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SUBARUレヴォーグ試乗記 最強のグランドツアラーを目指し(1.8Lターボ+CVT AWD)

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SUBARUレヴォーグ試乗記 最強のグランドツアラーを目指し(1.8Lターボ+CVT AWD)

新型レヴォーグの正式発表前ということで、クローズドコースの千葉県袖ヶ浦フォレストレースウエイで試乗する機会があった。

試乗したのは、プロトタイプのSTIグレードとGT-H、それと比較用の現行レヴォーグSTIだった。コース上には特に制限はなく、通常のスポーツ走行が可能な環境で、イメージとしては高速道路やワインディングをイメージし、スキール音がでない程度での走行テストというのが条件だった。

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驚きのハンドリングの進化

現行型から試乗するが、例によって、十分レベルの高いモデルだと改めて感心しながら周回を重ね、SモードやIモードを切り替えて確認。そして新型へと試乗する。

新型レヴォーグで驚いたのは、まるで別物というインパクトだった。GT-Hに乗り込みドアを締めるとその音の高級感からして現行モデルとは違った。コースインし操舵応答やアクセルレスポンスを見ながら徐々に速度をあげてみる。

車体に前後Gや横Gがかかるような速度で走行をすると、ボディのしっかり感を明確に感じ、と同時にしっとりとした滑らかさと高級感を感じる。サーキットでフラットな路面ということもあるが、静粛性の高さもクラスを超えるレベルだ。

ステア応答はリニアで、ニュートラルに感じる性格は安心感へとつながっていく。次第に、速度を上げたくなる衝動はその安心感が後押ししているのは間違いない。

こうしたドライブフィールはインナーフレーム構造の影響が多大だと感じ、しっかりしたボディの剛性感、静粛性はプレミアム欧州モデルを感じさせ、さらにCDCダンパー(STI)やデュアルピニオンのEPSなどの性能が引き出されていると感じる。

性格が変わるドライブモード

ピットインしてSTIに乗り換える。STIに装備されるドライブモード セレクトは5種類あり、そのモードは大きく性格が変化することに驚かされた。一般的にドライブモードを持つモデルは、スポーツとエコ、コンフォートに大別され、エンジンレスポンスが変わり低いギヤで高回転まで伸びる設定になり、ステアフィールの手応えが変化する。モデルによってはサスペンションのしっかり感が変わるといった違いがあるが、そのモード違いを実用的に使用しているかと言えば、そうではないと思う。

筆者もモード切り替えをもつクルマを所有しているが、確かに「ノーマル」モードで常に走行している。せいぜい使用するのは「エコ」モードで、高速でのセーリング機能があるためで、スポーツモードはほぼ使用しない。

新型レヴォーグSTIの5つのモードのうち、「スポーツ+(S#)」と「コンフォート」をコースで試した。コーンフォートはかなりゆったりとした動きになり、柔らかなサスペンションとしなやかな乗り心地で走行する。

まるで高級セダンに乗っているかのように鷹揚な気分になれる。サーキット走行中なのに、コーナーを攻めたくなる衝動ではなく、ゆっくりと走行したくなる気分のほうが盛り上がる。

上手くなった気がする

それがスポーツ+(S#)を選択すると一変する。足回りがしっかりと踏ん張り、ロールも小さくステアフィールの手応えもしっかりとする。そうなると、走行速度も自然と上げたくなり、サーキット走行に頭が切り替わってしまう。

わずかな操舵でスッとノーズが入り旋回が始まる。アペックス手前でアクセルをあけ、ステアを切り足す。普通ならアンダーステアが出るところだが、それが出ない。前後のトルク配分は常に変化するトルクスプリットAWDは旋回性を高めニュートラルなままコーナー出口へ向かう。

今度は早めのステア操作でコーナーに進入する。余裕の旋回を見せ「速くアクセルを踏め」とクルマの方からリクエストされる気分だ。ワンランク腕を上げた気分になれる。

このモード切り替えは、コンフォートとスポーツ+では単純にエンジンのレスポンスやステア操舵フィールが変わるだけでなく、ダイナミック性能自体が変化するのだから面白い。ロール量も変わったように感じるがロールスピードを制御することで、スポーティになりフラットライドなフィールが出てくる。

そして大きくアクセルを開けると瞬時にレスポンスし加速してくれる。これはスポーツ+以外では瞬時に加速体制に入らず、ワンテンポ遅れて反応するように制御している。だからなおさら、同じクルマなのに、スポーツカーと高級セダンがスイッチひとつで切り替わっていると感じるのだ。

こうした違いが5つのモードの中で段階的に変化している。これまであまりメリットを感じたことのなかったモード切り替えが、ここまで変化するなら走行シチュエーションで切り替えたくなる気持ちが湧いてくる。


新パワーユニット

新開発されたCB18型水平対向4気筒ターボエンジンはCVTと組み合わされ、どんなモードセレクトにも対応し、低回転域からトルクのある走りができる。1.6Lの現行エンジンの後継に位置付けられているが、リーンバーンを導入することで排気量を200cc上げて低速、低負荷時のトルクを補っているわけだ。

新型レヴォーグはこのパワーユニットだけで全グレード対応しているが、静粛性も高く、トルクもあり、不満に感じるものはないだろう。CVTも高速道路やワインディングを走るときでもラバーバンドフィールはほぼ感じることはなく、ダイレクト感にも不満は出てこないと思う。しかし今回のようなサーキット走行になると、高回転域でダイレクト感の乏しさは感じてしまうが。

これもやって欲しい要望

ひとつ難しかったポイントとして、ブレーキのリリースが難しかった。電動アシストブレーキということもあり、ブレーキを残しながら抜いているのに、スパッとブレーキが解除されてしまうのだ。そのため、「攻め」になったときにピッチングが出て焦る。速度レンジが低いので、恐怖とはならないが、少し扱いにくい挙動だ。

それとエンジンサウンドが印象に残らなかった。これだけのハンドリング特性をもち、ステアフィールも滑らかで気持ちいいのだが、スポーツ+にしてもエンジン音が普通だった。音の大きさも、高回転へ回せば大きくなり、低回転であれば静か、というままなのは残念だと思う。

こだわりの水平対向エンジンだし、スポーツ+のときだけはボクサーサウンドが聞けたらもっと楽しいだろうと思った。

もうひとつ。以前、プロトタイプを茨城県城里の試験場で試乗したとき、シフトアップのタイミングで少し背中を押されたような動きをしていたが、この日は感じられなかった。制御変更があったのか、どうか正式発表後の公道試乗で再確認したいと思う。

新型レヴォーグはSUBARU自ら次元の違う走り、というように別次元に突入しているのは間違いない。ダイナミック性能で語れば欧州プレミアムモデルと比肩する。いや、部分的には日本人らしい丁寧さやおもてなし感は優っていると思う。あとは、環境性能を強くアピールできる飛び道具さえあれば、文句なしのアイサイトX、ダイナミック性能に加えて最強のグランドツアラーと言えるだろう。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

specification

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