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専用サスを採用 フォード・フィエスタSTパフォーマンス・エディションに試乗

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専用サスを採用 フォード・フィエスタSTパフォーマンス・エディションに試乗

600台限定で選べる専用サスペンション

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)フォードの素晴らしいホットハッチ、フィエスタSTに限定生産のSTパフォーマンス・エディションが登場した。パワーアップは果たしていないが、サスペンションはチューニングを受け、ボディは鮮やかなオレンジ色で塗られている。

【画像】フィエスタSTとライバル ポロGTI 全105枚

英国専用となる限定バージョンの販売台数は600台と限られており、ベースとなったのはフィエスタST-3と呼ばれるグレード。だがパフォーマンス・パッケージ自体は、標準のフィエスタSTにも選択ができるオプションとして用意もされる。リミテッド・スリップデフを装備できることになり、このパッケージの見逃せないポイントだ。

限定生産となるパフォーマンス・エディションの方は、ST-3にパフォーマンス・パッケージを装備したうえに、7kgも軽量化したという、鋳造ながら圧力成形されたフローフォーミング加工の18インチ・アルミホイールを装着。オレンジ色のボディが標準設定される。加えて最も重要な変更点が、スタンダードのサスペンションにかわって、調整式のコイルオーバー・サスペンションが付いてくること。車高も下がって、フロントで10mm、リアで15mm低く構える。

一方でパワートレインには手がつけられていない。1.5Lの3気筒ガソリンターボ・エンジンは199psを発生し、6速マニュアルを介して前輪を駆動する。ATの設定はない。価格は通常のフィエスタST-3にパフォーマンス・パックが装備された価格より、さらに3120ポンド(40万円)が上乗せとなり、2万6495ポンド(344万円)となる。

フィエスタ固有のバランスとアジリティ

フォード・フィエスタは、2万2000ポンド(286万円)の素のSTであっても素晴らしいから、価格の上昇は結構大きく感じられるかもしれない。だが、新しいサスペンションはまったくの別物。フォードによれば、聞き飽きた感のあるニュルブルクリンクを舞台に開発したとのことだが、英国バーミンガムの郊外の道でも標準サスペンション以上に良好なマッチングを披露した。

フィエスタSTに不満をいうドライバーは少ないと思うが、唯一挙げるのならば、快適性が今ひとつなところだろう。しかし、パフォーマンス・エディションに採用されたサスペンションは、引き締まっていながらも、快適性も増しているのだ。

縮み側で12段階、伸び側で16段階に減衰力の設定が可能で、試乗車は中間あたりの設定だったそうだが、ボディコントロール性は秀抜。乗り心地は硬いものの、度が過ぎることもなく、フォードらしく非常に良くマネージメントできている。

前回フィエスタSTを試乗してからだいぶ間が空くから明言はできないが、ステアリングの質感も向上しているように感じた。レスボンスが良くなり、クイックで正確性も増している。また、LSDがロックした時の牽引力も鋭く、ステアリングにも感触が伝わってくる。初代フォーカスRSのように、ステアリングホイールを握る手を引っ張るほどではないにしろ、フロントタイヤが路面をかきむしる様子を想起させる。

試乗した日は路面がかなり濡れており、通常よりもアンダーステアやホイールスリップも多く発生していた。乾燥状態ほどにタイヤが路面をうまく掴めていなかったことで、ステアリングに伝わるものも大きかったのだろう。しかし、フィエスタが本来備えたバランスとアジリティの高さは、充分に味わえたと思う。

最良のA・Bセグメント・ホットハッチ

フォード車全般、フォード・パフォーマンスが手を加えたクルマは特に、旋回させていくと、まるでシフトノブを中心にしたかのように向きを変える印象がある。クルマの中心を軸に、機敏に反応するのだ。条件さえ整えば、スロットルオフで鋭くタックインし、内側のリアタイヤが軽く浮き上がる。フロントタイヤだけでなく、リアタイヤも一緒にコーナリングを助けているような感覚が得られる。路面が濡れていると、その真価を味わうことができないが、その片鱗を垣間見ることはできた。

それ以外の部分は、通常のフィエスタST通りに良い。組み立ての質感も高くエンジンも洗練され、トランスミッションやペダルのタッチも正解。わたしが今まで運転した中で、最良のA・Bセグメントに属するホットハッチだ。

フォード・フィエスタSTはグレードやパッケージの装備に関係なく、われわれの大のお気に入りのホットハッチであることには変わらない。ここに価格が上乗せされてくると、価格対価値では低くなってしまうという見方もできる。

専用のボディカラーにホイールを装備しており、限定生産グレードだから、手に入れる価値は充分にある。しかし安くない上乗せ価格を見てしまうと、充分に素晴らしい標準のSTでも満足感は高いと思うし、パッケージぶんの予算で、アフターマーケット・パーツを選び、自分好みにカスタムするという遊び方もできるだろう。

だが、パフォーマンス・エディションが最高のスモール・ホットハッチの良さを奪っていないことは間違いない。むしろ、フォード・フィエスタSTが一層良くなっているのだから悩ましい。

フォード・フィエスタSTパフォーマンス・エディションのスペック

価格:2万6495ポンド(344万円)
全長:4040mm
全幅:1735mm
全高:1476mm
最高速度:231km/h
0-100km/h加速:6.5秒
燃費:14.3km/L
CO2排出量:136g/km
乾燥重量:1262kg
パワートレイン:直列3気筒1498ccターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:199ps/6000rpm
最大トルク:29.5kg-m/1450rpm
ギアボックス:6速マニュアル

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