2018年10月17日に本国ドイツで正式に発表されたBMW X7に触れることができたので、その模様をレポートしよう。ちなみに2019年3月よりデリバリーが開始されるというが、日本導入に関してはまだ明らかになっていない。(Motor Magazine 2019年1月号より)
真打は最後にやってくる
SUVワールドは今や、量産メーカーによるサブコンパクトからフルサイズ、さらにはハイエンドブランドやスポーツカーメーカーまでを巻き込んだ、巨大な市場に成長している。ドイツのプレミアム御三家を見ても、SUVラインナップの充実ぶりは半端ではなく、さらに販売台数もメルセデス・ベンツなどでは25%近い割合を占めるようになっている。
運転免許証の番号、12桁の意味。最後のひと桁でアレがわかっちゃう!【くるま問答】
一方BMWはと言えば、メルセデス・ベンツのMクラスに遅れること2年、乗用車ベースのSUV「X5」をSAV(スポーツアクティビティビークル)として1999年に、さらに2008年には初のクーペスタイルX6をSAC(スポーツアクティビティクーペ)の名称で生み出すなど、このジャンルに積極的に取り組む姿勢を見せてきた。
しかし不思議なことに、ことハイエンドSUVに関してはアウディQ7(発表は2005年)やメルセデス・ベンツGL(現行GLS) (発表2006年)に対して対抗できるモデルを持たないという状態が長く続いていた。
そうしたライバルが2世代目を迎え始めた今になって、BMWはようやくSAVのトップモデル「X7」を市場に送り出すことになった。
全体的な調和がとれているため大きさを感じさせない
まずサイズだが全長、全幅、そして全高はそれぞれ5151mm、2000mm、1805mm、そしてホイルベースは3150mmとアウディQ7よりひと回り大きく、メルセデス・ベンツGLSに近い。
しかし、初対面の印象は不思議なことにGLSのようにデカさを感じないし、威圧的でもなかった。それはおそらくキドニーグリルそしてブルー&ホワイトのエンブレムがBMWモデルの中ではもっとも大きくなり、同時に横長で細いヘッドライトユニットが比較的に高い位置に水平に伸びているなど、全体的な調和がとれているためだと思われる。
さらに同じように、切れ長のリアコンビネーションライトを左右に一本の水平なクロームラインで繋いだリアビューもスッキリしており、背の高さもあまり気にならない。加えて22インチという巨大なホイールの採用も、サイドビューを引き締めている。
キャビンのゆとりは言うまでもないが、驚くべくはラゲッジルームのサイズだ。3列目まで起こした通常の状態で326L、3列目と2列目のバックレストまでを倒すと2120Lと、商用バン並の広さが確保される。またこのシートの折りたたみ作業もスイッチひとつで行うことができる。
コクピットにはBMWの最新デジタルHMi「オペレーティングシステム7.0」が採用されている。いわゆる「スイッチ」の数は極力減らされ、代わりに音声入力とジェスチャーコントロールが導入された。「ヘイ!BMW」で起動、バーチャルのパートナーが「何かご用ですか」と返事をする。
X7はハイエンドSUVとしては当然のことながらADAS(先進安全運転支援システム)も充実しており、歩行者および自転車も感知可能な市街地緊急ブレーキは標準で装備される。一方、渋滞アシスト付きクルーズコントロールではストップ&ゴー状態で30秒間も停止することが可能だ。
利便性の面では、X7のオーナーは、キーを探す必要がないことに注目して欲しい。NFC(ニア フィールド コミュニケーション)と呼ばれる近距離無線通信規格を内蔵したアンドロイド8.0あるいはそれ以上のレベルのスマートフォンを、キー代わりに利用することが可能になった。
発売当初のラインナップは、全車xDrive、つまり4WDシステムを搭載し、3L直6ターボ(340ps)、4.4L V8ツインターボ(462ps)のガソリンモデル2種と、3L直6ディーゼルターボが出力違いで2タイプ(265ps仕様と400ps仕様)設定される。
「最後」に満を持して登場したハイエンドフルサイズSUVだけあって、BMW X7の完成度および装備の充実度は他を凌駕している。ダイナミック性能を検証できる本格的な試乗が、今から楽しみでしようがない。(文:木村好宏)
BMW X7 xDrive40i 主要諸元
●全長×全幅×全高=5151×2000×1805mm
●ホイールベース=3150mm
●エンジン=直6DOHCターボ
●排気量=2998cc
●最高出力=340ps/5500rpm
●最大トルク=450Nm/1500-5200rpm
●トランスミッション=8速AT
●駆動方式=4WD
●0→100 km/h加速=6.1秒
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