日本でJEEPの販売が好調だ。この原稿を書いている時点では2020年11月の販売台数データは公表されていないため、1~10月となるが、その累計販売台数は1万975台を販売。
コロナ禍により人気のドイツメーカーのメルセデスベンツが前年比85.4%、VWが同80.2%、BMWが同72.6%、アウディが91.0%となっているなか、JEEPは同97.8%をマークしていることからも日本での人気が伺える。
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JEEPといえばラングラーがイメージリーダーで、販売のメインとなっている。それに対してレネゲードは、ジープのエントリーモデルという位置付けだ。
そのレネゲードにプラグインハイブリッドのレネゲード4×e(フォー・バイ・イー)が追加され日本でも販売が開始された。JEEP初の電動化モデルの実力は?
文/松田秀士、写真/FCA
【画像ギャラリー】日本導入開始はいつ? 大人気のラングラーのプラグインハイブリッド4×eの秘蔵写真を大公開!!
レネゲードはJEEPのエントリーモデル
レネゲードはジープブランドのエントリーモデルという位置付けということもあり軽く見られがちだが、4WD性能は非常に高い
JEEPはラングラー、グランドチェロキー、チェロキー、コンパス、レネゲードの5モデルを日本で販売するSUVに特化したアメリカのメーカーで、どれもが個性派揃い。
本格オフローダーのラングラー、スポーツカー顔負けの加速性能を誇るグランドチェロキートラックホークなどの陰に隠れてエントリーモデルのレネゲードは見過ごされがちだが、非常にいいクルマに仕上げられている。
オンロード、雪上、氷上で試乗した時に感じたのは、その4WD性能、特にオフロード性能はすばらしく、悪路、低μ路での走破性がすこぶる高い。
デザインは好みがわかれるところだろうが、JEEP伝統のセブンスロットグリルに丸目を組み合わせたもので、ひと目でJEEPのモデルとわかるアイデンティティが与えられている。デザインそのもの優劣は置いておくが、意外と言っては失礼だが質感が高い。
電動化モデルの日本導入第1弾としてレネゲード4×eが2020年10月に発表され、2020年11月28日から販売を開始した
モーターだけで最大48km走行可能
レネゲード4×eはJEEP初の電動化モデルで、オリジナルのプラグインハイブリッドとして登場した。
まずそのシステムだが、1.3L、直4DOHCターボエンジンにフロントとリアにそれぞれ1基ずつ合計2基のモーターを組み合わせ、リチウムイオンバッテリーを搭載している。
特別目を奪うようなデザインではないが、レネゲードの計器類などは視認性もよく使い勝手にも優れている。JEEPの伝統もうまく盛り込んでいる
なおトランスミッションは6ATとなっている。
4WDは一般的な前後が繋がったものではなく、モーターゆえにリアが独立していて、状況に応じて後輪を駆動する。
このリアモーターは駆動だけでなく回生も行う。レネゲード4×eの回生ブレーキは主にこのリアモーターが受け持っている。
それに対し、フロントモーターはいわゆる欧州で流行りの48Vマイルドハイブリッド様の方式。
これはレネゲードがフィアット500Xとプラットフォームを供用しているためで、フィアット社のハイブリッドシステムを供用していることに起因する。
フロントモーターはエンジンのアシスト等や発電に使われるが、前輪は主にエンジンでのみ駆動する。
走行モードは、ハイブリッドモード、EVモード、バッテリーをセーブするE-SAVEモードの3つある。
ハイブリッドモードは4WD、EVモードはリアモーターによるFRとなるのだが、エンジンとモーターが作動するハイブリッドモードではリアモーターのみで走るケースが多く、積極的にモーター走行を使い燃費を稼いでいる。エンジン+モーターとなるハイブリッドモードでの違和感はなかった。
ハイブリッドモードはエンジンで駆動する前輪+リアモーターがアシストする4WDのほか、エンジンがストップすればFRとなる。エンジンとモーターが作動するハイブリッドモードは非常にスムーズで違和感はない。
いっぽうEVモードはモーターのみのFRとなり、最大で48km走行でき、最高速は130km/h(カタログデータ)となっている。
3つのうちの最後、E-SAVEモードは、バッテリー温存のために積極的にエンジンを使うモードとなっている。
EVモードではレネゲードが音もなく走っていることに不思議な感覚を覚える。もちろん静粛性はすばらしい。
レネゲード4×eはバッテリーの充電は200Vのみで、急速充電器には対応していない。これはトヨタRAV4 PHVと同じ。プラグインハイブリッドは、ガソリンさえ入っていれば走れるので、気にすることではないと思う。
レネゲード4×eは急速充電には対応していない。バッテリーの充電は200Vのみとなっているが、充電しなくてもガソリンがあれば走ることができる
パワフルなリアモーターにJEEPのこだわりを感じた
日本車のハイブリッドの4WDもリアに独立したモーターを搭載し、駆動するが、いかんせんリアが弱い(パワーがない)。これはバッテリー容量が小さいことに起因する。
それに対しプラグインハイブリッド化することでバッテリー容量が大きくできるので、リアのモーターのパワーアップが可能になる。
実際にレネゲード4×eのリアモーターは、定格出力が60ps(最高出力128ps)、250Nmとかなりパワフル。
ちなみにRAV4 PHVのリアモーターは54psということからも、レネゲード4×eのリアモーターがパワフルなことがわかると思う。
このリアモーターがパワフル、トルクフルというのが注目ポイントで、今回は街中での試乗のみで、オフロードは試せなかったが、リアモーターのスペックを見ただけで、オフロードを走っても楽しいだろうな、と想像できる。
というのも、オフロード走行にパワフルなリアモーターは必須で、電動化しながらもオフロード走行にこだわるジープの「4WDはお家芸だ」という矜持を感じる。
独立したリアモーターは最高出力が128psと普通のハイブリッドでは不可能なほどパワフル。プラグインだからこそ実現できた
約300kgの重量増の走りへの影響
では、走ってどうだったのか?
