マイナーチェンジを受けた新型ジャガー「Fペイス」に小川フミオが試乗した。ドイツ車とは異なる魅力とは?
個性ある内外装
29歳、フェラーリを買う──Vol.101 女優・夏樹陽子さんとの再会(後編)
ジャガー・Fペイスは、クオリティの高い、いってみれば“おとなっぽいSUV”を探しているひとに、勧めたいモデルだ。2021年2月にマイナーチェンジが実施され、エンジンが改良されるとともに内外装に手が入れられた。
ようやく5月に乗れたのが、小型モーターを組み合わせたマイルド・ハイブリッド・ディーゼルの「D200 R-DYNAMIC SE」。上質な作りで、かつスポーティな走りという、独自の魅力をしっかり持ったモデルであるのが印象ぶかかった。
Fペイスは2016年にデビュー。全長4755mmに対して全高1655mmと、背の高いSUVであるものの、ルーフ前後長を長めにとったプロポーションが奏功。見た目の印象は画像よりずっとステーションワゴンっぽい。ロングノーズが強調されているため、スタイリッシュだ。
もうひとつ、あたらしくなったFペイスで感心したのが、内装の仕上げ。ひとことでいうと趣味性が高い。「シエナタン」と名づけられた赤みがかった茶系のダッシュボードとシート。いっぽう、ピラーの付け根から天井にかけては、グレーのベロア調の素材で覆われている。
派手ではないものの、ドアを開けたときから、いい驚きがある。シートはサイドサポートが張り出したスポーティな形状で、かつ、ステアリング・ホイールは径が小さめで握りは太い。ドライバ−ズ・シートに身を落ち着けてステアリング・ホイールを握ると、なんというか”やる気”が出てくる。
同時に今回はダッシュボードまわりのデザインが変更され、11.4インチに拡大されたインフォテイメントシステム用モニターをはじめ、ゲンコツを作ったような握りやすい形状のギアシフトノブなどが用意されている。きちんとアップデートされたのだ。
ボルボやアルファロメオなども独自の世界観で魅力的なSUVを作るし、かつては“黒”一色で上質感のあるコクピットを作ることに命をかけていた感のあるドイツのメーカーも、昨今は、はっとするような斬新な色づかいで楽しませてくれるようになっている。
そこにあってFペイスは、このクルマでしか手に入らない世界観をもっている。まさにドイツ御三家のアッパークラスセダンに対する、ジャガーXJみたいなものだと思った。
ややアンダーステーテッド(ひかえめ)な印象があるものの、乗ればすっとなじみ好きになれる。そこが魅力なのだ。
軽快な走り
走りの印象は、期待よりもスポーティである。1997cc直列4気筒ディーゼルターボ・エンジンは、150kW(204ps)の最高出力とともに、1750rpmから430Nmもの最大トルクを発生する。
くわえて、今回、マイルド・ハイブリッド・システムが搭載され、走り出しなどは、反応にすぐれる小さな電気モーターがまわってトルクの積み増しをする。そのため、軽くアクセルペダルを踏んだだけで、じつにスムーズに発進するのがキモチよい。
モーターは、エンジンが充分なトルクを発生しはじめるあたりで停止。ノック音をほとんど意識させないディーゼルエンジンは、4000rpmをちょっと超えたところにあるレッドゾーンまでスムーズにまわり、ぐいぐいというかんじで、四輪を駆動して2010kgの車体を押し出していく。
アクセルペダルを踏み込んでいくと、8段オートマチック変速機は、速いペースでシフトアップをしていくのがわかる。6速で直結になるギア比なので、1速からそこまで、シフトアップしていくときにも力強さをしっかり感じさせてくれるのだ。ドライバーを痛快な気分にしてくれるのがうれしい。
ステアリング・ホイールを切ったときの車体の反応にもすぐれ、カーブが連続する道は、じつに楽しい。安定しているうえに、右へ左へ、クルマがひらりひらりと軽快な身のこなしをみせる。SUVというよりステーションワゴンぐらいの、ロードホールディング性の高さを感じるのだ。
試乗車にはくわえて、ドライブモードセレクターである「Jaguar Driveコントロール」と「ダイナミックハンドリングパック」という有償オプションが備わっていた。ふたつを組み合わせると、オンロードからオフロードまで、ダンパーの電子制御を含めた最適のドライブモードが提供されるという。
オンロードでは、標準の「コンフォート」が個人的には好きだ。足はよく動き、フラットな走行が快適である。スポーティな足まわりの「R-DYNAMIC(アールダイナミック)」というモデルであったものの、快適性は犠牲になっていない。
ワインディングロードなどでは、レース場で使うチェッカードフラッグを思わせるアイコンの、スポーツモードを使うと楽しい。「R-DYNAMIC」の本領発揮である。高めのエンジン回転が維持され、ステアリング・ホイールの操舵力が重めになる。これもまた楽しいドライブに貢献してくれるのだ。
そういえば、ヘッドランプのレンズの端っこに、「リーピングキャット」とよばれるジャガーのマスコットが浮き彫りにされていた。自動車デザイナーいうところの”イースターエッグ”(見つけたときに喜びを与える隠されたデザインの遊び)だ。こういうものは、余裕をもってクルマを作っているメーカーの自信のように私には思えた。
「D200 R-DYNAMIC SE」の価格は、800万円。ディーゼルエンジン搭載のSUVをドイツももで探すと、メルセデス・ベンツなら全長4670mmの「GLC220d 4 MATIC」(708万円~)、BMWなら4720mmの「X3 xDrive 20d」(742万円~)、アウディだと4680mmの「Q5 40 TDI quattro」(681万円~)といったモデルが思いつく。どれも手強いライバルであるなかで、趣味性の高さを感じさせる作りにおいては、Fペイスが一頭地を抜いている。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
前車のフロントダクトのメッシュの奥にSTIって文字が浮き出ていて洗車してて気付いた。
ディーラーで営業マンに聞いても知らないと言ってた、他のクルマにはついてなく
自分のは抽選販売の限定だったからメーカーが遊んだのかなとおもってた。
自動車ヒョウロンカって別に有名人でもないのに記事の中で自分の名前出したがるよね