立ち上がりの勢いが削がれてしまう。

積極的なシフトダウンで高回転域をキープする必要があるが、両手両足を駆使するそんなアナログな走りは、速さとは関係なく充足感に満ちている。

すべてのアクションに丁寧さが不可欠なスープラSZ-R

いよいよスープラSZ-Rでコースに入る。最高出力258ps、最大トルク400Nmを発生するエンジンの吹け上がりは軽やか、そしてスムーズ。絶対的なパワーはそれなりだが、回すほどに力が漲ってくる感触も心地よく、つい右足に力が入る。8速ATのシフトチェンジはライバル2車のDCTほどには鋭くはないが、全域で分厚いトルクが出ているので大きな不満に繋がることはない。

一方、フットワークはそれほど懐深くはない。ワインディングロードで感じたのと同じようにターンインはきわめてシャープ。記憶にあるRZと較べても、鼻先の軽さを実感する。

その後は間髪入れずに、いかにもワイドトレッド、ロングホイールベースという感覚のコマを回すかのような旋回モードに入るが、アクセルオンは焦ってはいけない。効きの強いアクティブディファレンシャルのおかげで、アクセルを踏み込むとクルマはどんどんどんどんイン側に向いてくるし、いざ限界を超える段でのリヤの挙動はピーキーだから、下手すると一気に姿勢を乱すことになるからだ。

スープラSZ-Rをうまく手懐けるには、すべてのアクションを丁寧に丁寧に行なわなければならない。突っ込みすぎず手前からじわりと切り込んでクルマなりにターンインさせ、アクセルもドンッと一気に踏み込まないように。曲がりたがるクルマをなだめつつ挙動を乱さないように走るのがポイントである。

パフォーマンスは同等ながらスープラの繊細さが際立つ

3台とも、袖ヶ浦フォレストレースウェイのストレートエンドでは約170km/hに到達するなど、パフォーマンスはほぼ同等と言っていいが、しかしながら走りのキャラクターはそれぞれまったく異なるものだった。一番、意のままになる感覚が強いのはA110。安定感が光るのは718ケイマンだ。

そしてスープラSZ-Rはと言えば、速さはこの2台といい勝負であり、また300kg以上も軽量なA110にも遜色ないほど軽やかなフットワークを披露する一方で、スイートスポットは決して広くはない。攻め過ぎればすぐに姿勢を崩してしまい、その速い領域にクルマを留めるのは、まさに針の穴に意図を通すかのような繊細さが求められるのである。正直、筆者も試乗中には肝を冷やす場面があった。走り慣れた袖ヶ浦フォレストレースウェイだけに、ちょっとショックだったが、一方でうまく決まれば痛快なのも事実で、つい何度もトライしてしまったのだった。

但しブレーキについてはハッキリと不満と言っておく。ブレンボ製4ポッド対向ブレーキキャリパーと大径ベンチレーテッドブレーキディスク、大容量ブレーキパッドを組み合わせたRZに対してブレーキの容量が不足しているおかげで、数周するうちにタッチが変わってしまったのである。A110も718ケイマンもそういうことは無かっただけに、改善を求めたいところだ。

結論としてはGRスープラSZ-R、特にサーキットの領域での走りにはピーキーな部分も散見されるもののポテンシャルは十分高く、今回比較に持ち込んだライバル達とも、十分良い勝負ができていた。しかも価格を見れば、A110の790万円はもちろん、718ケイマンの680万円に対しても、まだまだ100万円近くも安いのだから、魅力は大きい。スポーツカーは嗜好品ゆえに、どれがベストだなどと断ずるつもりはないが、少なくとも有力な選択肢がまたひとつ増えたことは間違いない。

REPORT/島下泰久(Yasuhisa SHIMASHITA)

PHOTO & MOVIE/宮門秀行(Hideyuki MIYAKADO)

https://www.youtube.com/watch?v=JE20TSrXEUc

【SPECIFICATIONS】

GR スープラ SZ-R

ボディサイズ:全長4380 全幅1865 全高1295mm

ホイールベース:2470mm

トレッド:前1595 後1590mm

車両重量:1450kg

エンジン:直列4気筒DOHCツインスクロールターボ

ボア×ストローク:82.0×94.6

総排気量:1998cc

最高出力:190kW(258ps)/5000rpm

最大トルク:400Nm/1550~4400rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前マクファーソンストラット 後マルチリンク

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

キャリパー:前後アルミフローティング

タイヤサイズ:前255/40R18 後275/40R18

WLTC燃費:12.7km/L

車両本体価格(消費税8%込):590万円

アルピーヌ A110 ピュア

ボディサイズ:全長4205 全幅1800 全高1250mm

ホイールベース:2420mm

トレッド:前1555 後1550mm

車両重量:1110kg

エンジン:直列4気筒DOHC16バルブ+ターボ

ボア×ストローク:79.7×90.1mm

総排気量:1798cc

最高出力:185kW(252ps)/6000rpm

最大トルク:320Nm/2000rpm

トランスミッション:7速DCT

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

キャリパー:前4ピストンアルミモノブロック 後シングルピストンアルミ

タイヤサイズ:前205/40R18 後235/40R18

JC08燃費:14.1km/L

車両本体価格(消費税8%込):790~811万円

ポルシェ718ケイマン

ボディサイズ:全長4385 全幅1800 全高1295mm

ホイールベース:2475mm

トレッド:前1515 後1532mm

車両重量:1360kg(※7速PDK:1390kg)

エンジン:水平対向4気筒DOHC+ターボ

ボア×ストローク:91.0×76.4mm

総排気量:1987cc

最高出力:220kW(300ps)/6500rpm

最大トルク:380Nm/1950~4500rpm

トランスミッション:6速MT

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前後マクファーソンストラット

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク

キャリパー:前後4ピストンモノブロック

タイヤサイズ:前235/45ZR18 後265/45ZR18

EU6総合燃費:7.9L/100km

車両本体価格(消費税8%込):680万円

【問い合わせ】

トヨタ自動車

TEL 0800-700-7700

アルピーヌ コール

TEL 0800-1238-110

ポルシェカスタマーケアセンター

TEL 0120-846-911

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