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ランボルギーニ ウラカン&アヴェンタドール、ハードウェットの鈴鹿サーキットで全開アタック! 【Playback GENROQ 2017】

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ランボルギーニ ウラカン&アヴェンタドール、ハードウェットの鈴鹿サーキットで全開アタック! 【Playback GENROQ 2017】

Lamborghini Huracan Performante × Aventador S Coupe

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ × アヴェンタドールS クーペ

ランボルギーニ ウラカン&アヴェンタドール、ハードウェットの鈴鹿サーキットで全開アタック! 【Playback GENROQ 2017】

雨中のフルアタックで見えた意外な性能とは?

ランボルギーニの市販公道モデルで、最強のパフォーマンスを得たウラカン・ペルフォルマンテ。ニュル北コースで最速タイムを記録したそのポテンシャルをサーキットで測る機会を得た。旗艦モデルのアヴェンタドールSと共に、ペルフォルマンテの“凄さ”を雨中の鈴鹿でモータージャーナリストの斎藤 聡が体感した。

「近年のランボルギーニがなぜ高い評価を得ているのかを実感できた」

6月某日、鈴鹿サーキットでウラカン ペルフォルマンテとアヴェンタドールSの試乗会が行われた。当日はあいにくのウェットコンディション。600psや700psクラスのスーパーカーをテストするのにこれほど不似合いなコンディションはない・・・と思っていたのだが、いざ走らせてみると高性能の一端ではあるけれど、近年のランボルギーニがなぜこれほど高い評価を得ているのかを実感することができた。

ウラカン ペルフォルマンテは、ニュルブルクリンクの北コース、ノルトシュライフェで6分52秒01というとてつもないタイムを叩き出し、世界最速市販車の称号を手に入れた文字通りウラカンのハイパフォーマンスモデルだ。このペルフォルマンテ最大のトピックスは「エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ(ALA)」。フロントスポイラーとリヤエアダクト、リヤウイングまわりに組み込まれ、モーター駆動によるエアロ内部のフラップ開閉によってダウンフォースを強めたり弱くしたりできる。しかもすごいのは、左右独立で制御できること。つまり右旋回なら右側のダウンフォースを高め、安定性と旋回性を高めることができるのだという。時代は空力ボディの電子制御まできたのか! と改めて感嘆した次第。

「アクセル操作がそのままパワーと連動してダイレクトにタイヤに伝わる」

パワートレインのチューニングも怠りない。5.2リッターV10のパワースペックはノーマル比で30ps/40‌Nmアップし、最高出力640ps/8000rpm、最大トルク600Nm/6500rpmを発揮する。吸気系の改良とチタンバルブ採用によるバルブリフト量アップが大きな要因だ。

ボディはアルミとカーボンのハイブリッドフレーム。さらにボディシェルにアルミ+コンポジッド(レジンの母材に炭素を埋め込んだもの)を広範囲に採用することで40kgの軽量化を実現。足まわりではスプリングとアーム類の強化によってウラカンクーペに比べ垂直剛性10%、ロール剛性15%にそれぞれアップ。ブッシュ強化も施す。リヤデフに完全電子制御のオートロック式リヤデファレンシャルを装備したランボルギーニ開発の4WDシステム=ハルデックス第5世代システムを搭載する。

さて、口上が長くなってしまったが、実際にペルフォルマンテはどんな走りを見せてくれたのか。実はブッシュまわりの剛性アップ(強化)と聞いて、シビアな操縦性をイメージしていた。ところが、乗り味はものすごく素直で過敏さはまったく感じられなかった。エンジンのレスポンスが鋭くアクセル操作に気を遣うのかと予想していたが、シビアさはなくひたすら正確。アクセル操作がそのままパワーと連動してダイレクトにタイヤに伝わる。アクセル操作が多いとか、足りないといったリアクションがダイレクトに伝わるから、修正操作が的確にできる。結果的に思い通りにパワーを路面に伝えられる=走りやすく感じられた。

「ペルフォルマンテではスポルトこそ真のドリフトモードだと言えよう」

今回の試乗は前述したようにヘビーウェット。最初は様子見でストラーダにて走り始めたが、このモードはトルク配分を安定して前後30対70あたりから40対60くらいにキープしていてくれるようだ。あまり駆動トルクの前後変化もなく、減速から旋回、立ち上がり加速の一連の操作にも違和感がなかった。一方でストラーダは別名ドリフトモードと呼ばれている。なるほどリヤ寄りの駆動配分のため、デクナーの第2とかヘアピンの立ち上がりでパワーを余計にかけていくと、確かにリヤから先にテールアウトする。ESPの介入も遅めでリヤが滑ってから作動する。

しかし別の日に某テストコースのスキッドパッドで駆動の様子を試してみると、ストラーダはフロントの駆動が強く、ドリフトさせるにはかなり深めのドリフトアングルが必要なのがわかった。一方、スポルトはフロントへの駆動トルクが少なくリヤ寄りなので、後輪駆動のようにドリフト姿勢にするのが容易い。フロントへは感覚的に10~20%程度の駆動トルクが配分されている感覚はあるが、それがあまり変化しないのでドリフト姿勢を作ってからの収束がイージーだった。スポルトこそ真のドリフトモードだと言えよう。