まず車に乗り込んで感じるのが、Aピラーが立っているので圧迫感がないのがいい。そしてジープの中ではコンパクトだから取り扱いやすい。これは4×eに限らず、ガソリンモデルにも共通する魅力だ。
レネゲード4×eはガソリンエンジンモデルに比べて約300kg重量増となっているが、パワフルなモーターとの組み合わせで動力性のに不満はない
レネゲードのガソリンエンジン搭載モデルはキビキビした走りが魅力だが、4×eはプラグイン化により車重は1790~1860kgとなり、これはガソリンモデルに比べて約300kgも重くなっている。これは走りへの影響は無視できない。
走ると確かに重さは感じるが、プラグイン化によりバッテリーを低い位置に搭載しているため低重心化されていることもあり、4×eはキビキビというよりも、ドッシリとした感じの走り味だ。あとサスはガソリンよりも硬いかなと感じる。
4×eはリミテッドとトレイルホークにそれぞれ設定されていて、システム出力はリミテッドが191ps、トレイルホークが239psとなっている。ベースのガソリン車がそれぞれ151ps、179psに対して大幅にパワーアップしているため、加速性能などに対する車重増は気にならない。
なお、トレイルホークには走行モードにROCK(岩場)モードが追加されている。(リミテッドにはない)
レネゲードはもともとうるさいクルマではないが、4×eの静粛性はクラスアップしたような上質感がある。
トラクションをコントロールするセレクテレインシステムは5つのモードを自在に切り替えられる。上級のトレイルホークはよりハードな走りができるROCKモードが追加される
インターフェイスにJEEPの心配りを感じる
レネゲード4×eのセンターディスプレイは、レスポンスに優れていて、タッチするだけで緻密な情報が表示されるのでとても便利
今回の4×eを試乗してすばらしいと感じたのはインターフェイス面で、センターディスプレイ、ナビのレスポンスがよく、触っただけですぐに情報が得られるのがいい。この手の操作の時に時間がかかると運転していてストレスになるから助かる。
そのレスポンス抜群のセンターディスプレイは、パネルを触るだけで細かな情報を表示することができる。
通常、プラグインのバッテリーの回生などは、矢印が出たりするだけだが、4×eは具体的な数値などが表示されるなどいい仕事をしている。
ジープの武骨なイメージとは裏腹に、乗り手に対する気配りが行き届いていることに好感を持った。
レネゲード4×eは重いバッテリーが低い地に搭載されているので重心が低く、それにより乗り味もどっしり感がある
ラングラー4×eも日本導入か!?
JEEPの本国アメリカではラングラールビコンに4×eが設定されている。昔ながらの武骨さを残しているJEEPにも電動化の時代が到来!!
世界中の自動車メーカーが電動化に舵を切るなか、JEEPもプラグインハイブリッドの日本導入の第1弾としてレネゲード4×eを登場させた。
JEEPは本国では、ラングラー、コンパスにも4×eを設定しているというので、日本への導入もそう遠くないうちに実現するかもしれない。
それにしても昔ながらの武骨さを残しているJEEPが電動化モデルを登場させた、ということに時代の流れを感じずにはいられない。
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みんなのコメント
このクラスで500万円だろう。
日本ではいくらになると?
日本でヒットするような車ではないね。