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コーチビルドによって生まれた旧くて新しいロールス・ロイス究極のカスタムモデル「ボート・テイル」

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コーチビルドによって生まれた旧くて新しいロールス・ロイス究極のカスタムモデル「ボート・テイル」

究極の贅沢、コーチビルド、という選択
ROLLS-ROYCE BOAT TAIL


自動車界において真のラグジュアリーを具現するブランドといえば、真っ先にロールス・ロイスが思い浮かぶ。同社は1906年の設立以来、高性能かつ高品質な自動車を生み出して世界各国のセレブリティを魅了してきた。それは通常の車体製造とともに、依頼主の要望に応えるオリジナルの車両製作も積極的に行ってきたからにほかならない。そしてその究極の手法ともいえる“コーチビルド”を用いて、新たなワンオフモデルが生み出された。それが今回公開された「ロールス・ロイス ボート・テイル」である。

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コーチビルドは依頼主の嗜好を印象強く表現するための特注プログラムであり、クライアントとロールス・ロイスによる共同作業でもある。それは芸術の分野におけるパトロンとアーティストの関係性にも似たもので、今回のボート・テイルは3名の特別な顧客の要求を余すことなく製品に反映させた芸術作品といえる。2017年に登場した流麗なクーペのワンオフモデル“スウェプテイル”も同様の手法が採られており、これが同社におけるコーチビルド促進の起爆的要素になった。

最新のコーチビルド・モデルである4シーター・オープントップのボート・テイルは、3名の依頼主の造詣が深い船舶、そのなかでも最上級のJクラスのヨットからインスピレーションを得た仕立てとなっている。全長約5.8mのリアエンド部分は、船体の造形をボディワークに取り込むボート・テール・タイポロジー(類型論)により、文字どおり船尾のように絞り込まれているのが特徴だ。

一般的なトランクリッドに当たる部分は帯状の木板を組み合わせたアフトデッキ(後甲板)を彷彿とさせる仕立てで、そこにあしらわれるカレイドレーニョ・ベニアは、市販モデルでもおなじみの木目を左右対象にしつらえるブックマッチで仕上げられた。リッド部分は蝶が羽を広げるように車体の中心線を軸とした開閉が可能で、その下にはホスティング・スイートと呼ばれるスペースを設置。

これは野外でゲストをもてなすためのアルフレスコ・ダイニングとして、片側には食前酒用の、もう一方には料理用のクリストフル社製カトラリーが収められる。このほかにも格納式のカクテルテーブルやパラソル、チェアなどが組み込まれるなど、屋外で優雅に食事が楽しめる仕掛けがそこかしこに備わる。つまりボート・テイルは単なる移動手段としてだけでなく、そのものが目的地であると同時におもてなしの舞台となっているわけだ。

このコーチビルドは、ロールス・ロイスにおける自動車ビジネスの継続性を保つ手法のひとつとして積極的に展開していくという。他のラグジュアリーブランドでもオーダーメイドプログラムが盛んになってきているが、現実にはおいそれと手が出せるものではないことも事実。

しかし、ロールス・ロイスはもちろん、セレブリティの先達が培ってきた芸術的嗜好や文化的背景は色褪せることはなく、いつの時代でも通用する信念が貫かれている。そこから学ぶべきことは多く、本物のラグジュアリーであるオーダーメイドの真髄を知る指針にはなるはず。その意味においてもこのボート・テイルという作品はもちろん、ロールス・ロイスのコーチビルドの取り組みからは今後も目が離せない。

3名の特別な顧客の要望を、ロールス・ロイスらしいエレガンスで表現したコーチビルド・モデルのボートテイル。

フェイス部分はパルテノングリルやライト周りも独自のデザインとなり、通常モデルよりも柔和な表情を見せる。

滑らかさを追求したブルーのボディカラー。ボンネット部分はロールス・ロイス初の手塗りのグラデーションで仕上げられる。

外装と同じくブルーに彩られた室内。インストルメントパネルの文字盤はギョーシェ技法で装飾され、ボヴェ製車載時計があしらわれる。

後甲板を彷彿とさせるテール部分には5基のECUを用いて動作制御や温度管理が行われる。

ボート・テイルにはフィクスト・キャノピー・ルーフに加えて、ソフトトップも用意される。

ボート・テイルにはカクテルテーブルやパラソル、チェアが備えられ、それそのものがおもてなしの舞台として機能する。

(写真はすべてオフィシャル)

文/桐畑恒治(AQ編集部)

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