「雨の鈴鹿をこれほど楽しく、走れるクルマはそうはない」

因みにコルサモードは、ハンドルを内側に切っているときには0対100までいかなくてもかなり後輪寄り。ところがハンドルを直進付近に戻すと50対50に近い駆動配分になり、クルマが横に滑らず前に進んでしまう。実はテストコースで得られたこのコルサモードの感覚がそのまま鈴鹿サーキットでも当てはまった。旋回はノーズがスーッと入り気持ちよく回る。そしてハンドルを戻しながら加速状態に入るとドシッとクルマの手応えが重くなりグイグイと前に進むのだ。ヘアピンで試すとプッシュアンダーが強く出やすく正直なところ走りにくかった。ただ不思議な感覚があったのは、スプーン手前の旧まっちゃんコーナーやスプーンコーナーの立ち上がり。不思議にクルマに安定感があり、それでいながらスイーッと曲がる感覚がある。

その昔、エアロパーツを付けたり外したりしながら、サーキットでその効果をテストしたことがあったが、メカニカルなグリップとは異なるダウンフォースの乗った安定感を感じた(ような気がした)ことがあり、それに近い感触だった。断言するにはあまりにも今回は試乗時間が短かったものの、印象としてはその操縦性はシビアでも難しくもなく、ドライバーが正確な操作を心がければ高い精度で応えてくれる、世界屈指のスーパースポーツカーであったと言える。雨の鈴鹿をこれほど楽しく、走れるクルマはそうはない。

「V12を搭載したフラッグシップモデルのアヴェンタドールS」

一方、ランボルギーニのフラッグシップモデルであるV12エンジンを搭載する次世代モデルとして登場したアヴェンタドールS。エクステリアはブラッシュアップされ、空力特性をアップ。フロントダウンフォースは130%も高められている。またサイドエアインテークはその形状を見直すことで乱流を抑え冷却効率を高め、リヤホイールアーチにはクンタッチを彷彿とさせるデザインアイコンも取り入れられた。自然吸気の6.5リッターV12エンジンは更なるパワーアップを遂げ、最高出力740ps/8400rpm、最大トルク690Nm/5500rpmを発揮する。

シャシーは、4輪操舵システムの採用とプッシュロッド式磁気粘性サスペンション、それにドライビングモードに応じて最適制御が行われる新ESCシステムが採用され「ランボルギーニ・ディナミカ・ヴェイコロ・アッティーヴァ(LDVA)」と呼ばれる統合制御ユニットによって、さまざまな走行状況・路面状況下で最適な設定となるように制御されている。

「LDSによりまるでホイールベースが伸びたように車体の安定感が増す」

・・・と説明されても、なかなか理解しにくいが、走り出せばその恩恵は瞬時に理解できる。乗り味がビックリするくらいマイルドというか滑らかなのだ。減衰力から恐らく4WD制御まで、機能を複雑巧みに連携させながら親和感のある乗り味、操縦感覚に仕上げている。雪道でも統合制御のチューニングを行ったというがその成果は間違いなく表れていると思う。それとともにその性能を実感したのが後輪操舵システムのLDS(ランボルギーニ・リヤアクスル・ステアリング)だ。例えばS字の先のダンロップコーナーや300Rではまるでホイールベースが伸びたように車体の安定感が増し、ヘアピンやシケインでハンドルを深めに切ってアクセルオフで待っていると“くるん”とショートホイールベースのクルマのように小さく曲がる。アンダーステアも少なかった。

ANIMAの印象は、全体としてはウラカンに似ており、ストラーダは安定、スポルトはドリフト、コルサはサーキット(ドライ)という方向性。中でも今回の試乗に限って言えば駆動トルク配分40対60が基本となるストラーダモードが走りやすかった。フラッグシップとしての存在感と圧倒的なパフォーマンスを備えながら、いざ走らせてみると意外なほどフレンドリーに仕上がっているのが印象的だった。

REPORT/斎藤 聡(Satoshi SAITO)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【SPECIFICATIONS】

ランボルギーニ ウラカン ペルフォルマンテ

ボディサイズ:全長4506 全幅1924 全高1165mm
ホイールベース:2620mm
トレッド:前1668 後1620mm
乾燥重量:1382kg
エンジン:V型10気筒DOHC40バルブ
ボア×ストローク:84.5×92.8mm
圧縮比:12.7
総排気量:5204cc
最高出力:470kW(640ps)/8000rpm
最大トルク:600Nm(61.2kgm)/6500rpm
トランスミッション:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
ディスク径:前380×38 後356×32mm(カーボンセラミックディスク)
タイヤサイズ(リム幅):前245/30R20(8.5J) 後305/30R20(11J)
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:2.9秒
CO2排出量:314g/km
燃料消費率:13.7リッター/100km
車両本体価格:3416万9904円

ランボルギーニ アヴェンタドール S クーペ

ボディサイズ:全長4797 全幅2030 全高1136mm
ホイールベース:2700mm
トレッド:前1720 後1680mm
乾燥重量:1575kg
エンジン:V型12気筒DOHC48バルブ
ボア×ストローク:95×76.4mm
圧縮比:11.8
総排気量:6498cc
最高出力:544kW(740ps)/8400rpm
最大トルク:690Nm(70.4kgm)/5500rpm
トランスミッション:7速SCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウイッシュボーン(プッシュロッド式)
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
ディスク径:前400×38 後380×38mm(カーボンセラミックディスク)
タイヤサイズ(リム幅):前255/30ZR20(9J) 後355/25ZR21(13J)
最高速度:350km/h
0-100km/h加速:2.9秒
CO2排出量:394g/km
燃料消費率:16.9リッター/100km
車両本体価格:4490万4433円

※GENROQ 2017年 9月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。

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