今年4月に三菱自動車の欧州法人は、日本ではコンパクトカーのイメージが強いコルトを来年秋に復活させることを発表した。復活するコルトはルノー日産三菱アライアンスが持つCMF-Bプラットホームを使い、ルノーがトルコに持つブルサ工場で生産される5ドアハッチバック車で、ハイブリッドも設定されるという。このあたりを総合すると、復活するコルトは日産ノートとルノールーテシア(本国名クリオ)の兄弟車で、ルーテシア寄りのモデルになるに違いない。
復活するコルトはノートとルーテシアとの棲み分けも注目ポイントだが、復活するコルトが日本に導入される可能性はトルコ生産ということもあり、残念ながら非常に低いと言わざるを得ない。
三菱コルトの復活で考える「一度途絶えながら復活したMMC車列伝」
復活するコルトを見ていると、コルトも2回なくなっている車名なのに加え、三菱自動車はここ20年ほど社内がいろいろあったこともあり、その是非はともかくとして車名復活が多いメーカーなのを思い出す。という背景もあり、ここでは復活した三菱車(復活して、絶版になったものもあるが)をピックアップしてみた。
文/永田恵一、写真/三菱
■コルトギャランGTO(1970年)→GTO(1990年)
1970年にデビューした三菱コルトギャランGTO 1600MR。直列4気筒DOHC 1.6Lの4G32型エンジン、ソレックス2連キャブレターで125ps/14.5kgmを発揮する専用エンジンを搭載
イタリア語の「グラン・ツーリスモ・オモロゲート」(GTレース用ホモロゲーション車両)を略したGTOの車名が三菱車に初めについたのは、1970年登場のコルトギャランGTOである。コルトギャランGTOはコルトギャランの車名が示すように、ギャランの初代モデルとなるコルトギャランを2ドアクーペ化したスペシャルティカーである。
つまり、ギャランGTOはフォードマスタングの初代モデルが実用車のファルコンベースのスペシャルティカーだったのに近い存在で、トヨタの初代セリカはマスタングやギャランGTOのフォロワー(後追い)だったとも言える。
ギャランGTOはスペシャルティカーらしく、ランサーエボリューション同様のMR(三菱レーシングの略)やGSRといったスポーツモデルも設定し、1978年まで生産された。
続いて1990年に復活したGTOは3LV6(ターボ&NA)を搭載するスポーツカーで、4WDとなるターボ車は当時の日本最強280ps軍団(ほかにZ32フェアレディZ、初代NSX、ユーノスコスモ、R32スカイラインGT-R)の一員でもあった。
復活したGTOの成り立ちは、大雑把に言えば当時商品性の高さで人気となっていたセダンの初代ディアマンテをベースにしたもので、強引なところもあったが、それもGTOの個性だった。
復活したGTOはMTの6速化やブレーキの強化、16インチで始まったタイヤサイズを17、18インチと拡大するなど、それなりに改良され続けた。しかし、スポーツカーの急速な需要減少などもあり、2000年に絶版となった。
■ギャランクーペFTO(1971年)→FTO(1994年)
1971年から販売された三菱ギャランクーペFTO。コルトギャランの弟的存在で、部品も数多く共用していた。1973年にオーバーフェンダーを装備した1600GSRが設定され話題となった
1971年に登場したギャランクーペFTOはギャランの車名こそつくものの、ギャランGTOに対してホイールベースが短縮されるなどした、ギャランGTOの弟分的な存在である。つまり、過去のトヨタ車で例えるなら、初代セリカに対するTE27カローラレビンのような関係と言える。
ギャランクーペFTOにも1.6Lツインキャブレターを搭載するスポーツモデルのGSRが設定されたのだが、ギャランクーペFTOは1975年にランサーセレステを後継車に絶版となった。なお、FTOとはイタリア語で「公認された新鮮なクルマ」を意味する「フレスコ・ツーリズモ・オリジネーション」の略で、イマイチ意味が分かりにくいというのが率直なところだ。
1994年に復活したFTOは当時の4代目ミラージュをベースとしたスペシャルティカーで、成り立ちとしてはギャランクーペFTOに近く、FTOの車名を使ったのもよくわかる。ちなみに復活したFTOの車名の意味は英語で「フレッシュ・ツーリング・オリジネーション」(若々しく独創的なツーリングカー)に改められ、理解しやすくなった。
復活したFTOは2LV6エンジンを中心に搭載したモデルで、特にMIVEC(可変バルブタイミング機構)エンジンを搭載するトップグレードのGPXは日本車のFF車において、短期間ながら最速だった時期もあった。
また、ATはプラスとマイナスのゲートでシフトできるスポーツモードに加え、Dレンジの学習機能も持つもので、絶対な速さと完成度の高さも注目された。
