現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【試乗】新型プジョー リフターGT│商用車上がりの実用性に個性を備えた、知れば知るほどそそられる”ルドスパス”の雄

ここから本文です

【試乗】新型プジョー リフターGT│商用車上がりの実用性に個性を備えた、知れば知るほどそそられる”ルドスパス”の雄

掲載 更新 4
【試乗】新型プジョー リフターGT│商用車上がりの実用性に個性を備えた、知れば知るほどそそられる”ルドスパス”の雄

実用的だがしっかりと個性的をもたせたプジョーらしい1台

今年は、ルノー カングーがフルモデルチェンジを控え、昨年からシトロエン ベルランゴが堅調にヒットを飛ばし続けるなど、フレンチ・ルドスパス(ラテン語の「遊ぶ」と「スペース」を合わせた造語)は、従来にも増して日本市場で確たるジャンルとして地歩を固めている。

カーセンサーEDGE.netはこちら

その状況の中で、プジョー リフターはどうも分が悪かった。その理由は、荷物をいっぱい積み込んでのんびりキャンプ、そんなスローライフ感が求められるこのカテゴリーで、プジョー独自の小径ステアリングとシュっとした意匠に代表されるスポーティな「i-コックピット」が、ミスマッチに映ったからだろう。

裏を返せば、そこにリフターの個性がある。そして今回、レギュラーモデルとしてラインナップに加わった「GT」グレードに試乗し、リフターの個性をより明確に感じ取ることができた。

これまでのリフターは、初回限定版以外では「アリュール」グレードのみの展開で、マルチパノラミックルーフがない仕様だった、それによってベルランゴと差別化されていたわけだ。しかし、GTの登場であまつさえアドバンスドグリップコントロールを備えるに至った。

これは、オンロードの他に砂や泥、氷雪路といった走行モードを選ぶことで、トラクションを最適化し挙動を安定させる機能で、PSAグループのSUVモデルには馴染み深い機能だった。その利点は、AWDシステム搭載で重量増や燃費悪化を招くくらいなら、FFの軽快さを保ったまま、電子制御だけで悪条件を切り抜けられる、そういう実利的な装備だ。

頻繁に岩場や砂漠、河を渡るといったクロカン走破性はマストではないが、わだちや砂地、ぬかるみや凍結路をラスト数十mから数kmほどこなす必要のある、一般レジャー用途に適したソリューションといえる。 また、意外にもリフターとベルランゴの外観の違いは、ロゴやフロントマスク、灯火類だけにとどまらない。リフターGTはべルランゴより車高が30mm、地上最低高は20mm高く、サスストロークも長く取られているなど、「ちょっとしたアドベンチャー色」を強めた仕様なのだ。

にもかかわらず、高く仕切られた左右前席のセンターコンソールには、深い収納スペースや、チャコールの千鳥格子柄ファブリックシートを備える。硬質プラスチックながらブラウンのサテン仕上げによるダッシュボードは、商用車ベースとは思えない、洒脱な内装を誇る。MPVやワンボックスによくある、通販家具だけで揃えたリビングルーム的な、カクカクした生硬さや安っぽさとは、程遠いのだ。それでいて無論、収納ポケットの数だってベルランゴに負けていない。

しかもパワートレインは、1.5LディーゼルターボのDV5こと「BlueHDi150」にアイシンAW製8速ATの組み合わせだ。トルクの力強さや振動の少なさ、静粛性まで含めたスムーズさはコンパクトだが最新世代の欧州ディーゼルで最上のユニットだ。なぜこれがベストかと言えば、ディーゼル離れした軽さがハンドリングの邪魔をしないことに尽きる。

そしてそれが、i-コックピットの小径ステアリングと素晴らしいマッチングを見せる。リフターGTは、EMP2プラットフォームの1台としてはかなりルーフが高い部類に入るが、コーナー進入でステアリングをスパっと切っても、ジワリと操舵角をあてても、怖い感じのグラリ感はない。

傾くには傾くが、程よくコントロールされたロール感で、操舵に対するトレース性の高さに感嘆させられる。直線や緩いコーナーでは、ステアリング中立付近がどしっと座って、足さばきもしなやか。乗り心地もフラットで、固さを感じさせる場面は皆無だった。

