■新車販売台数ランキングの「落とし穴」とは?
金額が大きいだけでなく、数年にわたって使用するものでもあるため、クルマの購入前にはさまざまな角度から検討するのが一般的です。
そうしたなかで、クルマを購入する際に、参考にされることが多いのが新車販売台数ランキングです。
しかし、このランキングに掲載されているクルマが、本当に良いクルマだといえるのでしょうか。
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新車販売台数ランキングは、自動車販売協会連合会(自販連)や全国軽自動車協会連合会(全軽自協)、日本自動車輸入組合(JAIA)が毎月発表する統計データをもとにすることが一般的です。
それによると、2020年度にもっとも売れたクルマはトヨタ「ヤリス」で、1年間に20万2652台を販売しています。
ちなみに、ライバルとして比較されることの多いホンダ「フィット」の年間販売台数は9万4311台で全体の6位です。
しかし、仮に200万円前後でコンパクトカーを探していた場合、このランキングにしたがってヤリスを選ぶことが正解なのでしょうか。あるいは、販売台数の分だけ、ヤリスはフィットより優れているのでしょうか。
誤解のないように付け加えておくと、ここではヤリスとフィットのどちらが優れているかを論じたいわけではありません。あくまで、ランキングだけを見て、クルマの購入判断をすることの「落とし穴」を説明するための例です。
さて、ここでいう「落とし穴」とは、ヤリスの販売台数には「ヤリスクロス」や「GRヤリス」も含まれていることです。つまり、ランキング上は、3モデルをまとめて「ヤリスファミリー」となっているのです。
とはいえ、ヤリスを求めて販売店へ行ったところ、ヤリスクロスやGRヤリスが登場したら、ユーザーの多くは「思っていたのと違う」と感じることでしょう。
ヤリスのみに限定した販売台数は13万台程度とされており、およそ7万台がヤリスクロスやGRヤリスであることがわかります。
一方、フィットには派生モデルは含まれていないため、9万4311台がユーザーの感じる実勢と近いといえるでしょう。
今回はヤリスを例に出しましたが、派生モデルを統合して集計するということは、以前から一般的におこなわれています。
一方、あまり例は多くありませんが、トヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」のように、構造上は共通していても、あえて別のモデルとして集計されている例もあります。
このように、ユーザーが感じる「車種」と、ランキング上の「車種」は微妙に異なる場合もあるので注意が必要です。
さらにいえば、モデルチェンジがおこなわれたモデルは数字が急激に伸びる傾向があり、反対にモデルチェンジを控えたものは数字が落ち込む傾向があります。同様に、販売店の数も販売台数に直結します。
また、高価格帯のクルマや、スポーツカーのようなそもそも大多数をターゲットとしていないクルマは、販売台数が稼げないため、こうしたランキングには登場しません。
つまり、新車販売台数ランキングはあくまでも目安と考えたほうがよいといえます。
一方で、よほどクルマに詳しい人でない限り、絶対的な判断基準を持っていないのがふつうであり、なかには新車販売台数ランキングを頼りにする人もいると考えられます。
多くの場合、クルマ選びの第一の制約条件となるのは予算ですが、残価設定ローンなどを活用すれば月々の支払いを圧縮することができるため、ワンランク上のクルマを所有することも可能です。
そこに加えて、中古車も視野に入れれば、まさに無数の選択肢が登場することになります「クルマを選ぶ時間もひとつの楽しみ」という愛好家以外は、悩ましい思いをすることになるでしょう。
■「いいクルマ」はどうやって選ぶ?
自動車関連の仕事をしている筆者のもとには、悩ましい思いをしている友人や知人から、クルマの購入について相談を受けることがあります。
基本的に、筆者が答えるのは「フィーリングで選べば良い」ということをまず伝えます。
筆者に相談をする時点で、予算やボディタイプなどはある程度の方向性が固まっていることがほとんどで、あとはいくつかの競合のなかから実際に購入する1台を決めるということが多いからです。
現在販売されている新車は、「走る・曲がる・止まる」といった基本性能は必要十分であり、むしろよほどのプロでない限り、その優劣を判断するのが難しいほどです。
そのため、実際に見たデザインの感覚や、ハンドルを握った際の感覚、そして試乗をした感覚で一番しっくりきたものを選べば、大きな間違いはないと思うのです(もちろん、「自分の責任で選ぶべき」という思いもあります)。
また、「ハードウェアにはあまりこだわりすぎないほうがいい」ということを伝えることもあります。
インターネット上には「ライバル比較」という名で、競合車を比較するような記事があふれています。
それだけ人々の関心が高いということだと思いますが、そうした記事の多くは、全長×全幅×全高、あるいは室内幅や室内高といった寸法や燃費、機能といったカタログ情報の比較に終始しています。
ただ、比較対象となる競合車であれば、そうしたスペックに大きな差は出にくいものです。誤解を恐れずいえば、ラゲッジスペースが2-3cm広いからといってなんになるのでしょうか。
もちろん、特定の目的があれば、ラゲッジスペースのわずかな違いを決め手にすることも良いでしょう。しかし、そうした場合を除いて、ハードウェアのスペックを決め手にすることを筆者はすすめません。
シートベルトやエアバッグが付いていないクルマというなら話は別ですが、新車であれば、そういったレベルの差はどのクルマでもないのですから。
筆者がより踏み込んだアドバイスをするケースは、「そのクルマに乗っていることでどのように見られるか」という点について聞かれた場合です。
例えば、「人とかぶるのはあまり好きじゃない」という相談を受けることは少なくありません。これは「違いのわかる人間として見られたい」という願望を往々にして含んでいると思われます。
しかし、だからといって、マニアックな輸入車や旧車などをすすめることはまずありません。あくまでも「(普通のクルマのなかで)人とかぶるのはあまり好きじゃない」という意味であることがほとんどだからです。
人とかぶらないことを優先した結果、単なる不人気車を選んでも仕方ありません。そうした相談者に対して、筆者がすすめるのは「ボディカラー」での差別化です。
売れ筋のクルマでも、白や黒、シルバー以外の色を選べば多くの場合「一味違った」感じになるものです。
また、「良いクルマがほしいが、悪目立ちしたくない」や「品のあるように見られたい」といった相談を受けることもあります。
時代錯誤といわれるかもしれませんが、やはりクルマによってその人の趣味嗜好やキャラクターを判断されることが多いのも事実です。
こうしたニーズを満たすためには、クルマ視点で選ぶのではなく、相談者の内面を見てアドバイスをしなければなりません。
つまり「いいクルマ」の定義は、クルマ側だけで決められるものなのではなく、実際に所有し、使用する人との関係のなかで決められるものだと、筆者は考えるのです。
※ ※ ※
市場の動向を表しているという意味では、新車販売台数ランキングは、とても有効なデータといえます。
しかし、実際にクルマを所有し、使用する人はあくまでもひとりの人間です。いろいろなデータや周囲の人の意見を参考にしつつ、実際にそのクルマに関わる人間の意思がクルマ選びにはもっとも重要であることは間違いありません。
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みんなのコメント
それがたとえ不人気車だったり、旧車だったりしてもいいじゃない。