しかし、FTOもGTO同様の理由でGTOとほぼ同時期の2000年に絶版となった。
■初代(1991年)&2代目RVR(1997年)→3代目RVR(2010年)
1991年から発売開始された初代三菱RVR。1994年にはランエボと同じ4G63ターボエンジンを搭載した3モデルの「X3」、「スーパースポーツギア」、「スーパーオープンギア」も発売された
初代RVRは当時の6代目ギャランをベースに、リアドアは左側だけが開くスライドドアとした、今で言う2列シートミニバンとして1991年に登場した。
初代RVRはクルマ自体の堅実な仕上がりに加え、前後スライド機能を持つ後席など楽しげな明るい雰囲気を持っていたこともあり、なかなかの人気車となった。なお、RVRは「レジャー・ビークル・ランナー」の略である。
RVRはキープコンセプトで1997年に2代目モデルにフルモデルチェンジされるのだが、2代目RVRの販売期間中に三菱自動車のリコール隠し問題が起きた影響もあったのか、販売低迷により2003年に販売を終了した。
3代目となるRVRの復活は2010年のことだった。3代目RVRは、当時の初代アウトランダーのホイールベースはそのままに前後オーバーハングを切り詰めたコンパクトSUVとして再出発した。現在も販売中の復活したRVRも全体的に堅実な仕上がりなのだが、強い魅力に欠けるのも事実で、存在感が薄いのは否めない。
今後RVRは、こちらも車名復活組のエクリプスクロスといずれは統合される可能性もあり、その際に残るのはどちらだろうか。
■初代ミラージュ(1978年)~ミラージュディンゴ(2002年)→6代目ミラージュ(2012年)
初代ミラージュは1978から販売開始された。3ドアハッチバックに続いて5ドアハッチバックが発売され、1982年のマイナーチェンジで4ドアセダンがモデル追加される
1978年に初代モデルが登場したミラージュは2000年に一度目の絶版となるまで、カローラやシビックのライバルとなるミドルクラス、今でいうCセグメントカーのなかでは個性的なモデルというポジションにあった。また、ミラージュは一度目の絶版までワンメイクレースやラリー、ダートラといったモータースポーツ入門車という意味でも重要な存在でもあった。
ミラージュの車名はハイトワゴンのミラージュディンゴに使われ、ミラージュディンゴも2002年に絶版になるのだが、2012年に復活。
復活した6代目ミラージュはタイ国生産となる、トヨタパッソ&ダイハツブーン、日産マーチがライバルとなる小さめのコンパクトカーなのだが、復活したミラージュも現行RVR同様に魅力に欠けることもあり、存在感は薄く、販売も低空飛行が続いている。
ミラージュが今後も継続されるのであれば、現行モデルの改良なり、フルモデルチェンジのタイミングで、何らかの魅力を持つモデルとなることを期待したい。
■初代プラウディア&ディグニティ(1999年)→2代目プラウディア&ディグニティ(2012年)
2000年から販売された初代プラウディア。日本車史上で最も短命に終わったクルマと言われる悲劇のクルマで、その販売期間は1年1カ月と超短命だった
1999年にショーファーユースが中心だったデボネアの後継車として登場したプラウディアとディグニティ(後者はロングボディ)の初代モデルは、韓国のヒョンデにも供給されるという成り立ちはFF化された2代目と3代目のデボネアと同じである。
しかし、初代プラウディア&ディグニティはV8エンジンの搭載など、2代目と3代目のデボネアがギャランΣやディアマンテをストレッチした成り立ちだったのとは違う、力の入ったモデルでもあった。それだけに初代プラウディア&ディグニティは当時のキャデラック同様にFF車だったこともあり、快適性の高さなどを理由に「和製キャデラック」という異名があったほどだった。
だが、初代プラウディア&ディグニティは登場直後の2000年に三菱自動車のリコール隠し問題が起きたこともあり、2001年3月に絶版になるという短命に終わってしまった(ヒョンデへの供給は継続された)。
プラウディア&ディグニティは2012年に復活するのだが、復活したプラウディア&ディグニティは現行フーガとシーマのフロントマスクを代えた程度のOEMだった。そのため三菱自動車のショーファーカーは初代プラウディア&ディグニティで、デボネア時代によく言われた「三菱グループのためのクルマ」というイメージが払拭しかけたのが、復活したプラウディア&ディグニティで元に戻ってしまった。
復活した2代目のプラウディア&ディグニティは一般ユーザーには本当にほとんど関係のないクルマだったこともあり、2016年にヒッソリと姿を消した。
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