試乗では、ウッドチップを敷き詰めたオフロードにも分け入ってみた。シフトコンソール内のグリップコントロールのダイヤルで、まず「泥」を選択。前輪の片輪が滑ると、ブレーキでつまんでロックをかけて空転を抑制するため、反対側のトラクションが抜けることもない。これを繰り返しながらトラクションを保つ仕組みだ。

また、やや車速高めにコーナーを侵入したときは、制御の頻度がより高いのか、「泥」より「砂」モードを選んだときの方が、ステアリングによる舵の効きが失われにくかった。さらに、FFの最も苦手そうな上りの急坂発進で、完全停止からリスタートしてみたところ、多少の空転こそすれど、少し後ずさりして荷重のやや増位置に下がったら、難なくフロントタイヤが食いついた。予想している以上に頼りになりそうなプチ走破性だが、これの有る無しは決して小さくはない。

プジョーには、デザインやスポーツ性だけにこだわるのではなく、あくまで取れる実利を取りこぼさないずるさこそ、猫科らしさ、というふうなところがある。それこそが、ルドスパスとしてリフターGTの個性に磨きをかけているのだ。 プジョー リフターの中古車を探す▼検索条件プジョー リフター × 全国文/南陽一浩、写真/郡大二郎【試乗車 諸元・スペック表】●GT ディーゼルターボ型式3DA-K9PYH01最小回転半径5.6m駆動方式FF全長×全幅×全高4.41m×1.85m×1.88mドア数5ホイールベース2.79mミッション8AT前トレッド/後トレッド1.55m/1.56mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS-車両重量1650kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量-kgミッション位置インパネ最低地上高0.18mマニュアルモード◯標準色ビアンカ・ホワイトオプション色ディープ・ブルー、メタリック・コッパー、プラチナ・グレー掲載コメント-型式3DA-K9PYH01駆動方式FFドア数5ミッション8ATAI-SHIFT-4WS-標準色ビアンカ・ホワイトオプション色ディープ・ブルー、メタリック・コッパー、プラチナ・グレーシート列数2乗車定員5名ミッション位置インパネマニュアルモード◯最小回転半径5.6m全長×全幅×全高4.41m×1.85m×1.88mホイールベース2.79m前トレッド/後トレッド1.55m/1.56m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量1650kg最大積載量-kg車両総重量-kg最低地上高0.18m掲載用コメント-エンジン型式-環境対策エンジン-種類直列4気筒DOHC使用燃料軽油過給器ターボ燃料タンク容量50リットル可変気筒装置-燃費(JC08モード)21.2km/L総排気量1498cc燃費(WLTCモード)18.2km/L└市街地:15.7km/L└郊外:17.8km/L└高速:19.8km/L燃費基準達成-最高出力130ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm300(30.6)/1750エンジン型式-種類直列4気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置-総排気量1498cc最高出力130ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm300(30.6)/1750環境対策エンジン-使用燃料軽油燃料タンク容量50リットル燃費(JC08モード)21.2km/L燃費(WLTCモード)18.2km/L└市街地:15.7km/L└郊外: 17.8km/L└高速: 19.8km/L燃費基準達成-

