マツダのコンパクトセダン「マツダ3セダン」のディーゼル・モデルに小川フミオが試乗した。同クラスの日本車セダンがほとんどなくなった今、その魅力は?
瞬発力のあるディーゼル
日本の自動車メーカーのなかでもマツダが“エラいなぁ”と、思うのは、セダンをあきらめていない点だ。とくにコンパクトサイズは、トヨタや日産、そしてホンダも(日本市場では)力を入れていないなか、マツダは最新のマツダ3セダンをラインナップする。全長4.6mと日本に適したサイズで、見た目もけっこうスポーティ。かつ、リッター20kmちかい好燃費が特徴のディーゼル・エンジンモデルも選べる。
今回、改良されてさらに使い勝手がよくなったディーゼルモデルに乗った。加速性が向上し、魅力が増しているのだ。
マツダ3には、5ドアハッチバックの「ファストバック」とセダン、ふたつのボディ形状が用意されている。多く売れているのは、ファストバックのほうというものの、セダンにも魅力が多い。流麗なスタイル、ドア開口部が(前席中心というスタイルを重んじた)ファストバックより広く、より使い勝手がいい後席、乗り心地の快適性により優れる、といったぐあいだ。
マツダ3は、ボディバリエーションにかぎらず、エンジン・ラインナップも豊富だ。ガソリンは1.5リッターと、ふたつの2.0リッター(SKYACTIV Gとe-SKYACTIV X)の機種があり、これにくわえて1.8リッターディーゼルもある。今回は市場での人気が高いというディーゼル搭載車に試乗した。ナチュラルなエンジンフィールを持ち、気持ちよいドライブが楽しめるモデルだ。
「スカイアクティブD」なる1756cc直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、2020年11月の改良によってエンジン制御が新しくなり、最高出力が85kW(116ps)から95kW(130ps)にアップした。最大トルクは270Nmで不変である。これはマツダ「CX-30」に先に採用されたエンジンで、開発担当者によれば、「より広いエンジン回転領域で力強さが味わえるように」改良されたものである。
「(アクセルペダルを)踏みはじめた瞬間から遅れることなく力が出るようにしました」と、開発を総指揮したマツダの谷本智弘主査は述べる。1600rpmから最大トルクを発生する設定だけあって、たしかに、瞬発力がある。
信号待ちなどのアイドリング時には、カラカラっといういわゆるノック音が(大きくないけれど)聞こえてくる。ディーゼル車に乗っているんだなぁと、意識。でも走りだすと、ほかのノイズとうまく”ひとかたまり”になり、音も振動もまったく気にならなくなる。しかもエンジン自体がスムーズにまわるので、”燃費の代償として騒音をガマンした”などと思うことはない。
サスペンション・システムも改良
従来のスカイアクティブDでもあまり不満はなかったものの、バック・トゥ・バック(すぐ乗り換え)で較べてみると、エンジン回転数にして1500rpmから2500rpmあたりの実用域でのトルク感があきらかに違っている。
従来型は2000rpmあたりから最大トルクが引き出されていくかんじであるのに対し、改良されたディーゼルエンジン車では、1800rpmぐらいから力がたっぷりでる、いわゆる“トルクバンド”が始まっている。
「従来は加速時、2000rpmより上のエンジン回転域を使っていたのに対し、今回はそれより低い回転域でおなじような力が得られます。だからドライバーじしんがそう意識しなくても”1800rpmでじゅうぶん”と、判断してアクセルペダルの踏みこみ量を減らしているのです」
マツダでディーゼルエンジン開発を担当したスペシャリストの小野泰司氏はそう指摘した。
サスペンション・システムも、変更個所がいくつもある。前後ダンパーの減衰力を調整し、かつフロントスプリングと、やはりフロントのバンプストップ(縮んだスプリングが車体と直接ぶつからないための緩衝材)を変更している。足まわりをファイン(細かく)チューニングし、乗り心地の快適性をめざしたそうだ。
歴代マツダ・セダンにも似た魅力
試乗車はレザーでなくクロスのシート地だった。それもおおきく評価したい。やわらかくたわんでたいへん気持ちがいいのだ。
そのシートに身をまかせて、手に吸いつくような感触のレザー巻きステアリング・ホイールを握っていると、マツダ3セダンの上質ぶりが味わえる。内装の質感とデザインの統一性も、日本車ではいまもピカイチだ。 “小さな高級車”とも言うべき仕上がりである。
そういえばマツダは昔から“小さな高級セダン”を手がけてきた。なかでもユーノス「500」は、流麗なエクステリア・デザインが世界中で高く評価された。
今見ても、20年以上前に登場したクルマとは思えぬほど、スタイリッシュである。もしかすると今のマツダ3セダンにも、このデザインは活かされているのかもしれない。
細かい改良点はほかにもある。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の作動速度を高速域まで引き上げたほか、加減速制御を「人間特性に合わせてなめらかにしました」と、うたう。
マツダは、「FFファミリア」に代表されるハッチバック、歴代「コスモ」のようなスペシャルティ、「ロードスター」やロータリーエンジン搭載の「RX-7」といったスポーツカーなど、数おおくの印象に残るモデルをつくってきた。
セダンでは「カペラ」にはじまり、1990年代には、ミラーサイクルエンジン搭載のユーノス「800」(のちのマツダ・ミレーニア)や2.0リッターV型6気筒エンジン搭載の「クロノス」、それに可変慣性吸気システムと可変排気システムを備えたフラグシップの「センティア」、そして前述のユーノス「500」など、意欲的なモデルを多く発表してきたのも、マツダの特徴だ。
今回のファインチューンされたディーゼルもさることながら、凝ったメカニズムを持つスカイアクティブXエンジンを載せるなどして意欲的な取り組みがふんだんに見られるマツダ3セダンは、マツダによるセダンの系譜を思い出させるものである。歴代モデルを彷彿とさせる魅力もあるのだ。
文・小川フミオ 写真・田村翔
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みんなのコメント
でも地元近辺にディーラーがないから、購入はないです。