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スズキ空冷カタナの相場観と弱点対策を知る【Heritage&Legends】

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スズキ空冷カタナの相場観と弱点対策を知る【Heritage&Legends】

ニューKATANA登場で改めてクローズアップされている空冷カタナ。今ならまだ乗るチャンスはあるが、どうアプローチするといいか? そしてもう20~40年の車歴を迎えた車両群にどう向き合えばいいのか? GSX1100S/750Sの現役当時から新車販売も行ってきたテクニカルガレージRUNで、その軸を聞いてみた。
※本企画はHeritage&Legends 2020年2月号に掲載されたものです。

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空冷カタナの価格は上がり状態は悪化の一方
テクニカルガレージRUNはスズキの新車・中古車の販売を行い、一方でバージョンアップコンプリートと呼ばれる上質でオーナーに合わせたアップグレードを施したカスタムも製作……『ヘリテイジ&レジェンズ』ではよく用いてきた前置きだが、この点を頼って同店には新型KATANAにするか、空冷カタナにするか迷っているという問い合わせも来るという。以下は代表・杉本さんによる、その回答とでも言うべき内容だ。そこには空冷カタナを今手に入れるため、乗るための方法も示される。

「KATANAとカタナ。どちらか悩んでしまうのならば、ニューKATANAを買ってもらった方が何かと安心だと思います。空冷カタナのアドバンテージとしては、バイク界のアイコンになったという存在意義と、それから来る箔というか、所有感と個々の思い入れと言っていいと思います。一方のKATANAには現代バイクとしての安心感や使いやすさがあるから、価格や性能面ならこっち。

ただどうしても空冷カタナだ、と魅力を感じて選ぶのなら、今すぐにでも買うべき。その販売から20~40年経って、こっちの新車はもちろん出ない。新古車が見つかったとしても、そのまま乗れるわけでもない。良い状態の車両はもう減る一方ですし、対応出来るようなお店も同様だと思います。車両購入予算は100万円が最低ラインですが、本当は全部で300万円プラスアルファで考えた方がいいと思います。これは掛け値なし。そして、自分が頼るお店をしっかり考える」

衝撃的な話だが、これはカタナを深く、多く扱ってきたからの真剣な意見と言っていい。〝いやあ、カタナはいいですよ〞と単に持ち上げてしまうのは簡単だ。ただ現実的な視点は、今では不可避な話にもなっている。現行車として売られているバイクならいざ知らず、生産後20~40年経つ車両のことだからだ。もちろんそこには、「こうすれば今でもきちんと走る」というしっかりした作業や経験という裏付けもある。

杉本さんとRUNの場合なら、ファイナルエディションの新車も現役時にメーカー講習を受けた上で販売したし、ニューKATANAも正規で販売中だ。コンプリートにしてもカタナだけで20台以上は手がけてきた。整備やライトカスタムも含めれば数は膨大になる。しかも杉本さんはそれらに乗ってのチェックもするし、普段からもよくカタナ、バイクに乗っている。それも裏付けになる。

「お客さんたちはそこを見てくださってたと思います。私から見ても、プロと言われる人で車両に愛情を持って触っている人、細かい点までよく見ている人。そうした人のお店できちんと相談した上で手に入れる、手を入れるようにするのがいいと思います。最後は相性もあるでしょうけど。 ただ、価格については上がる一方で、安いものはまず間違いなく後からお金がかかる。私たちも業者オークションも含めていいものがあれば仕入れたいのですが、仕入れてそのまま売るわけには行かないですし、きちんと整備をしたい。ところがその分を含めて売値として考える価格を、今では仕入れ値があっさり上回る。たとえば130万円くらいで落札できそうだと考えている車両があって、この状態なら最低限をやって170万円で販売すれば……と考えているうちに落札額が200万円を超えたりする。冒頭の話も合わせて、そういう相場観になってるんですね」

▶▶▶スズキGSX1100S/750Sカタナの歴史を振り返る

GSX1100Sカタナの相場観と購入ポイントまとめ
【相場観】
・まず100万円以下は選ばない(安かろう悪かろう)

・ファイナルなら300万円クラスの予算は覚悟しておく

・カタナをよく知るお店の価格感をしっかり見ておく

カタナの相場観。極度に安いものには必ず理由があり、トータル費用がかさむ。ファイナルは希少価値、一番新しいという点で高止まり。カタナをよく知ったお店で、できれば履歴も分かる個体が最終的には手堅い選択になる、とも杉本さん。

【購入ポイント】
・程度が良ければ即断。以後は難しくなり減る一方

・性能や価格面、ノントラブルを望むのならニューKATANA

・きちんと整備して必要な箇所に手を入れてから乗る

カタナの新車はないわけで、今まで以上に入手は難しくなることは間違いなし。カタナの雰囲気を楽しみたいけれどノントラブルでと考えるならニューKATANAで十分。また手に入れた後に一番大事なのはきちんと走るようにすることという。

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これから先を乗り込むためのベース作り提案
では、今カタナを選んだとして、どのように手を入れるべきなのか? 主となるのは弱点対策と現代化というところに絞られるだろうが、実際にはどうするのか? 下は最近仕上がった車両で、その見本とでも言える内容を持つ。

