■電動くるまいすの「モデルS」って一体ナニ?
パーソナルモビリティの日系ベンチャーとして世界的に知られているWHILL(ウィル)が2022年9月13日、注目の新型モビリティを都内で世界初公開しました。
【画像】これが電動くるまいす!? オシャすぎる新型「モデルS」の写真を見る(9枚)
それが、歩道を走れる「モデルS」です。
WHILLというと、最近では羽田空港などで自動運転をしている、スティックでシフトするタイプの電動くるまいすを目にしたことがある人がいるかもしれません。
今回登場したモデルSは「ハンドル型電動くるまいす」という規格に沿った設計で、スズキの「セニアカー」などに近い着座姿勢でハンドルを両手で持つタイプのモビリティです。
ボディ寸法は、全長1190mm×全幅553mm×全高920mmmなので、一般的な電動くるまいすと比べると車幅が少し狭いように思えます。また、ひじ掛けがないので、実にすっきりした印象です。
駆動方式は後輪駆動で、12Vの鉛電池の2連装。標準充電器で9時間40分、また急速充電器を使うと6時間40分となり、満充電での航続距離は33km。電池パックは取り外して充電することも可能です。
バッテリーの寿命については「充電回数約600回を目処に交換を推奨」(WHILL関係者)といいます。
では、実際の乗り味はどんな感じなのでしょうか。
実は、筆者(桃田健史)は個人でホンダ製の電動くるまいす「モンパル」を所有しているほか、取材の目的でこれまで各種の電動くるまいすを試乗しています。
そうした体験をもとに、モデルSを運転してみました。
操作方法はとてもシンプル。ステアリングコラム上部にあるキーを右に向けると主電源がONになります。これは一般的な電動くるまいすと同じです。
右手の前にあるレバーを握ると前進し、レバーを離すとブレーキがかかり、そのままにしておくと車両は停止します。速度調整はダイヤル式で最高速度は6km/hまで設定が可能。
また、後進するには左手の前にあるレバーを握ります。なお、後進の最高速度は2km/hに設定されています。
このようなレバー操作は一般的な電動くるまいすに近いですが、モデルSはレバーのタッチに上質感があります。
記者会見が開かわれた建物の内部から川沿いの木製デッキに走り抜ける際、少し高めの段差がありましたが、車両全体がガタつくことなくスムーズに乗り越えることができました。
車両のスペック表では段差乗り越えは75mmと記載されていますが、それ以上の段差でも乗り越えが可能ではないかと思うほど、足回りの機構が絶妙に動きます。
また、驚いたのがハンドリングの良さ。左右の定常円旋回やS字走行をしたところ車両全体のバランス感がとても良く、まるで上質な乗用車のようなハンドリング感です。
これは明らかに、一般的な電動くるまいすと比べて優秀だと感じました。
WHILLによると、「キャスター角の設定など足回りの設計をかなり気にかけた」とのことです。
■歩行者扱いとなるため原則は右側通行
直線の加速ですが、モーターの制御がうまく、最高速度6km/h設定では出足は緩やかすぎず、急すぎず、ほど良く心地良く、そこからしっかりと加速します。6km/hの定速走行になってもかったるさを感じません。
レバーから手を離した際の減速Gの出し方も実に自然。また、モーター音やタイヤ走行音もけっして大きくありません。
要するに、乗用車でいうところの、基本的な走行性能評価基準であるNVH(ノイズ「音」、バイブレーション「振動」、ハーシュネス「路面からの突き上げ」)の対策が良くできている、良質なモビリティだということです。
先に説明したように、モデルSは電動くるまいすに属しており、道路交通法では歩行者扱いとなるため原則は右側通行で歩道走行が可能です。
WHILLは、これまで発売してきた機種については100m以内でのパーソナルモビリティと位置付けていて、こうした需要には日本で約500万人のターゲットユーザーがいるものと想定しています。
一方、モデルSの移動範囲は500m以内を想定し、ターゲットユーザーは約700万人と見積もっています。
その上で、モデルSを、一般的な電動くるまいすや電動アシスト自転車とは異なる「これまでになかった、まったく新しいカテゴリーの移動手段」と定義付けているのです。
価格は21万8000円から。電動くるまいすは医療や福祉の観点から非課税となっています。
そのほか、2023年1月からサービスを開始予定の、「WHILL Smart Care」(年間契約税込み2万6400円)に加入すると、保険、ロードサービス、メディカルアシストに加えて、「WHILL Family App」によって、GPSによる機体の位置確認、外出履歴の記録、そして家族への情報通知などの機能が使えます。
現在、日本国内でのWHILLの販売は自動車の新車ディーラーが主体となって展開されており、WHILLの杉江理CEOは「WHILLは、(自動車ブランドを特定せず、多様なブランドの)皆さんと付き合っていくことが特長であり強み」と話します。
生産について「中国と台湾の合計3か所でそれぞれ完成車として仕上げている。当面、(自社工場を持たない)ファブレス企業として活動するつもりだ」という経営戦略についても触れました。
WHILLは、アメリカ、オランダ、中国に拠点があり、現在20以上の国や地域で販売、レンタルサービス、シェアリングサービスの3つの領域で事業を展開しています。
日本初のパーソナルモビリティのベンチャー企業の今後に期待したいと思います。
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みんなのコメント
荷物も積めない、コストダウンで洒落て見えるが実は
骨組みだけ。。
目新しいところは無い。