現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > それはバイクの“渋カジ化”だった!ヤマハTW200

ここから本文です

それはバイクの“渋カジ化”だった!ヤマハTW200

掲載 更新 1
それはバイクの“渋カジ化”だった!ヤマハTW200

成功への扉は、どこに開いているかわからない。ヤマハのオフロードバイク「TWシリーズ」を思い出すとき、いつもそう感じる。1987年に登場したときのキャラクターは、コンパクトでタフな多目的車であり、それ以上でも以下でもなかった。ところが90年代に入るとストリート・チューンのベースモデルとして大人気となり、バイク・カスタマイズの歴史に名を残すモデルとなっていったのだ。

日本の2輪メーカーは巨大市場である北米の風土や文化に対応すべく、1970年代からオフロードバイクのラインナップ拡充を図っていた。ヤマハでは2ストロークエンジンを載せた「DT(Dual-purpose Trail)」シリーズがヒットした。それが彼の地では80年代に入っても農場で使われ、草の根モータースポーツで使われ、子供の乗り物練習用に使われ、つまり民具として長く現役であり続けた。ゆえにオフ系バイクは、やみくもにカタログ上の高性能を追い求める必要はなかったのだ。

新型スカイラインは“運転しない歓び”もある!? プロパイロット 2.0体験試乗記

1987年4月にデビューしたTW200。扱いやすさを重視し好評だったセローのコンセプトを引き継ぎつつ、極太タイヤなどでタフさをアピールした。空冷200ccエンジンは16psと非力ながら中低速での扱いやすさを狙った。ヤマハ・オフロードバイクの系譜は4ストローク化された「XT」や乗りやすさや取り回しを重視した「セロー」に引き継がれ、その次の一手としてTW(Trail Way)が現れた。特徴は極太のリアタイヤ。ATV(All Terrain Vehicle=全地形対応4輪バギー)を意識したもので、「あらゆる道を走破できる」頼もしさをアピールした。

角型ライトやアップマフラーなどオフロード車らしい成り立ちを持つが、ストリートカスタムでは丸型ライトにダウンマフラー化が定番だった。“スカチューン”、“ロンスイ”、“バリ山”そのTWの運命を変えたのは、TWに“素材”として着目したカスタムビルダーたちの出現だ。東京・杉並にあった「モトショップ五郎」はその代表格で、同店はアメリカのダートトラッカーに発想を得たカスタムや、オフ/オンのハイブリッドモデルと言えるモタード系カスタマイズを得意としていた。

サイズ、排気量、そして価格も手頃なTWは、カスタムベース車両にもってこいだったのだ。ワイルドさを感じさせる極太タイヤはそのままに、ストリートカスタムの要素を加えた“ティーダブ”がこうして現れた。

90年代はストリートカルチャー、ユースカルチャーが広がっていった時代だ。ファッションでいえば腰穿きヴィンテージジーンズにハイテクスニーカーだろうし、音楽ならヒップホップやグランジ・ロック。いわゆる“渋カジ”が全盛を誇っていた。

デビュー当時“アドバンチャー・トレール”というコンセプトを打ち出していたTWは、後にアスファルト・ジャングルをその主戦場とすることになる。そこにTWはフィットした。サイドカバーはおろかバッテリーさえも外し、徹底的にシンプル化した “スカチューン”、リアサスペンションのスイングアームをやたらに伸ばす“ロンスイ”、新品ブロックタイヤにこだわる“バリ山”など、90年代らしいストリート趣味に彩られて、TWは若者たちのファッションのひとつとなった。

2000年代に入り、大ヒットしたドラマ『ビューティフルライフ』で木村拓哉演じる主人公の愛車となったことも、人気に拍車をかけた。

質実剛健なアドベンチャーバイクとして生まれた「TW」は、いつしか日本でもっとも知られるバイクの1台となった。結果、20年におよび販売されたロングセラー車(日本国内)となり、多くの“ティーダバー”たちを生んだのだ。

