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2025年を見据えたF1ドライバー”移籍バトル”……ハミルトンが引いた引き金を、次に動かすのは誰か?

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2025年を見据えたF1ドライバー”移籍バトル”……ハミルトンが引いた引き金を、次に動かすのは誰か?

 2024年シーズンの開幕が迫ってきた。しかしその先を見ると、多くのチームは2025年のドライバーラインアップを確定しないまま、新シーズンを迎えることとなる。そんな中、ルイス・ハミルトンが今季限りでメルセデスを離れ、来季からフェラーリに移籍することを決断したことで、ドライバーの移籍市場が激動期を迎えそう……そんな匂いが漂い始めている。

 現時点で2025年シーズンのF1シートは、全20席のうち7席のみが決まっている状態。そのうちマクラーレンとフェラーリは、2026年以降のシートもすでに確定している。

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 レッドブルはマックス・フェルスタッペンとの契約を2028年まで締結済み。メルセデスもジョージ・ラッセルと2025年までの契約を交わしている。またアストンマーティンのランス・ストロールは、父親がチームオーナーであるということもあり、契約期間は発表されていないものの、当面は同チームに残ることになるだろう。

 これ以外の13のシートは、2025年についてはまだ未定。今後様々な動きが出てくるはずだ。しかしその椅子取りゲームは、いつ動き出すのだろうか?

 これにはふたつの形が推測できる。ひとつはハミルトンの動きを皮切りに、急激なスピードでドライバー市場が加熱するというシナリオだ。どのドライバーもチームも、他の動きに取り残されないように早々に将来を決めてしまうという形である。

 その一方で、まだ未定のシートも、去就が未定のドライバーも数多く存在するため、周りの動きを見守ることになるというシナリオも考えられる。自転車のロードレースの道中で互いに牽制し合い、残りわずかとなったところで大集団のスプリント勝負になる……そんな形といえばいいだろうか?

 しかし、レッドブルやメルセデスといった、魅力的なシートもまだ残っている。彼らとしては、そう簡単に残りのシートを決めることはできないだろう。それを考えれば、後者のシナリオの方が現実的なように見える。

メルセデスはルーキードライバーを起用するのか?

 メルセデスの空いているシートは、これまでのチームの実績を考えれば、どんなドライバーにとっても魅力的なモノと言えるだろう。しかしチームが最も注目しているのは、秘蔵っ子とも言えるアンドレア・キミ・アントネッリだ。

 アントネッリは2022年にドイツとイタリアのF4でチャンピオンとなり、2023年はフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ選手権を制覇。FIA F3を飛ばし、今季はいきなりFIA F2に参戦することとなった。所属チームはトップチームのプレマである。アントネッリがこのF2でいきなりチャンピオンを争うような速さを見せれば、メルセデスはハミルトンの後任として彼を大抜擢する可能性もあるだろう。

 ただ、シーズンが始まってしばらく経たなければ、それを判断するのは難しいだろう。つまりメルセデスとしては、時間が欲しいというわけだ。

 メルセデスにとってのプランBは、アントネッリをいきなりメルセデスで起用するわけではなく、他のチームからF1デビューさせることだろう。この場合は、ウイリアムズがその最有力候補となる。実際ジョージ・ラッセルも、まずはウイリアムズからF1デビューし、そこで実績を残してメルセデス昇格のチャンスを掴んだ。

 ただウイリアムズとしても独自の意向があるため、たとえメルセデスがそれを希望したとしても、叶わない可能性もある。

レッドブルのふたつ目のシートはどうなる?

 レッドブルのふたつ目のシートの候補となるドライバーには事欠かない。

 チームにとっては、セルジオ・ペレスを起用し続けるのが最優先ということになるだろう。もしペレスが今季、期待通りのパフォーマンスを発揮することができなかったとしても、複数の候補がいる。

 レッドブルの傘下であるビザ・キャッシュアップRBには、ダニエル・リカルドと角田裕毅がいるし、リザーブドライバーのリアム・ローソンもいる。またレッドブルは、かつてチームに所属していたアレクサンダー・アルボンを呼び戻すことも検討しているとも言われる。

 ただチームにとっての喫緊の課題は、従業員に対する”不適切行為”があったとして告発されたクリスチャン・ホーナーの処遇であり、将来のドライバー問題に対処するのはそれが解決した後ということになろう。

 アストンマーティンは、フェルナンド・アロンソとの契約延長を望んでいることを公言して憚らない。アロンソ本人もアストンマーティンが優先だと明言しており、その可能性は高そうだ。ただアロンソには、メルセデスが触手を伸ばしているとの情報もある。

■アルピーヌのいずれかが、チームを離れる可能性

 アルピーヌのエステバン・オコンとピエール・ガスリーは、いずれもグランプリウイナーであり、他チームにとっても魅力的な選択肢と言えよう。アルピーヌは交渉が進んでいることを明らかにしており、オコンも早期に契約を延長する可能性を排除していない。

