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今あらためて試乗 BMW Z3 小粋で軽快、「これで充分」と思える懐かしさ

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今あらためて試乗 BMW Z3 小粋で軽快、「これで充分」と思える懐かしさ

バブルの後、Z3がデビューした頃

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)とてもコンディションの良いBMW Z3を目の前にして、さほど気持ちが盛り上がらないのは、かつてこのクルマと生活を共にしていたからだと思う。

【画像】試乗したZ3のディテール 全31枚

1998年頃に筆者が毎日のアシとしていたZ3は、BMWジャパン15周年記念車としてデビューしたアニバーサリー・エディション。というとなんだか豪華そうに思えるのだが、実際には1.9Lの直4エンジンと5速マニュアルを組み合わせ、幌も手動で開ける特別感の希薄なモデルだった。

当時はバブル景気が崩壊してから随分と時間が経っていた。けれど自動車シーンは衝突安全、環境性能なんていうキーワードはまだ二の次といった感じで、速さや楽しさといったものに焦点を当てていたように思う。

ライバルのメルセデスSLKは電動開閉のトップやスーパーチャージド・エンジンを持っていたし、エリーゼやMG-Fはミッドシップ・レイアウトだった。そんな賑々しさと比べるとZ3は実に質素に感じられたのである。

埼玉の越谷にあるBMWスペシャリスト、オートスクエアーエノモトが扱っているBMWは90年代から2000年代初頭のモデルが多い。つまりどれも20年落ち近いのだが、だからこそ程度の悪い個体は皆無で、時間を超越した美しい1台と出会ってハッとさせられる。

今回のZ3 2.2は走り出してから徐々に懐かしさがこみあげてきて、20年数年後の今だからこそわかる楽しさも伝わってきた。

良性のスカットルシェイクが懐かしい

今回の個体は2002年式なのでZ3としては最後期型といえる。筆者が乗っていた初期型は1.9Lエンジン、MT、左ハンドルだったが、今回は2.2、AT、右である。だが現代のオープンカーよりはるかに開放感のあるキャビンや軽快な滑り出し、時折起きるスカットルシェイクは記憶の中のZ3そのものだった。

「スカットルシェイク」は20世紀のオープンカーのインプレッションには必ずと言っていいほど登場する。固定式の屋根がないおかげで、路面の段差を越えた時などにドア・ヒンジやフロントウインドウ周辺がブルンッと揺れることを指す言葉である。

Z3はオープンボディで設計されており、いわゆる「屋根切り」ではないが、スカットルシェイクはちゃんとある。

だが重要なのはそれが「良性」である点だ。コーナリング中のブルンッという衝撃と一緒に挙動を乱してしまうオープンカーも少なくないが、Z3のアシはいかなる時も的確に路面を捉えることができる。

またZ3でたびたびサーキットを走っていた記憶を掘り起こせば、イヤというほど粘ってくれる当時最新のマルチリンクサスと違い、早めから穏やかなテールアウトを許容する熟成なったセミトレーリングアームは、ドライバーズカーとしては歓迎すべきものだった。

そう、Z3には今日にない素直なオープンスポーツカーの素養があるのだ。

完璧すぎない感じがちょうどいい

Z3はMの冠が付かなければ決して速いクルマではない。

コーナリングに関しても4気筒モデルは良く言えば軽快だが、悪く言えばこれがBMW? というくらい手ごたえが希薄。

その点今回の6気筒モデルはBMWらしい質感が感じられるのだが、それだって17歳という実年齢よりいくぶん古く感じられる。

けれどしばらく乗っていると、Z3にはオープンスポーツカー好きを虜にする軽快感やミニマリズムがギュッと凝縮されていることがわかってくる。

小さなオープンスポーツカーの魅力の源はコレなのだと思う。

今日は山道やサーキットに行くぞ! という特別な日だけでなく、近くのコンビニにお昼を買いに行ったついでに、少し遠回りをしたくなるような気さくな雰囲気、親しみやすさ。

オープンカーにはロードスターやカブリオレ、スパイダー、バルケッタなど様々な別称がある。これらには総じて小粋で簡素といった意味合いが含まれているように思う。

だがその代わりにネオクラシック世代の「屋根開き車」は少し雨漏りしたり、風の巻き込みが凄かったりと、我慢しなければならないこともあり、それも含めて楽しむ乗り物だったのである。

BMW Z3は持ち合わせているが、機械的に完璧になり過ぎた現代のオープンスポーツカーにないものは実は少なくないのだ。

「オープンカーってコレくらいがちょうど良い感じでしょ?」とZ3が語りかけてくる。今になってみれば、その通りだと思う。

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