成功への扉は、どこに開いているかわからない。ヤマハのオフロードバイク「TWシリーズ」を思い出すとき、いつもそう感じる。1987年に登場したときのキャラクターは、コンパクトでタフな多目的車であり、それ以上でも以下でもなかった。ところが90年代に入るとストリート・チューンのベースモデルとして大人気となり、バイク・カスタマイズの歴史に名を残すモデルとなっていったのだ。
日本の2輪メーカーは巨大市場である北米の風土や文化に対応すべく、1970年代からオフロードバイクのラインナップ拡充を図っていた。ヤマハでは2ストロークエンジンを載せた「DT(Dual-purpose Trail)」シリーズがヒットした。それが彼の地では80年代に入っても農場で使われ、草の根モータースポーツで使われ、子供の乗り物練習用に使われ、つまり民具として長く現役であり続けた。ゆえにオフ系バイクは、やみくもにカタログ上の高性能を追い求める必要はなかったのだ。
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1987年4月にデビューしたTW200。扱いやすさを重視し好評だったセローのコンセプトを引き継ぎつつ、極太タイヤなどでタフさをアピールした。空冷200ccエンジンは16psと非力ながら中低速での扱いやすさを狙った。ヤマハ・オフロードバイクの系譜は4ストローク化された「XT」や乗りやすさや取り回しを重視した「セロー」に引き継がれ、その次の一手としてTW(Trail Way)が現れた。特徴は極太のリアタイヤ。ATV(All Terrain Vehicle=全地形対応4輪バギー)を意識したもので、「あらゆる道を走破できる」頼もしさをアピールした。
角型ライトやアップマフラーなどオフロード車らしい成り立ちを持つが、ストリートカスタムでは丸型ライトにダウンマフラー化が定番だった。“スカチューン”、“ロンスイ”、“バリ山”そのTWの運命を変えたのは、TWに“素材”として着目したカスタムビルダーたちの出現だ。東京・杉並にあった「モトショップ五郎」はその代表格で、同店はアメリカのダートトラッカーに発想を得たカスタムや、オフ/オンのハイブリッドモデルと言えるモタード系カスタマイズを得意としていた。
サイズ、排気量、そして価格も手頃なTWは、カスタムベース車両にもってこいだったのだ。ワイルドさを感じさせる極太タイヤはそのままに、ストリートカスタムの要素を加えた“ティーダブ”がこうして現れた。
90年代はストリートカルチャー、ユースカルチャーが広がっていった時代だ。ファッションでいえば腰穿きヴィンテージジーンズにハイテクスニーカーだろうし、音楽ならヒップホップやグランジ・ロック。いわゆる“渋カジ”が全盛を誇っていた。
デビュー当時“アドバンチャー・トレール”というコンセプトを打ち出していたTWは、後にアスファルト・ジャングルをその主戦場とすることになる。そこにTWはフィットした。サイドカバーはおろかバッテリーさえも外し、徹底的にシンプル化した “スカチューン”、リアサスペンションのスイングアームをやたらに伸ばす“ロンスイ”、新品ブロックタイヤにこだわる“バリ山”など、90年代らしいストリート趣味に彩られて、TWは若者たちのファッションのひとつとなった。
2000年代に入り、大ヒットしたドラマ『ビューティフルライフ』で木村拓哉演じる主人公の愛車となったことも、人気に拍車をかけた。
質実剛健なアドベンチャーバイクとして生まれた「TW」は、いつしか日本でもっとも知られるバイクの1台となった。結果、20年におよび販売されたロングセラー車(日本国内)となり、多くの“ティーダバー”たちを生んだのだ。
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みんなのコメント
TW200Eも刻々と経年劣化な風合いを
醸し出してる。イジリ倒したTWを
ほぼノーマルに戻し、ストリートユースを
今は林道仕様、一人キャンプ仕様にした。
時代と共に私の相棒はまだまだ走ってくれる。