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日産と赤ちゃん本舗が制作した運転中の子守支援ロボット「INTELLIGENT PUPPET イルヨ」に車内置き去り事故防止の新機能「マダイルヨ」が追加

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日産と赤ちゃん本舗が制作した運転中の子守支援ロボット「INTELLIGENT PUPPET イルヨ」に車内置き去り事故防止の新機能「マダイルヨ」が追加

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

運転中にお互いが見えなくなる「チャイルドシートの壁」に対応したロボット「イルヨ」

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今年1月にコンセプトモデルが発表された、日産自動車と赤ちゃん本舗の2社で協業して制作した運転中の子守支援ロボット「INTELLIGENT PUPPET イルヨ」。

日産と赤ちゃん本舗が共同で行った調査では、6割以上がドライバーと子どものみでのドライブを週に1~2日以上経験しており、2人きりのドライブ中の悩みとして、8割以上が「赤ちゃんが泣いた時にあやせない」と回答。

15ヶ月未満まで装着が義務化されている、後ろ向きで乗せるチャイルドシートでは、親と子どもの2人きりのドライブ中に互いが見えなくなる「チャイルドシートの壁」が生まれているためではないかと考察。調査でも9割以上が「後ろ向きベビーシートにより、赤ちゃんの様子がわからず不安」と感じている。

日産と赤ちゃん本舗は、チャイルドシートによる赤ちゃんの安全を確保しながら、親子が安心してドライブできる車内環境づくりを目指して解決策を構想。運転中の子守りを支援するロボット「イルヨ」を開発した。



日産のセンシング技術から着想を得て開発したイルヨは、後部座席のチャイルドシート横に設置するロボットのイルヨと、運転席横のドリンクホルダーに設置するロボット「ベビー イルヨ」の2体で構成。

ドライバーの近くにあるベビー イルヨにはマイクが付いており、「いるよ」「いないいない、ばぁ」「こっちだよ」「お歌を歌うよ」4つのウェイクワードを投げかけると、後部座席のイルヨが作動。ウェイクワードに合わせた動作でチャイルドシートに座る赤ちゃんをあやす。

後部座席のイルヨのカメラが赤ちゃんの表情を認識してベビー イルヨに伝達。ベビー イルヨの目の開閉によって赤ちゃんが寝ているかどうかを親が確認できる。

運転中に子どもが静かになっても様子が把握できない不安に対して、ベビー イルヨの目を閉じていれば「寝ているんだ」と、安心して運転ができる。

9月には子どもの車内置き去り事故を防止する新機能の「マダイルヨ」が追加。後部座席のチャイルドシートに設置したイルヨと保護者のスマートフォンを無線で接続し、その接続の強弱から距離を推定し、イルヨと保護者が離れていないかを検知。

親が車から一定距離以上(約3m前後)離れると、イルヨの表情認識カメラが、子どもが車内に残されていることを判別して、親のスマートフォンに警告通知を送る。離れている状態が解除されるまで、親に気づかせるために警告通知は出し続ける仕様に。

ここ数年に起きている車内の子ども置き去り事故は特殊なケースばかりではない。幼稚園や保育園がきょうだいで異なり複数の場所に送迎する際、全員終わったと勘違いしてしまう、夫婦で乗っているときに、互いが子どもと一緒だと勘違いして車内に置き去りにしてしまうといった事故も発生している。

勘違いや突然のトラブルといった、ヒューマンエラーによって車内置き去り事故は『誰にでも起きる』可能性があるとして、新機能を追加したという。



イルヨは事故防止の啓蒙活動の取り組みの一環として行っているコンセプトモデルのため、製品としての発売や実装については、現在のところは未定だが、一般向けにイルヨの機能を体験できる特別体験会を実施する。

〇イルヨ体験会

2024年9月15日(日)~9月16日(月・祝) 、場所:日産グローバル本社ギャラリー。会場では、日産の軽自動車「ルークス」にイルヨを設置し、実際に運転席に座って新機能のマダイルヨを含めたイルヨの様々な機能を体験できる。9月15日は、タレント/子育てインフルエンサーの木下ゆーきさんと、プロジェクト監修者の小児科医・坂本昌彦先生のトークショーも実施。詳細はこちら。

【AJの読み】日産自動車が取り組む「車内置き去り事故防止プロジェクト」

日産では「車内置き去り事故防止プロジェクト」を立ち上げ、後部座席にバッグを置き、車を出る時は必ず後部座席を確認できるようにする「バッグ オン バック」や、降りる前にバックミラーでうしろをチラ見する「チラ見ラー」など、車内置き去り事故を防止する情報発信を行っている。

新機能「マダイルヨ」もこのプロジェクトの一つ。ユーザーへの調査や体験会などを通じ、さらに悩みごとや追加してほしい機能などをリサーチして、今後の取り組みに活かしていきたいと日産は話す。

イルヨは15ヶ月未満の赤ちゃんを対象にしているため、実証実験を行なった北里大学医療衛生学部 准教授 川守田拓志先生からの「赤ちゃんの関心を惹き、かつ発達の早期に獲得する色として赤色が効果的」とのアドバイスを受けてメインカラーを赤に選定。ルークスのカラーバーリエーションからピンクとバニラの淡い色彩を2色もラインアップした。

また、ロボットではあるが、赤ちゃんを怖がらせないため、ぬいぐるみ作家がデザインしたかわいらしく温かみのある形になっている。

「イルヨ」のネーミングの由来は、開発初期段階に行った赤ちゃんのいる親へのヒアリングで、運転中に後部座席の赤ちゃんをあやす言葉の投げかけとして「◯◯ちゃん、いるよ。ここにいるよ」と、親が赤ちゃんに声かけする様子が多く見受けられたことから。

運転中は背中合わせで互いが見えない状態になっているため、「いるよ~!と声かけをしている!」とうなずく人も多いはず。

実際に体験してみると、2人きりのドライブでは不安だったことが解消され、安心さを実感できる。今のところ製品化は未定だが、実装を待ち望む声も多くありそうだ。

取材・文/阿部純子

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