「この車両はファイナルエディションがベースで、できるだけノーマルルックスを維持して状態を良くしたいというオーダーをいただいたんです。ですからフレームも無加工、ホイールもフロントフォークもエンジンもノーマルです。純正マフラーの装着が絶対条件など、ある意味厳しい制限があったんですが、こちらからの提案も織り込んで、バランスを取っていきました。 仕上がりは良好です。マフラーもチタン化するともっと慣性も減って楽に取り回せますが、それでも必要なものは入っています。

順に挙げていくと、フレームとホイールはダイヤモンドコートで塗装。フレームは各種試した結果、補強は仕様によっては入れた方がいいですが、必須ではない。むしろ内部の錆びや今後のことを考えて今きれいに仕上げ直す。ホイールも同じです。今後のための処理。ステップもフレームを切らないタイプの、RUNオリジナル。ステムやスイングアームピボット、ホイールなどのベアリングとゴム類は新品交換。エンジンは状態確認して、この車両では問題なし。キャブのO/Hは必須です。

カタナはエンジンが丈夫なのが利点です。新車から定期的なオイル交換をして、普通の使い方をしていれば10 万kmは保つくらい。幸いにしてスズキからはエンジン内部のパーツが出るので、まだ手が入れられる。 その上での現代化ですが、まず安全に止まれるブレーキがほしいので、フロントマスターはブレンボラジアル、キャリパーもブレンボ4Pにしています。ラインもステンレスメッシュ。ディスクもサンスターに換えていますが、市販品はインナーがブラック。ファイナルではここがゴールドなので、オーダーで色を合わせました。

サスも同様で、フロントは安定するように内部セッティングを変えて、リヤにはオーリンズを装着。ここでもスプリングをブラックにして全体感を極力ノーマルに合わせています。あとは前後アクスルとピボットシャフトをクロモリ製にして、サスやタイヤの性能を引き出す。

まずここまではやりたいといういい見本になっています。ここから先にまた手を入れたいという時にも、きちんとしたベースになりますし。今回の作業ではどうノーマルを維持するかも考えるいい機会になりました」こう言う杉本さん。

カタナについては、コンプリートのハガネやキリン劇中車も参考に出来る。

「コンプリートも、パッケージで考える。ただ速いバイクがほしいなら別の車両でいいし、カタナでどう楽しむか。前後17インチホイール化も出来ますが、18インチが割とお勧め。

いずれにしても今後の維持のためには、まだ手に入るからと安心せずに、廃番の可能性があるパーツはストックした方が良いでしょう。あとは入手する車両の実態をよく知ること。メーターの距離は当てにならないので、全バラして消耗品は全交換。そこから始めて、前述のような内容を施して、ようやくスタートラインかも知れません。それでも、カタナの世界観が好きならば満足いくはずです」

▶▶▶スズキGSX1100S/750Sカタナの歴史を振り返る

テクニカルガレージRUNが推奨するカタナの現代化まとめ
オリジナルのルックスをキープしながら、登場当初から約40年、この車両では生産から20年経った今の交通事情にどう適合させるか。テクニカルガレージRUNが推奨するカスタムとメンテナンスのポイントをまとめた。

【完全整備メニュー】


二律背反の内容を昇華したベースと言えるのがこの車両だ。テクニカルガレージRUNで推奨するカタナ整備=現代化と今後乗るための必須メニューが以下となる。

・フレームは補強必須ではないが確認と塗装を

・マフラーはチタン化で軽く、捌きよくしたい

・ブレーキはまず強化しタイヤも換えたい

・頑丈さに頼らず定期メンテナンスを怠らない

・各部ベアリングやゴム類等消耗品は新品に

この後紹介する下の車両にも同メニューを推奨。上の車両でもマフラー以外は施されている(杉本さんは、もしチタン製でノーマル形状黒仕上げの2本出しがあったら使っていた、とも言っている)。サスはリヤのオーリンズへの変更が効果大で、これに合わせてフロントも換えるか内部設定で強化する方向をとっている。

【完全整備メニューにカスタムを加えバージョンアップ18インチ】


この車両もファイナルがベースの近作。上の車両の状態をベースにフレーム補強はなし、ヨシムラ・チタンフルエキ(キャブはノーマル)で軽さを得てフォークはオーリンズφ[37→]43mmをRUNオリジナルステム(オフセット50→35mm)でクランプ。前後にゲイルスピードTYPE-N(1.85-19/2.50-17→2.75-18/4.50-18サイズ)ホイールを履いている。

取材協力:テクニカルガレージRUN
レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部
※本企画はHeritage&Legends 2020年2月号に掲載されたものです。

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みんなのコメント

5件
  • 新型カタナが格好悪くて中古車市場では旧型人気が再燃。
  • スズキも現行カタナはそのままでも良いよ。
    ただ、初代カタナも現代技術でアップデートした上で、初代デザインで販売してよ。
    2車種売ったって良いじゃないか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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