現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 小さな高級車だ──新型マツダ3セダン試乗記

ここから本文です

小さな高級車だ──新型マツダ3セダン試乗記

掲載 更新 44
小さな高級車だ──新型マツダ3セダン試乗記

マツダのコンパクトセダン「マツダ3セダン」のディーゼル・モデルに小川フミオが試乗した。同クラスの日本車セダンがほとんどなくなった今、その魅力は?

瞬発力のあるディーゼル

史上最強のM5とは? 新型M5CSデビュー!

日本の自動車メーカーのなかでもマツダが“エラいなぁ”と、思うのは、セダンをあきらめていない点だ。とくにコンパクトサイズは、トヨタや日産、そしてホンダも(日本市場では)力を入れていないなか、マツダは最新のマツダ3セダンをラインナップする。全長4.6mと日本に適したサイズで、見た目もけっこうスポーティ。かつ、リッター20kmちかい好燃費が特徴のディーゼル・エンジンモデルも選べる。

今回、改良されてさらに使い勝手がよくなったディーゼルモデルに乗った。加速性が向上し、魅力が増しているのだ。

マツダ3には、5ドアハッチバックの「ファストバック」とセダン、ふたつのボディ形状が用意されている。多く売れているのは、ファストバックのほうというものの、セダンにも魅力が多い。流麗なスタイル、ドア開口部が(前席中心というスタイルを重んじた)ファストバックより広く、より使い勝手がいい後席、乗り心地の快適性により優れる、といったぐあいだ。

マツダ3は、ボディバリエーションにかぎらず、エンジン・ラインナップも豊富だ。ガソリンは1.5リッターと、ふたつの2.0リッター(SKYACTIV Gとe-SKYACTIV X)の機種があり、これにくわえて1.8リッターディーゼルもある。今回は市場での人気が高いというディーゼル搭載車に試乗した。ナチュラルなエンジンフィールを持ち、気持ちよいドライブが楽しめるモデルだ。

「スカイアクティブD」なる1756cc直列4気筒ディーゼルターボエンジンは、2020年11月の改良によってエンジン制御が新しくなり、最高出力が85kW(116ps)から95kW(130ps)にアップした。最大トルクは270Nmで不変である。これはマツダ「CX-30」に先に採用されたエンジンで、開発担当者によれば、「より広いエンジン回転領域で力強さが味わえるように」改良されたものである。

「(アクセルペダルを)踏みはじめた瞬間から遅れることなく力が出るようにしました」と、開発を総指揮したマツダの谷本智弘主査は述べる。1600rpmから最大トルクを発生する設定だけあって、たしかに、瞬発力がある。

信号待ちなどのアイドリング時には、カラカラっといういわゆるノック音が(大きくないけれど)聞こえてくる。ディーゼル車に乗っているんだなぁと、意識。でも走りだすと、ほかのノイズとうまく”ひとかたまり”になり、音も振動もまったく気にならなくなる。しかもエンジン自体がスムーズにまわるので、”燃費の代償として騒音をガマンした”などと思うことはない。

サスペンション・システムも改良

従来のスカイアクティブDでもあまり不満はなかったものの、バック・トゥ・バック(すぐ乗り換え)で較べてみると、エンジン回転数にして1500rpmから2500rpmあたりの実用域でのトルク感があきらかに違っている。

従来型は2000rpmあたりから最大トルクが引き出されていくかんじであるのに対し、改良されたディーゼルエンジン車では、1800rpmぐらいから力がたっぷりでる、いわゆる“トルクバンド”が始まっている。

「従来は加速時、2000rpmより上のエンジン回転域を使っていたのに対し、今回はそれより低い回転域でおなじような力が得られます。だからドライバーじしんがそう意識しなくても”1800rpmでじゅうぶん”と、判断してアクセルペダルの踏みこみ量を減らしているのです」

マツダでディーゼルエンジン開発を担当したスペシャリストの小野泰司氏はそう指摘した。

サスペンション・システムも、変更個所がいくつもある。前後ダンパーの減衰力を調整し、かつフロントスプリングと、やはりフロントのバンプストップ(縮んだスプリングが車体と直接ぶつからないための緩衝材)を変更している。足まわりをファイン(細かく)チューニングし、乗り心地の快適性をめざしたそうだ。

歴代マツダ・セダンにも似た魅力

試乗車はレザーでなくクロスのシート地だった。それもおおきく評価したい。やわらかくたわんでたいへん気持ちがいいのだ。

そのシートに身をまかせて、手に吸いつくような感触のレザー巻きステアリング・ホイールを握っていると、マツダ3セダンの上質ぶりが味わえる。内装の質感とデザインの統一性も、日本車ではいまもピカイチだ。 “小さな高級車”とも言うべき仕上がりである。

