自動車部品メーカーや商社、整備業者、経営コンサルタント、情報サービスなど、クルマのアフターマーケットビジネスに関わるさまざまな企業が出展し、自社製品のプロモーションを行う展示会が国際オートアフターマーケット EXPO 2022(IAAE)。
前編に続き、後編では自動車メーカーが取り組み始めた、純正補修部品の復刻生産をピックアップ。IAAE2022ではトヨタ自動車が「GRヘリテージパーツ」、本田技研工業がビートとアクティトラックの復刻純正部品を展示した。
クルマ好きが注目するアフターパーツ目白押し!国際オートアフターマーケットEXPO 2022【前編】
■本田技研工業「アクティトラック/ビート再販売部品」
アクティトラックは約57万台(内、型式HA3、4、5は約12万8000台)、ビートは約1万7000台。いずれも2021年12月現在の国内残存台数だ。
アクティトラックはMR(ミッドシップエンジン・リヤドライブ)の軽トラック。2021年4月に惜しまれつつ生産を終えた後も、全高の低さやトラクション性能の高さなど、MR方式のメリットが発揮される山間部の農家などで愛用されている。「これまで再販売部品の情報はホンダカーズ向けに発信していましたが、アクティトラックなどの商用車は、お客様と付き合いのある整備業者や、いつも利用しているガソリンスタンドに整備を依頼することが多く、今回業界向けのイベントであるIAAEに出展しました」と語る、本田技研工業 日本本部 部品事業部 部品販売企画課 グループリーダー 主任の神田陽平さん。
ビートもアクティトラックと同じMRで、E07系列のエンジンを搭載するオープン2シーター。かつてホンダアクセスがビート発売20周年を記念して、スカイサウンドコンポやスカイサウンドスピーカーといった純正アクセサリーを復刻販売したが、走る・曲がる・止るに関わる一部のホンダ純正部品の生産を2017年から再開。再販部品の一覧はホームページで確認できる。
https://www.honda.co.jp/BEATparts/
これまでビート用は90点を再販し、15点が完売。
ちなみに再販部品の出荷数ランキングベスト3は、
■ビート
1:クラッチレリーズフォーク スプリング
2:ライセンスライト レンズ
3:タイミングベルト テンショナーボルト
■アクティトラック
1:スロットルワイヤー
2:バルブロッカーアームスプリング
3:ラジエター クーリングファンモーター
再販部品の選考基準を神田さんに尋ねると「少しでも長く乗り続けてもらうために『走る、曲がる、止まる』に関わる機能部品が中心です。部品を供給していただくサプライヤーさんの協力が不可欠なので、当時の金型や生産体制の維持をお願いしています」とのこと。
ビートはオープンカーなので、紫外線にさらされ劣化しやすいダッシュボードなど大物樹脂部品のリクエストが多いそうだが、これらの金型を新規に起こして作り直すとなると膨大なコストが掛かり、ユーザーが気軽に手を出せる価格ではなくなってしまうという。まずはビートとアクティトラックの反響を見ながら、他車種への展開も検討するという。
販売終了後に製造廃止になる部品が多いなか、根強いファンが多いS2000はサプライヤーに供給延長を依頼して、部品の確保に努めている。1999年式のAP1を長く乗り続けるつもりでいる筆者としてはうれしい限りだ。
https://www.honda.co.jp/S2000parts/
■トヨタ自動車「GRヘリテージパーツ」
2019年5月のA90スープラの記者発表会でアナウンスされたのが、トヨタ自動車が旧型車両の部品復刻・再生産に取り組む「GRヘリテージパーツプロジェクト」。その全容が明らかになったのが2020年の東京オートサロン。第一弾としてA70とA80スープラの補給部品を復刻し、国内と海外(北米、欧州など)向けに再販売。第二弾は名車の誉れ高いトヨタ2000GT、第三弾はランドクルーザー生誕70周年に合わせてランドクルーザー40、第五弾はハチロクの愛称で親しまれるAE86カローラレビン/スプリンタートレノが加わった。
GRヘリテージパーツプロジェクトは「思い出の詰まった愛車に乗り続けたい」というユーザーの想いに応えるべく、すでに廃盤になってしまった補給部品を復刻し、純正部品として再販売する取り組み。プロジェクトの対象車種はいずれもブランドが長年継続しているクルマ。ニューモデルも大事だが、そのブランドのルーツとなる車種も手厚くフォローしていくというトヨタの方針だ。
ホームページの「復刻リクエストフォーム」https://www.toyota.co.jp/cmpnform/pub/co/grheritage_jp
なども参考にして復刻部品を選定している。リクエストが多いのはダッシュボードやトリムなどの大物樹脂パーツや外装パーツなど。「まずはお客様に長く乗っていただきたいので、車検を通すのに不可欠な『走る、曲がる、止まる』の機能部品を優先しています」と語る、トヨタ自動車 GAZOO Racing Company GR車両開発部 モノづくり推進室 主幹の纐纈正樹(こうけつ・まさき)さん。「インパネなどは「型の博物館」みたいなもので、カタチもサイズもさまざまな部品を新規に金型から再生産して、生産設備を整えて…とやっていくと、かなりハードルは高いです」と纐纈さん。見栄えを美しくしたいというユーザー心理もじゅうぶんに理解できるが、まずは保安基準を満たし、愛車を末永く動体保存するために必要な部品を優先していく。
ところで、GRヘリテージパーツに使われている素材や技術は経年分の進化を遂げているのだろうか。纐纈さんに聞いてみると、「基本的には当時のままです。オリジナルに近いものにしておかないと、車両全体のバランスが崩れてしまうからです。ただし、トヨタ2000GTのギヤなどは当時の造りのままだとノイズが出てしまうので、復刻に合わせて現代の技術でギヤの歯面の精度を高めています。いっぽうで、当時の材料が入手できなかったり、鉛のような環境負荷物質だと使えなかったりすることもあります。
例えばウエザーストリップ。材料を替えちゃうと弾力が出ないんですよ。そもそも元の型も残っていないので新規に作り直すのですが、その場合は現代の材料で目標性能を出せるように形状などもアレンジしています」。
IAAEに出展した目的は、旧車を得意とする整備業者やプロショップにGRヘリテージパーツの存在を知ってもらうのと、旧車部品の復刻再生産に協力してもらえるサプライヤーを募るため。ちなみにGRヘリテージパーツには、当時の部品を復刻再生産した「復刻部品」と、現在供給中の部品が当時の部品と互換性があることが確認されたため、当時の部品を代替した「代替部品」の2種類がある。それぞれトヨタ販売店、GRガレージ、ジェームス、TOYOTA GAZOO Racing楽天市場店で購入できる。
<文と写真=湯目由明>
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
「ノーマルタイヤで立ち往生」に国交省ブチギレ!?「行政処分の対象です」2年連続で大量発生…「スタックの7割が夏用タイヤ」今年も緊急警告
トラックの頭と積荷が載ったトレーラーの知られざる接続部! 最後のロックはあえて「手動」にしていた
まるで「“ミニ”フェアレディZ」!? 全長4.1mの日産「コンパクトクーペ」が斬新すぎる! 短命に終わった「NXクーペ」とは?
スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
金型と図面全て中華企業に横流ししてしまえば、安価な複製パーツが出回るのは確か