現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 中国製BEVへの警戒感を強めるEUとアメリカ! 中国メーカーが日本を本格的に狙う可能性はあるのか?

ここから本文です

中国製BEVへの警戒感を強めるEUとアメリカ! 中国メーカーが日本を本格的に狙う可能性はあるのか?

掲載 108
中国製BEVへの警戒感を強めるEUとアメリカ! 中国メーカーが日本を本格的に狙う可能性はあるのか?

 この記事をまとめると

■EUが一部の中国製BEVへの追加関税率の調整を発表

世界のバスメーカーが狙う新興国のBEVバス市場! 中国が圧倒的な勢いをもつなかで欧州&韓国……そして日本はどうする?

■高い関税率は中国メーカーの欧州での競争力を落とす目的

■中国は新たな市場開拓で日本を狙ってくる可能性もある

 世界中で増える中国製BEV

 報道によると、EU(欧州連合)の欧州委員会は2024年8月20日に中国製BEV(バッテリー電気自動車)の関税について、8月発表より一部に最終的な追加関税率の引き下げを発表した。

 最大税率37.6%としていた上海汽車は36.3%に、BYDオート(比亜迪汽車)は17.4%から17%、ジーリー(吉利汽車)は19.9%から19.3%となった。なお、中国で生産されたアメリカ・テスラのBEVについては、中国政府からの補助金が少ないとして20.8%から9%に大幅引き下げとなっている。これ以外の中国メーカーは、逆に20.8%から21.3%へ今回引き上げられている。

 なお、すでに中国製BEVについては、現行関税率10%にさらに暫定関税が課されている。今回の関税率を確定させるためには、10月末までにEU加盟国の承認を得る必要があるとも報じられている。

 中国政府も黙って受け入れるつもりはないようで、WTO(世界貿易機関)への提訴など、その対抗措置を講じている。

 中国政府同様に、半ば「ヨーロッパ復権」や、「日本車潰し」とまでいわれるほどBEVの普及に前のめりとなっていたEU。しかし、フタを開けてみると、欧州市場に怒涛の勢いで割安感の高い中国製BEVがEU市場に流れ始めることを招いてしまった。そこで慌てて追加関税を課すことにしたといったように見える。

 日本の市場は世界と比較しても特殊だ

 中国メーカーは、すでに中国以外に生産拠点を設けており、今後はタイの工場で生産したモデルを欧州向けに出荷してEUの措置をかわそうとするのではないかとの報道もある。また、「BEVがダメならPHEV(プラグインハイブリッド車)で欧州へ」との動きもあるようだが、EUもすでにそこへの警戒を強めているようである。

 世界的にBEVの販売は停滞ムードが目立っているものの、中国メーカー製BEVの存在感が増す傾向は依然として続いている。欧州よりは前のめりではないアメリカであっても、すでに中国製BEV包囲網を構築しようとしている。こうなってくると、世界第4位になったといえども世界的には巨大な自動車市場をもつ日本へ、中国メーカーも注目してくるのではないかと考えてしまう。

 ただ、欧州や東南アジアなどではBEVの導入に政府が積極的である点は日本とは大きく環境が異なっているといえよう。HEV(ハイブリッド車)が突出して普及しているという点でもかなり特殊な市場ともいえる日本では、BEVの普及はあくまで民間レベルに委ねられているといっていいだろう。その点では諸外国に比べると健全な市場であるとも表現することができる。

 中国メーカーもBEV一辺倒ではなく、PHEVやHEV、そしてICE(内燃機関)車もラインアップするところが多い。BEV専門に見えるBYDオートであってもPHEVをラインアップしている。BEV市場がまだまだこれからとなっている日本では、中国メーカーがPHEVやHEVで勝負を仕かけてくることも想定できるが、冷え切った政府レベルの関係や、両国の国民感情などを考えると慎重な市場開拓が必要になってくるだろう。

 ただし、筆者の持論でもあるが、BEVは世界各国において「政争の具」に使われやすい。日本政府は温室効果ガス対策などへの対応の遅れをしばしば批判されることもある。そのようななか、ある日突然のように外圧に屈して日本政府がBEV普及に前のめりになったとしても、欧州や東南アジアのように「それでは中国製BEVへ」という消費行動は起こりにくいはずだ。

 いまはBYDオートのみだが、報道では2025年にジーリーのNEV(新エネルギー車/新能源車)ブランドである「ZEEKR」が日本へ上陸予定とのこと。ZEEKRブランド車はボルボブランド車とメカニカルコンポーネントを共用しており、その点では純粋な中国メーカー開発車とは一線を画すので市場参入しやすいともいえる。

 いまはジワジワといったレベルの中国車の市場参入だが、欧州やアメリカほど政府が強硬姿勢を自発的に見せるとは思えない一方で、ジワジワから「一気」へ情勢が変わることも十分あり得ることだけは、思い留めておいたほうがいいかもしれない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

