このところ災害のニュースが続いている。そうした災害では直接的な被害はなくとも大規模な停電が問題となることも再認識されたことだろう。西日本を直撃した台風21号では電信柱が倒れるなどして広範囲に停電となった。また、北海道胆振東部地震では道内全域がブラックアウト(大停電)するという事態になった。そうした状況において、クルマから電力を取ることで当面の危機を脱したという報道もあった。
ハイブリッドカー、プラグインハイブリッドカー、電気自動車、燃料電池車といった、いわゆる電動車両はAC100V電源を取れるコンセントを装備していることが多く、また出力合計で最大1500Wまで対応しているため、複数の家電を動かすこともできるケースが多い。エンジン車のオプションパーツやアクセサリーのAC電源では100Wが上限となっているため、家電を動かすことは非現実的なのとは対照的だ。しかもプラグインを含むハイブリッドカーであれば燃料が入っている限り、発電機として電力を供給し続けることができる。
大地震と大停電に見舞われた北海道 地震発生からこれまでの状況を聞いた
たとえば、三菱のアウトランダーPHEVでいえば、ガソリン満タン、バッテリー満充電状態だったとして、いずれも使い切るまで発電だけに利用したとすると、100kWh相当の電力を供給することができるという。世帯あたりの平均消費電力が月間250kWh前後というデータもあるが、それを参考にすると、およそ10~12日間の電力をアウトランダーPHEVだけでカバーできる計算になる。とはいえ、家庭全体の電源として活用するにはV2H(ビークル・トゥ・ホーム)機器を事前に設置しておく必要がある。前述のように車載のコンセントは最大1500Wとなっているので、一家庭の全電力を供給するのは難しい。
そうした用途に向けた可搬型外部給電装置はホンダが用意しているが、税込み118万円という価格は個人所有のハードルが高く、自治体などが対象の製品となるだろう。なお、この「パワーエクスポーター9000」は、定格出力9.0kVAが可能で、またCHAdeMO(急速充電)ポートに接続するため、ホンダの燃料電池車やプラグインハイブリッド車だけでなく、トヨタや日産、三菱のCHAdeMO対応車両で利用できる汎用性がある。
つまり、災害などによる長期停電時にクルマの発電機能が役立つといっても、それなりの準備が必要なのだ。そもそも、電動車両だからといってACコンセントを標準装備しているとは限らない。間違いないといえるのは、全車にAC電源を標準装備するトヨタ・エスティマハイブリッドくらいで、それ以外のハイブリッドカーはグレードによって装備していたり、していなかったりするので、ハイブリッドカーがあるからといって家庭用の電源といて活用できるとは限らない。最近ではUSB充電に対応していれば十分という風潮もあり、AC100Vのコンセントを装備している車種はそれほど多くないのだ。
ハイブリッドカーで先行するイメージが強いトヨタであっても、全グレードにAC100Vコンセントを標準装備しているのは前述のようにエスティマハイブリッドだけ。プリウス、アルファードハイブリッド、ヴェルファイアハイブリッドの一部グレードには標準装備しているが、その他はメーカーオプションで選んでおく必要がある。
なお、ハイブリッドカーの給電機能を利用しているときはエンジンがかかった状態になるため、厳密に言えばアイドリング禁止条例に抵触する可能性もある。非常時に、アイドリング禁止を指摘するとは思えないが、そうした課題があることも覚えておきたい。
文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト
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