「早ければ早いほどいいね」

 そうオコンは語った。

「だって今年は、多くのドライバーの去就が決まっていない。間違いなく大混乱になるだろう」

「僕はこのチームにとても満足している。ここで何年もレースしているからね。家族の一員みたいなものだよ。でも、F1はF1だ。何が起きるかは分からない」

 ただオコンにとっては、決断を急ぎたくない理由がひとつある。それはオコンはメルセデス育成として育ってきたため、メルセデスのシートも選択肢のひとつに入る可能性があるからだ。

「僕はメルセデスと繋がりがあるというのも明らかだ。2015年以来、僕は長いことメルセデスのマネジメント下にある。もう育成ドライバーではないけど、まだ傘下にいるんだ。今後どうなるか見てみよう。でも現時点で僕は、アルピーヌと共にやらなければいけないこと、そして今後の計画に完全に集中している」

「そしてそれこそが、僕が集中しなければいけないことの全てだ。だってそれは、集中するのが大変なモノだからね。だからこそ僕には非常に競争力のあるマネジメントチームがいて、僕らがどこにいなければいけないかということについて、正しい選択をすることができる。だから僕は心配せず、コース上のことに集中している」

 オコンのチームメイトであるガスリーも、ハミルトンの移籍により、色々なことが面白くなってきたと認める。

「多くの人にとって予想外のことだったよね。ドライバー市場と力関係、そして移籍市場全体に変化を及ぼした」

 そうガスリーは言う。

「もちろん、僕は昨年からアルピーヌに加入しており、取り組んでいるプロジェクトについては理解している」

「僕は今年末で契約が終了するけど、話し合いが進められている。それだけだ。状況はかなりハッキリしていると思うけど、現時点ではこのマシンがどれほどの能力を発揮できるのかを知りたい。そして最終的にはトップを争うのが僕の目標だ」

「アルピーヌならそれは可能だと僕は信じている。僕は今28歳だけど、良い経験を積んできているし、まさに働き盛りの時期にいる。勝利を表彰台を目指して戦うよ」

 来季に向け、ドライバー市場が激化するのではないかと尋ねられたガスリーは、「おそらくすでにそうなっていると思うよ!」と答えた。

「僕は自分の(マネジメント)チームにそういう仕事をしてもらっている。そして、僕はドライバーとして自分がやるべきことに集中している。自分がやりたいこと、パフォーマンス面でベストを尽くすこと、チームのためにベストを尽くすことのためには、それが必要なんだ」

「チームには1500人のスタッフがいて、昼夜問わずにマシンをできる限り良くするために働いている。そして僕の仕事は、それをグリッド上でできる限り表現することだ。だからそれに僕は焦点を当てている」

サインツJr.はどうする?

 去就が注目されるもうひとりのドライバーはカルロス・サインツJr.である。サインツJr.は、ハミルトンがフェラーリ入りをしたことで、来季のシートを失うことになった。

 しかし彼に対する評価は高く、2026年からF1にワークス参戦するアウディのドライバーの最有力候補ともみなされてきており、フェラーリとの契約終了が決まった今なら、その可能性はさらに高まったと言えよう。

「開幕戦の前に、自分の将来を整理したいと言ってきた。でもご想像のとおり、このシナリオはかなり変わった」

「おそらく、期待していたよりももっと長いプロセスになるだろう。おそらく僕のキャリアの中で、最も重要な3年から4年が、この先に待っているはずだ。その時に僕が正しい位置にいることを確実にしたい」

「次の目的地が、自分にとって正しいモノであることを確かにしたい。だから時間をかけて考え、全ての選択肢に耳を傾け、その全ての選択肢を検討するつもりだ。十分な時間と十分な情報を自分に与えれば、安心して決断を下すことができるようになるはずだ」

「そうは言っても、ふたつのことを区別することができると思う。僕には、そういうことに気を配ってくれる優れたマネジメント陣がいる。だから今の僕は、バーレーンでの開幕戦に集中することになる」

「僕はできる限り力強い形でシーズンをスタートし、最初から速く走れるようにすることに全力を尽くすつもりだ。他のことは、時間が経つにつれて自然に解決されるだろう」

■ペレスはシートを守るために、戦わなければいけない

 ペレスも、フェルスタッペンには差をつけられているとはいえ、他のチームからすれば魅力的なドライバーである。しかし彼にとっての最優先事項は、レッドブルのシートを守ることだ。

「ほとんどのドライバーは、今年のかなり早い段階で将来を確保したいと思っているだろうね」

 そうペレスは言う。

「しかし、それはそれぞれの人のアプローチにすぎない。僕としては、素晴らしい1年を過ごすことだけに集中している。残りの部分は、他の人たちがやってくれるんだ」

「コース上でパフォーマンスしている限り、残りの部分が常に重要になってくる。だから、あまり気にしていない。僕にとってはF1で14年目のシーズンだ。そして主な目標は、コース上でうまく立ち回ることだけだ」

「この仕事に長く携わっていると、それがどうやって機能するかが分かる。そして、それについてはあまり気にしていないし、それを楽しむことができることを確実にしたいだけだ。まずはたくさん楽しんで、モチベーションを高めていく。そうすれば、残りはうまくいくもんだ」

 21日からF1のプレシーズンテストがバーレーンで始まる。勢力図も、徐々に明らかになっていくだろう。まだ2024年のマシンが本格的に走り出す前にも関わらず、多くの注目がその将来に向けられている

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