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フェラーリ・ローマ・スパイダー 275 GTS 比較試乗(2) 史上最高なV12サウンド クーペの選択へ疑問?

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フェラーリ・ローマ・スパイダー 275 GTS 比較試乗(2) 史上最高なV12サウンド クーペの選択へ疑問?

クーペを選ぶ理由に疑問が湧くソフトトップ

フェラーリ・ディーノ206 GTは1967年に登場していたが、365 GTS/4「デイトナ」スパイダーの生産が1973年に終了すると、コンバーチブルもミドシップへ。308 GTSにモンディアル・カブリオレ、348 GTS、355 GTSとスパイダーを経て、F50が続いた。

【画像】ソフトトップ・フェラーリ ローマ・スパイダーと275 GTS ポルトフィーノとデイトナも 全119枚

フロントエンジンでは、2000年の550 バルケッタ・ピニンファリーナを挟み、2008年に発売されたのがカリフォルニア。6年後にカリフォルニア Tへ更新され、ポルトフィーノに交代している。800psの812 GTSも、忘れてはならない1台だ。

歴史的な確認が長くなったが、ローマ・スパイダーの運転席を観察してみよう。車載機能のインターフェイスのほぼすべてが、カーボンファイバーとレザーで仕立てられたステアリングホイール上と、その周囲にレイアウトされている。

レッドに染められた「マネッティーノ」ドライブモード・セレクターから、各スイッチまで、すべて直感的な場所にある。作り込みは美しく、人間工学的にも素晴らしい。ただし、もう少しデザインには高級感があって良いだろう。

ソフトトップを閉めると、ハードトップに迫る水準で防音性が高い。もちろん、隙間風が吹き込むことはない。シート後方のウインドディフレクターが有能で、オープン状態でも感心するほど車内は居心地が良い。クーペを選ぶ理由に、疑問が湧くほど。

動力性能は、620psへの期待通り。275 GTSとは異なる、フラットプレーン・クランクユニットらしいV型8気筒サウンドが、耳へ直接届く。8速デュアルクラッチATにも、批判するような部分はまったくない。

理想像な3ペダルとオープンゲートMT

とはいえ、275 GTSの体験は極上。フェラーリを専門に扱うカーディーラー、ジョーマカリ社が特別な顧客から仕入れたという1965年式で、フェラーリ・クラシケの認証も受けている。

しばらく放置されていたらしく、オーバーホールが控えているそうだが、走りは活発。容姿は素晴らしいのひとことだ。ローマ・スパイダーに乗って、275 GTSを追走していると、その小ささに改めて驚かされた。

キーを回し、トリプル・ウェーバーキャブレターへガソリンが送られるのを待つ。勇ましい轟音とともに、V型12気筒エンジンが目覚める。咳き込むように回転数を上下させ、落ち着いたアイドリングが始まる。

やはり、3ペダルのオープンゲート・マニュアルが、筆者にとってフェラーリの理想像。初秋のイタリアのワインディングをすり抜け、湖畔に佇む小洒落たトラットリアの壁へ、クラシカルなサウンドを反響させたい。完璧なドライブを想像してしまう。

1960年代のイタリア車として考えれば、運転姿勢は自然。すべての操作系が、届きやすい場所にある。

前方視界で存在感を示すのは、3スポークのナルディ・ステアリングホイール。その奥に、300km/hまで振られたスピードと、7000rpmでレッドラインのタコ、2枚の補機メーターが並ぶ。4枚がシフトレバーの前にも。

自動車史上最高といえるV12サウンド

ソフトトップを開くと、フィルターなしの排気音が心地良い。長いシフトレバーを動かし、横へ飛び出た1速を選ぶ。重めのクラッチペダルを緩めると、アクセルレスポンスは想像以上に鋭い。キャブレターのセッテイングは完璧だ。

勢いよく加速させれば、自動車史上最高といえるサウンドに包まれる。低回転域では深く重層的。回転数の上昇とともにトーンを高め、乗り手の背筋をゾクゾクさせながら、壮大にクレッシェンドしていく。ローマのV8サウンドが、単調に思えてしまう。

パワーデリバリーは直線的。粘り強く、2000rpmからレッドライン目がけて迷うことなく吹け上がる。変速の度に、カチカチとシフトレバーがゲートに当たる。

最近、275 GTBを数台運転する機会があったが、GTSの方が全体的にソフト。60年も前のオープンカーだと考えると、操縦性の優秀さに唸ってしまう。

確かに、路面の凹凸で僅かにボディは震える。だが、14インチで扁平率70のミシュランXWXタイヤが、過度な衝撃を丸め込んでくれる。姿勢制御は落ち着いていて、適度にクイックなステアリングはダイレクトだ。

それでも、普段使いは難しいだろう。駐車場でもステアリングは重すぎないが、この時代のフェラーリは、毎日のお買い物を想定して設計されてはいなかった。

他方、ローマ・スパイダーなら、問題なく渋滞混じりの通勤にも対応できるはず。この60年間における、フェラーリ最大の進化だといってもいい。少しひねくれた、まとめ方かもしれないけれど。

フェラーリのFRコンバーチブル 2台のスペック

フェラーリ・ローマ・スパイダー(欧州仕様)

英国価格:21万838ポンド(約4048万円)
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1306mm
最高速度:320km/h
0-97km/h加速:3.4秒
燃費:8.8km/L
CO2排出量:258g/km
車両重量:1664kg
パワートレイン:V型8気筒3855cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000-5750rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)

フェラーリ275 GTS (1964~1966年/欧州仕様)

英国価格:5973ポンド(1965年)
全長:4325mm
全幅:1725mm
全高:1245mm
最高速度:241km/h
0-97km/h加速:7.1秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1120kg
パワートレイン:V型12気筒3286cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:263ps/7000rpm
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)

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