今季より導入された“Battle of Technologies(バトル・オブ・テクノロジーズ)”の構想に基づき、新たに持続可能燃料採用の内燃機関(ICE)搭載モデルと、電動最高峰の“RX1e”が混走する2024年WorldRX世界ラリークロス選手権の第3戦が、8月17~18日にベルギーのメテで開催された。
そのダブルヘッダー緒戦となった土曜は、ここまでの開幕2戦4ヒート連続で表彰台を逃す予想外の幕開けとなっていたハンセンWorldRXチームが記録に終止符を打ち、弟ケビンのサポートを受けた2019年王者ティミー・ハンセン(ハンセンWorldRXチーム/プジョー208 RX1e)が約2年ぶりの復活勝利を記録。日曜は勝利を飾った“絶対王者”ヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ポロKMS 601 RX)に一矢報いる週末としている。
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前戦ハンガリーでは、王者ヨハンと弟ケビンによる“遺恨の衝突決着”となっていた両陣営だが、今回のベルギー戦では兄のティミーが反撃の狼煙を上げる幕開けに。ヒート1ではコースオフ、ヒート2では弟に先行を許すなど、幸先の良いスタートとはならなかったものの、2回のセミファイナルで圧勝して最終決戦のポールポジションを獲得すると、もう一方のピラミッドではケビンが絶対王者を巧みにパスしてトップの座を獲得し、ハンセン兄弟がファイナルに向けグリッドの最前列を独占した。
新たに提携する技術企業集団の名を冠し『KMS・ホース・パワートレイン』として参戦するICE搭載車『フォルクスワーゲン・ポロKMS 601 RX』に対し、ゼロ加速に秀でる電動モデルの特性も活かし、スタートでクリストファーソンを封じ込めたふたりは、兄弟ならではのコンビネーションを披露。
弟ケビンが徹底した守備的ドライブで兄を逃すと、ティミーは先頭走者の優位を活かして2秒以上のマージンを築き独走優勝を飾ることに。2位のオーレ・クリスチャン・ベイビー(KMS・ホース・パワートレイン/フォルクスワーゲン・ポロKMS 601 RX)を挟んで、表彰台の最後の1席を争ったケビンとクリストファーソンだったが、ジョーカーラップで一時は4番手に後退したプジョーに対し、終盤フォルクスワーゲンのタイヤがパンクを喫し、フィニッシュ直前に3位を譲られたケビンがわずか0.029秒差で先着し、今季一度もポディウムに上がれなかったチームにとってダブル表彰台フィニッシュが完成した。
■「今年最高の感触だった」と喜びを噛み締めるティミー
「最高だ! KMS相手にペースだけで勝つのは無理だと分かっていたが、一生懸命頑張ってきたし、マシンは今年最高の感触だった」とひさびさの喜びを噛み締めた32歳のティミー。
「今日の結果は100パーセント、チームの素晴らしい努力の賜物だ。自分たちが何をすべきか分かっていたし、ケビンは後方に下がることで自分のレースを犠牲にしてくれた。僕は弟を愛しているし、このチームと家族をとても誇りに思っている」
明けた日曜は、前日の失望を取り返すべくチャンピオンがノートラブルの快走劇を披露し、ヒートレースを順当に制したクリストファーソンがファイナルのポールを確保。スタートでもニクラス・グロンホルム(CEディーラー・チーム/PWR RX1e)をターン1で抑え込み、連続表彰台となった2位ケビンと3位の僚友オーレ・クリスチャンに対し5秒以上のギャップを築き、キャリア通算44勝目を飾ってみせた。
「今日はすべてをまとめることができ、とてもうれしい。OC(オーレ・クリスチャンの愛称)も表彰台に上がり、チャンピオンシップに向けてさらに重要なポイントを獲得できたのは良かったね」と、余裕の言葉を残したクリストファーソン。
「とはいえ、ライバルたちも良い仕事をしており、タイムはどんどんタイトになってきている。僕らも頑張り続けなければならないね」
これでシーズンも中間の折り返し点を過ぎ、残すは2戦4ラウンドとなったWorldRXの2024年シーズン。続く第4戦は9月7~8日にポルトガルのモンタレグレにて、同じくダブルヘッダー・ラウンドが予定されている。
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