こんな記事も読まれています

電気自動車を買って試す本音レポート リアルEVライフ[電費を計測する]の巻
電気自動車を買って試す本音レポート リアルEVライフ[電費を計測する]の巻
グーネット
レクサス「LM」6座仕様車を追加 3列目もラグジュアリーな空間に
レクサス「LM」6座仕様車を追加 3列目もラグジュアリーな空間に
グーネット
2車線の片側が突如右折レーンに! 富士見川越バイパスの終点はなんであんなに残酷なのか?
2車線の片側が突如右折レーンに! 富士見川越バイパスの終点はなんであんなに残酷なのか?
ベストカーWeb
なんちゃってセレブが「核融合科学研究所」へ大人の社会科見学!「核融合」は原子力発電の「核分裂」とは違うのよ~
なんちゃってセレブが「核融合科学研究所」へ大人の社会科見学!「核融合」は原子力発電の「核分裂」とは違うのよ~
Auto Messe Web
【24’ 5/7最新】レギュラーガソリン全国平均価格は174.7円 2週ぶり値下がり止まる
【24’ 5/7最新】レギュラーガソリン全国平均価格は174.7円 2週ぶり値下がり止まる
グーネット
鈴鹿で19台が参加しGT300専有テストがスタート。初日はmuta Racing GR86 GTが最速
鈴鹿で19台が参加しGT300専有テストがスタート。初日はmuta Racing GR86 GTが最速
AUTOSPORT web
【GT300開幕戦レビュー&シーズン展望】一歩抜きん出た印象のブリヂストン。最適解は交換か、無交換か
【GT300開幕戦レビュー&シーズン展望】一歩抜きん出た印象のブリヂストン。最適解は交換か、無交換か
AUTOSPORT web
アイルトン・セナのMP4/4がマクラーレン720S GT3で蘇る。ラグナ・セカに没後30年追悼リバリー登場/IMSA
アイルトン・セナのMP4/4がマクラーレン720S GT3で蘇る。ラグナ・セカに没後30年追悼リバリー登場/IMSA
AUTOSPORT web
好感度クラスNo.1! アウディA3 スポーツバックへ試乗 小改良 見違えるほど変わった車内
好感度クラスNo.1! アウディA3 スポーツバックへ試乗 小改良 見違えるほど変わった車内
AUTOCAR JAPAN
負傷のハプスブルク、WECスパでの復帰叶わず。グーノンがふたたびアルピーヌA424をドライブへ
負傷のハプスブルク、WECスパでの復帰叶わず。グーノンがふたたびアルピーヌA424をドライブへ
AUTOSPORT web
4児の父「杉浦太陽」、新車で買った「高級ミニバン」初公開! 「すごく乗りやすくて…」全貌を明かし「カッコイイ!」「好感持てる」の声集まる
4児の父「杉浦太陽」、新車で買った「高級ミニバン」初公開! 「すごく乗りやすくて…」全貌を明かし「カッコイイ!」「好感持てる」の声集まる
くるまのニュース
レッドブルF1代表、フェルスタッペンの契約にニューウェイに関する条項はないと明言
レッドブルF1代表、フェルスタッペンの契約にニューウェイに関する条項はないと明言
AUTOSPORT web
世界戦デビューの地でエルラシェールが復活。リンク&コーが週末完全制覇を達成/TCRワールドツアー第2戦
世界戦デビューの地でエルラシェールが復活。リンク&コーが週末完全制覇を達成/TCRワールドツアー第2戦
AUTOSPORT web
リスクはある? サイバーセキュリティ規制、非対応車は「脆弱」なのか 一部地域で販売継続
リスクはある? サイバーセキュリティ規制、非対応車は「脆弱」なのか 一部地域で販売継続
AUTOCAR JAPAN
ロールス・ロイスが考古学調査!? 本社の増築予定地からローマ時代の遺物が出土…地元の小学生が「ジュニア考古学者」になりました
ロールス・ロイスが考古学調査!? 本社の増築予定地からローマ時代の遺物が出土…地元の小学生が「ジュニア考古学者」になりました
Auto Messe Web
アントネッリのF1デビューを早める動き。イモラでサージェントと交代との説は、メルセデスとウイリアムズが否定
アントネッリのF1デビューを早める動き。イモラでサージェントと交代との説は、メルセデスとウイリアムズが否定
AUTOSPORT web
BMW M4 に最強の「CS」、550馬力ツインターボ搭載
BMW M4 に最強の「CS」、550馬力ツインターボ搭載
レスポンス
史上最少僅差0.001秒決着! カイル・ラーソンが「ワイルドなフィニッシュ」で2勝目/NASCAR第12戦
史上最少僅差0.001秒決着! カイル・ラーソンが「ワイルドなフィニッシュ」で2勝目/NASCAR第12戦
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
  • あの頃、若かった私も年を取り
    TW200Eも刻々と経年劣化な風合いを
    醸し出してる。イジリ倒したTWを
    ほぼノーマルに戻し、ストリートユースを
    今は林道仕様、一人キャンプ仕様にした。
    時代と共に私の相棒はまだまだ走ってくれる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95.2105.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.088.0万円

中古車を検索
ストリートの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

95.2105.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

39.088.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村