「スーパーメテオ650」と共通のプラットフォームながら異なる味付けを実現
2024年8月31日に発売が始まったロイヤルエンフィールドの新型車「ショットガン650」に試乗しました。昨年導入された「スーパーメテオ650」から派生したモデルで、位置づけとしては、スポーツクルーザーといったところ。
【画像】ロイヤルエンフィールド「ショットガン650」を画像で見る(35枚)
スーパーメテオ650のホイール径がフロント19インチ、リア16インチなのに対し、ショットガン650はフロント18インチ、リア17インチを採用。それにともなって、前後サスペンションやディメンジョン、ライディングポジションが変更されています。おおらかなスーパーメテオ650に、軽やかさを加えた仕様がショットガン650と言ってよく、ワインディングをリズミカルに走らせた時に、このモデルの心地よさが光ります。
高さ795mmのシートにまたがって乗車姿勢をとると、その時点でスーパーメテオ650との違いは明らかです。フォワードコントロール、つまり足を前方に大きく投げ出すスタイルだったステップがミッドコントロール(=車体の中央に寄せられた)になり、少々小柄な体格でも無理なく踏ん張れる場所に位置。そのおかげで、見た目よりも車体がコンパクトに感じられます。
その印象を後押しするのが、シフトチェンジのタッチのよさです。高いギヤだけでなく、1速~3速の低いギヤでも静かに、そして滑らかに送り込まれ、どんな回転域でもスムーズに切り換わっていきます。その上質さはロイヤルエンフィールドの多くのモデルに共通する美点であり、精度の高さが伝わってくる部分です。
エンジンは、648ccの空冷4ストローク並列2気筒をスチールパイプフレームに搭載。240kgの車重に対し、最高出力は47ps/7250rpmですから、加速力自体は特別鋭い部類ではありません。とはいえ、上り勾配が延々と続き、スロットルのオンオフを多用する箱根の山坂道でもまったく不満がない……というか、スポーティな走りを堪能するのに十分なパワーを引き出すことができます。
エンジンの出力特性とギヤレシオのマッチングも適切で、低回転から高回転までフラットに上昇。高揚感をくすぐるタイプではありませんが、スイスイとコーナーを駆け抜けていくことができます。
いいですね。こういう穏やかな感じ。天候に恵まれた、交通量の少ないワインディングではつい右手の操作が大きくなりがちですが、躰に伝わってくる鼓動感、胸元に響く吸気音、後方から追いかけてくるような排気音に身をゆだねつつ、ゆったりと流す。このモデルなら、低いアベレージスピードでのクルージングが、まったく苦になりません。
下り坂でこそ活きる「ショットガン650」の車体構成
「だったら、スーパーメテオ650と一緒なのでは?」と問われれば、その通り。ただし、ショットガン650のスポーツ性が活きるのがダウンヒル、つまり下り坂です。
こうした場面では、小径化されたフロントホイールやリセッティングされたサスペンションの効果が体感しやすく、軽やかなハンドリングに貢献。19インチ、リア16インチというセットアップのスーパーメテオ650の場合は車体のバンク角に対し、ステアリングが少し遅れて大外から回り込んでくるような印象ですが、ショットガン650だと、そのテンポが早く、フロントタイヤがより近く感じられるイメージです。
タイヤの接地感や舵角のつき方もわかりやすく、上半身を積極的にイン側に引き込みたくなるほどのスポーティさを披露。車体の構造上、バンク角自体は少ないのですが、ならばステップ先端のバンクセンサーを擦らないように、いかにして旋回スピードをあげるか。そんな風に、走りの組み立てをあれこれ工夫したくなる余地があり、しかもそれを常識的な速度で試せるところに、このモデルの奥深さがあります。
今回、試乗したシングルシートの状態は、カスタムされたものです。タンデムシートと、それを支えるサブフレーム(ボルトオンで脱着可能)が装着されたスタイルがデフォルトですが、たとえばタンデムシートだけを取り外し、サブフレームを積載用のキャリアとして活用することも可能。
豊富なアクセサリーとカラーバリエーションで、自分仕様のショットガン650を作り上げる楽しみもたっぷり用意されています。
ショットガン650の車体価格(消費税10%込)は、97万4600円~101万5300円。車体色は、シートメタルグレー/プラズマブルー/ドリルグリーン/ステンシルホワイトの4色がラインナップされています。
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