カーセンサーEDGE.netはこちら

こんな記事も読まれています

運転士がこないと「こまります」バスが集結! 切実な人手不足を訴えるイベント実施 名鉄
運転士がこないと「こまります」バスが集結! 切実な人手不足を訴えるイベント実施 名鉄
乗りものニュース
約299万円!? マツダ新型「スポーティ“セダン”」公開! 半円4連テール×流麗ボディが超カッコイイ! 全長4.9m級の「イージーシックス」中国に登場
約299万円!? マツダ新型「スポーティ“セダン”」公開! 半円4連テール×流麗ボディが超カッコイイ! 全長4.9m級の「イージーシックス」中国に登場
くるまのニュース
シンプルながら力強さと美しさを兼ね備えたNEWグラフィック!! アライが2タイプの「RAPIDE-NEO46WORKS」を発売
シンプルながら力強さと美しさを兼ね備えたNEWグラフィック!! アライが2タイプの「RAPIDE-NEO46WORKS」を発売
バイクのニュース
過去20年で最多となる405台が湘南に帰ってきた! 「オーテック里帰りミーティング2024」が開催
過去20年で最多となる405台が湘南に帰ってきた! 「オーテック里帰りミーティング2024」が開催
WEB CARTOP
BMW、新型「X3」を発売!全モデルに48Vマイルド・ハイブリッドを搭載した第四世代
BMW、新型「X3」を発売!全モデルに48Vマイルド・ハイブリッドを搭載した第四世代
LE VOLANT CARSMEET WEB
トヨタ、スープラの生産終了を告知…特別仕様車A90 ファイナルエディションの日本導入時期は「検討中」
トヨタ、スープラの生産終了を告知…特別仕様車A90 ファイナルエディションの日本導入時期は「検討中」
driver@web
スープラ、販売終了へ! “A90 Final Edition”も登場へ──GQ新着カー
スープラ、販売終了へ! “A90 Final Edition”も登場へ──GQ新着カー
GQ JAPAN
【ダカールラリー2025】JLR  ランドローバー・ディフェンダーがダカールラリーに参戦
【ダカールラリー2025】JLR  ランドローバー・ディフェンダーがダカールラリーに参戦
Auto Prove
乗用車への採用はいまのところ期待薄! 充電待ちから解放される夢のバッテリー交換式EVの行方
乗用車への採用はいまのところ期待薄! 充電待ちから解放される夢のバッテリー交換式EVの行方
THE EV TIMES
ボッタス、レッドブルへのサプライズ移籍は「選択肢にはならない。僕のことはあまり好きじゃないだろうし……」
ボッタス、レッドブルへのサプライズ移籍は「選択肢にはならない。僕のことはあまり好きじゃないだろうし……」
motorsport.com 日本版
エンジン再現準備完了!タミヤ+フジミで作る「ポルシェ911ターボ」第2回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
エンジン再現準備完了!タミヤ+フジミで作る「ポルシェ911ターボ」第2回【CARSMEETモデルカー倶楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
「考えるクルマ」にピンクのファーまとうフィアット500も、奇才「Mr Brainwash」の車アート展が米LAで開幕
「考えるクルマ」にピンクのファーまとうフィアット500も、奇才「Mr Brainwash」の車アート展が米LAで開幕
レスポンス
『ディフェンダー』が2026年からダカールラリーにワークス参戦。2025年は車両パートナーに
『ディフェンダー』が2026年からダカールラリーにワークス参戦。2025年は車両パートナーに
AUTOSPORT web
華麗なラリーアクションの栄光を振り返る。2024年英「王立自動車クラブ・ヒストリック・アワード」の受賞者が決定
華麗なラリーアクションの栄光を振り返る。2024年英「王立自動車クラブ・ヒストリック・アワード」の受賞者が決定
LE VOLANT CARSMEET WEB
下半身不随のロバート・ウィケンスがIMSA GTDデビューへ。シボレー・コルベットZ06 GT3.Rで5戦に出場
下半身不随のロバート・ウィケンスがIMSA GTDデビューへ。シボレー・コルベットZ06 GT3.Rで5戦に出場
AUTOSPORT web
新型BMW X3が日本デビュー! 価格は798万円から
新型BMW X3が日本デビュー! 価格は798万円から
Webモーターマガジン
その印象的な広さと実用性が高評価に。「フォルクスワーゲンID. Buzz 7」が「Top Gearアワード」で受賞!
その印象的な広さと実用性が高評価に。「フォルクスワーゲンID. Buzz 7」が「Top Gearアワード」で受賞!
LE VOLANT CARSMEET WEB
トヨタ「セリカ」復活へ! 世界初の「画期的ユニット」&日本初の「ターボエンジン」に「斬新システム」採用! “スペシャルティカー”を支えてきた革新的技術とは?
トヨタ「セリカ」復活へ! 世界初の「画期的ユニット」&日本初の「ターボエンジン」に「斬新システム」採用! “スペシャルティカー”を支えてきた革新的技術とは?
くるまのニュース

みんなのコメント

4件
  • 後席はそれなりだけど、運転席周りは配送車って感じだな。

    それはそれで道具っぽくていいけど、ファミリーカーかは微妙だな。
  • 良くも悪くも商用車。
    パーソナルユース、ファミリーユースするようなもんじゃないよ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

448.0468.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0410.0万円

中古車を検索
リフターの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

448.0468.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

0.0410.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村