そういえばマツダは昔から“小さな高級セダン”を手がけてきた。なかでもユーノス「500」は、流麗なエクステリア・デザインが世界中で高く評価された。

今見ても、20年以上前に登場したクルマとは思えぬほど、スタイリッシュである。もしかすると今のマツダ3セダンにも、このデザインは活かされているのかもしれない。

細かい改良点はほかにもある。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)の作動速度を高速域まで引き上げたほか、加減速制御を「人間特性に合わせてなめらかにしました」と、うたう。

マツダは、「FFファミリア」に代表されるハッチバック、歴代「コスモ」のようなスペシャルティ、「ロードスター」やロータリーエンジン搭載の「RX-7」といったスポーツカーなど、数おおくの印象に残るモデルをつくってきた。

セダンでは「カペラ」にはじまり、1990年代には、ミラーサイクルエンジン搭載のユーノス「800」(のちのマツダ・ミレーニア)や2.0リッターV型6気筒エンジン搭載の「クロノス」、それに可変慣性吸気システムと可変排気システムを備えたフラグシップの「センティア」、そして前述のユーノス「500」など、意欲的なモデルを多く発表してきたのも、マツダの特徴だ。

今回のファインチューンされたディーゼルもさることながら、凝ったメカニズムを持つスカイアクティブXエンジンを載せるなどして意欲的な取り組みがふんだんに見られるマツダ3セダンは、マツダによるセダンの系譜を思い出させるものである。歴代モデルを彷彿とさせる魅力もあるのだ。

文・小川フミオ 写真・田村翔

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
トヨタ世界初!謎の「“パイ”エース」に大反響! 屋根なし&12人乗りに「成人式仕様みたい」「オトナも楽しめそう」の声! “マル秘システム”搭載の「ハイエース」がスゴイ!
くるまのニュース
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
頑張れ日産! フェアレディZの2025年モデル発表、あわせて新規注文を再開!
カー・アンド・ドライバー
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
ベストカーWeb
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
「ジャパンモビリティショー2024」に若者たちはどう感じたか? 対話と提案で「次世代モビリティ社会」を作る
ベストカーWeb
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
プライベート空間重視な人におすすめ! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
熊本「交通系ICカード廃止」はむしろ良かった? “大危機”から垣間見える「地方の選択肢」と、都心で広がる可能性とは
Merkmal
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
スズキ初ってマジか!! 新型フロンクスの新アイテム採用のヒミツが衝撃
ベストカーWeb
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
12月7日(土)京都お東さん広場(東本願寺門前広場)で「京都モビリティ会議」開催(入場無料)
ベストカーWeb
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ルーミー/トール受注再開! 現行は2027年まで販売ってどうよ!? 3年も生き延びるってマジか!? ビッグマイチェンは2025年!
ベストカーWeb
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
全車[EV]化計画を撤回!? ベンツもボルボもEV化減速してるけど…[ホンダ]はどうするん? 
ベストカーWeb
ホンダが激カッコいいSUV発表! [アキュラADX]みたいなクルマが日本にも必要だろ!
ホンダが激カッコいいSUV発表! [アキュラADX]みたいなクルマが日本にも必要だろ!
ベストカーWeb
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
[車検]費用が増える? 2024年10月より車検での[OBD検査]を本格運用へ
ベストカーWeb
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
即納って不人気車なの!? なんでそんなに待たなきゃならん!? [納期]にまつわる素朴なギモン
ベストカーWeb
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
いまさら人には聞けない「ベンチレーテッドディスク」と「ディスク」の違いとは? ブレーキローターの構造と利点についてわかりやすく解説します
Auto Messe Web
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
ラリージャパン2024開幕直前。豊田スタジアムやサービスパークの雰囲気をお届け/WRC写真日記
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
メルセデス・ベンツの『GLE』系と『GLS』にオンライン先行受注にて“Edition Black Stars”を設定
AUTOSPORT web
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
ラリージャパン2024“前夜祭”が豊田市駅前で開催。勝田貴元らが参加のサイン会とパレードランが大盛況
AUTOSPORT web
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
フランス人スター選手と一緒の気分? 歴代最強プジョー 508「PSE」 505 GTiと乗り比べ
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

44件
  • 素直にカッコいい。
    でも地元近辺にディーラーがないから、購入はないです。
  • アテンザも良かったけど、3はその流れをさらにダイナミックにした感あるな。ファストバックはややデザイン優先で取り回し怖じ気づくけど、セダンは何故か楽そうに見える。ユーノス500憧れた世代としては、3も評価されて欲しい反面、あんまり売れてありふれて欲しくない複雑な気分だ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

285.2326.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

109.0331.9万円

中古車を検索
MAZDA3 セダンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

285.2326.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

109.0331.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村