原油が採れる量の問題じゃない! 日本のガソリン価格高騰はほぼ「産油国の政治的思惑」によるものだった
原油が採れる量の問題じゃない! 日本のガソリン価格高騰はほぼ「産油国の政治的思惑」によるものだった
WEB CARTOP
中国がなぜEV化政策を推し進め、なぜタイで中国自動車組立工場が続々と建設されるのか? バンコクモーターショーの活況から理由が見えてきました
中国がなぜEV化政策を推し進め、なぜタイで中国自動車組立工場が続々と建設されるのか? バンコクモーターショーの活況から理由が見えてきました
Auto Messe Web
「レクサス」「アキュラ」「インフィニティ」はいかにして生まれた? 日本の高級車ブランドの歴史
「レクサス」「アキュラ」「インフィニティ」はいかにして生まれた? 日本の高級車ブランドの歴史
WEB CARTOP
「BYDが出展したら……」 いまバス業界は中国メーカーの動向に戦々恐々!
「BYDが出展したら……」 いまバス業界は中国メーカーの動向に戦々恐々!
WEB CARTOP
中国メーカーEV大躍進! ……だけど タイの自動車事情が激ヤバってどういうことなのよ?【鈴木直也の視点】
中国メーカーEV大躍進! ……だけど タイの自動車事情が激ヤバってどういうことなのよ?【鈴木直也の視点】
ベストカーWeb
トラックとターボは切っても切り離せない関係! 燃費とパワー&トルクを両立するダウンサイジングディーゼルターボが万能選手だった
トラックとターボは切っても切り離せない関係! 燃費とパワー&トルクを両立するダウンサイジングディーゼルターボが万能選手だった
WEB CARTOP
米大統領選異例の大接戦,「どっちもどっち」悩ましい日本車メーカー[新聞ウォッチ]
米大統領選異例の大接戦,「どっちもどっち」悩ましい日本車メーカー[新聞ウォッチ]
レスポンス
香港のタクシーが「サービス違反点数制度」導入で顧客満足度向上! 日本のタクシー業界も外国人運転士の採用などを考えれば検討の余地あり
香港のタクシーが「サービス違反点数制度」導入で顧客満足度向上! 日本のタクシー業界も外国人運転士の採用などを考えれば検討の余地あり
WEB CARTOP
BEV普及のための陰謀説まで囁かれる! かつて「水より安い」と言われたアメリカのガソリン価格が高騰気味!!
BEV普及のための陰謀説まで囁かれる! かつて「水より安い」と言われたアメリカのガソリン価格が高騰気味!!
WEB CARTOP
全部知ってたら「車神」レベル!? 日本人のとっての「どマイナー」自動車メーカー8選
全部知ってたら「車神」レベル!? 日本人のとっての「どマイナー」自動車メーカー8選
WEB CARTOP
「経済制裁を受けているのに」 ロシアが「中古車輸出先」でトップの謎。今年は輸出先ランキング1位を維持! なぜ輸出が多いのか、経済産業省に聞く
「経済制裁を受けているのに」 ロシアが「中古車輸出先」でトップの謎。今年は輸出先ランキング1位を維持! なぜ輸出が多いのか、経済産業省に聞く
くるまのニュース
まもなく軽車「インスター」も導入で韓国ヒョンデの勢いが止まらない! 中国・四国地方には「Hyundai Mobility Lounge 岡山」がオープン
まもなく軽車「インスター」も導入で韓国ヒョンデの勢いが止まらない! 中国・四国地方には「Hyundai Mobility Lounge 岡山」がオープン
WEB CARTOP
日産大丈夫か!? トランプ氏当選でクルマ業界激変!?
日産大丈夫か!? トランプ氏当選でクルマ業界激変!?
ベストカーWeb
世界最速の4シーターGT「ストーム」はわずか4台だけが世に出た! マイナーメーカーとして片付けるにはちょっと惜しい英国の「リスター」を知ってるか?
世界最速の4シーターGT「ストーム」はわずか4台だけが世に出た! マイナーメーカーとして片付けるにはちょっと惜しい英国の「リスター」を知ってるか?
WEB CARTOP
北米で2代目日産キックスがデビューもぶっちゃけ人気が今ひとつ! 原因は見た目や中身じゃなくて「ヘタな売り方」
北米で2代目日産キックスがデビューもぶっちゃけ人気が今ひとつ! 原因は見た目や中身じゃなくて「ヘタな売り方」
WEB CARTOP
【業界に激震!】 日産、厳しい状況に陥った背景と未来への道筋 「苦境に必要なのは夢を語ること」
【業界に激震!】 日産、厳しい状況に陥った背景と未来への道筋 「苦境に必要なのは夢を語ること」
AUTOCAR JAPAN
クルマだけど「走らないとき」の価値が高い! シャープの電気自動車が自動車メーカーとはひと味違う中身だった
クルマだけど「走らないとき」の価値が高い! シャープの電気自動車が自動車メーカーとはひと味違う中身だった
WEB CARTOP
日本は「太陽光」「風力」発電が厳しい環境! EVを促進するのに大切な「ゼロエミッション発電」はまだまだ難しい課題だった
日本は「太陽光」「風力」発電が厳しい環境! EVを促進するのに大切な「ゼロエミッション発電」はまだまだ難しい課題だった
WEB CARTOP

みんなのコメント

108件
  • Jkd*******
    他国が紛い物をばらまいても結構
    但し日本にいれるな。危険
    爆発したら危険だし迷惑。
    人民弾圧して拷問している国の奴らの紛い物に
    信頼性なし。
  • lov********
    中国製EVを日本で本格的に売るかと言われたら、あり得ないと思う。今から販売拠点の整備などを進めたら莫大な金が掛かるし、欧米までとなるとさらに不可能だと思う。売るんだったら何処かの販売店の委託販売の方法しか取れないのではないか?それに中国製となると政府同士のいざこざがあり過ぎて、買う人は少ないと思うし私も買わない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村