現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ダイハツ タフトの発売後3カ月間の売れ行きと軽自動車のSUV市場が急成長した背景

ここから本文です

ダイハツ タフトの発売後3カ月間の売れ行きと軽自動車のSUV市場が急成長した背景

掲載 更新 97
ダイハツ タフトの発売後3カ月間の売れ行きと軽自動車のSUV市場が急成長した背景

2020年6月、軽自動車SUVのダイハツ タフトがデビューした。激戦の軽トールワゴン市場ではあるが、発売1カ月で1万8000台を受注し好調な滑り出しを見せた。ダイハツ タフトが好調な理由と、その後の販売動向を見てみよう。

販売台数で強敵スズキ ハスラーに一歩及ばず。しかし...
2020年6月10日に、ダイハツ タフトが新発売された。タフトのネーミングは1984年以来、36年ぶりの復活で、その由来は「Tough & Almighty Fun Tool(タフ&オールマイティ ファンツール)」の頭文字だ。意味は、堅牢でどこでも使える楽しい道具といったところか。

●【くるま問答】ガソリンの給油口、はて? 右か左か、車内からでも一発で見分ける方法教えます(2020.01.21)

タフトは1630mmの高い全高を持つトールワゴンボディの軽自動車クロスオーバーSUVで、タント/ロッキーに次ぐDNGA第3弾だ。SUVらしく最低地上高を190mmと高めに設定し、アプローチアングル27度、ディパーチャーアングル58度を確保。また、ぬかるみや凸凹道でのタイヤの空転を防止するため、駆動系にグリップサポート制御を備える。駆動方式はFFと4WDだが、4WDはフルタイム方式でオンロードユースを主体となる。

ライバルは言うまでもなく、同じく軽クロスオーバーSUVのスズキ ハスラーだ。また全高やキャラクターを考えると、スズキ スペーシアギアや三菱 eKクロスなどもライバル車としては欠かせない存在だ。

激戦区の軽自動車市場で、ダイハツ タフトは発売後1カ月の初期受注で1万8000台を記録した。もっともこの受注台数は予約商談会の始まった4月からの累積で、ひと月あたり約5000台の受注となる。全国軽自動車協会連合会によれば、発売翌月の2020年7月に6300台、8月に5292台、9月に6873台が届出され、月間販売目標台数の4000台を楽々とクリアしている。

一方、2020年1月にフルモデルチェンジした軽クロスオーバーSUV市場の王者、スズキ ハスラーは7月に8831台、8月に6384台、9月に7757台を届出。タフト登場の影響で台数減になるかと思われたが、デビューから半年以上経過した現在も堅調に推移している。ダイハツ タフトは、台数でスズキ ハスラーに勝つまでは至っていないものの、かなり肉薄している。販売が好調な理由は次のように考えられる。

ダイハツユーザーの代替え需要を的確にカバーしたタフト
1. DNGAによる高い車両性能
2. スカイフィールドトップによる開放感と、タフでスクエアなデザイン
3. タフト以前の多くのダイハツ車の受け皿になっている

まずは1について。DNGAはダイハツ流TNGAのこと。TNGAは自社車両の部品を共通化することでコストを減らしつつ、部品の品質を向上させてより良いクルマを作ろうというトヨタ流自動車製造の方針のこと。そのレクサス版がLNGAであり、ダイハツ版がDNGAというわけだ。タフトはDNGAの第3弾で、第1弾のタントや第2弾のロッキーと多くの部品を共有している。小型車のパーツが軽自動車に使用されるのだから、品質は車格を超えるはずだ。

また、TNGA思想の下で開発されるシャシはトレッドをワイドに、重心を低くして車両の操縦安定性を高めている。DNGA採用とはいえタフトは軽自動車、トレッドのワイド化に限界がある。しかし低重心化は実現できており、1630mmと比較的低い全高との相乗効果で、安定感のある走りを見せる。軽自動車枠を超えた高品質と走りの良さが、好調なセールスにつながっているようだ。

2について。スカイフィールドトップが実に良い。フロントシートの頭上にあるサンシェードを開くと、前方を向いていてもスカイフィールドトップからの景色が自然と視界に入り、開放感を感じ、まるでフロントガラスがルーフまで伸びているかのように感じられる。従来のクルマで得られなかった広大な前方視界を日常的に得られるのは、大きな魅力となっている。

また、曲面を巧みに取り入れた直線基調のスクエアでボクシーなデザインや、存在感のある黒色の前後フェンダーがSUV感を演出し、タフさやワイルドな印象も醸し出す。タフトとは異なる可愛らしいデザインを持つスズキ ハスラーとの差別化も、図られているように感じる。スカイフィールドトップも含めたデザイン性はダイハツのソリューションであり、販売台数増加の一因となっていると思われる。

3について、ダイハツ タフトの商品企画は実に良く練られていると思う。というのは多くのダイハツ車の受け皿になっているからだ。直線でスクエアなボクシーデザインは、1999年にデビューしたネイキッドに通じる。ネイキッドは車名どおり裸の車で、普通なら隠すはずの鋼板のプレス跡、ドアヒンジ、ネジまでも丸裸だった。ダイハツ東京販売によれば、ネイキッドのデザインに好感を感じつつも購入に至らなかった方たちが、タフトのデザインに好感を持ち購入に至ったケースがあるという。

また軽クロスオーバーSUVという観点で見ると、2020年3月に終売となったキャスト アクティバの後継車種としてタフトを投入したと考えられる。キャストは2015年に発売された車種で、デビューから5年目の2020年は2度目の車検の時期にあたり、まさに代替需要期だ。タフトは、キャスト アクティバユーザーの代替需要を見込んだ車種でもあり、その計算どおりに売れている。

ダイハツ タフトに搭載される次世代スマートアシストも販売増にひと役買っている。3年半ぶりにステレオカメラを一新したもので、従来より前方視界の認識能力が向上して夜間の歩行者検知も可能となった。認識能力の向上に合わせた制動制御のプログラミングも改良されているはずで、安全性の向上が図られている。この最新システムを搭載した軽自動車はタフトとタントだけで、これが購入の決め手になるケースもあるという。

最後に、軽自動車のモデルサイクルの長さもひとつの要因として挙げられるのではないだろうか。タフトのライバルともなり得る軽トールワゴン市場は、ワゴンRやムーヴなど多くの競合車が存在する。しかし、そのいくつかはモデルチェンジから年月が経過したモデルもあり、市場活況の妨げになっているとも言われてる。そんな情勢下で新発売となったダイハツ タフトが話題を集め、受注が集中するのも道理というものだ。(文:猪俣義久)

[ アルバム : ダイハツタフトの販売好調 はオリジナルサイトでご覧ください ]

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
VAGUE
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
motorsport.com 日本版
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース

みんなのコメント

97件
  • ずっと色々な所から出てる記事を読んでますが。
    「ハスラー、やはりライバルではなかった」

    「ライバルは言うまでもなく、スズキ ハスラーだ」

    「ハスラーとは違った!ダイハツ「タフト」はイマドキ遊びグルマの最右翼」

    本当にブレてますよね。
    この車と同様にブレてるし中途半端な車だと心底思います。

  • 新古車市場に大量の車体が流れてますね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

132.0180.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

86.0379.0万円

中古車を検索
タフトの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

132.0180.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

86.0379.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村