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アロンソとノリス、ふたりのスターが共闘し輝いた……知る人ぞ知る2018年デイトナ24時間

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アロンソとノリス、ふたりのスターが共闘し輝いた……知る人ぞ知る2018年デイトナ24時間

 1月末の決勝レースに向けて、既に予選が実施された2024年のデイトナ24時間レース。同レースにはこれまで、耐久レースに転向した元F1ドライバーが多数参戦してきたが、今年もジェンソン・バトンやフェリペ・マッサ、ロマン・グロージャンらがエントリーしている。

 その中でも特に豪華だったと言えるのが、マクラーレンCEOのザク・ブラウン率いるユナイテッド・オートスポーツがフェルナンド・アロンソとランド・ノリスを起用した2018年だ。

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 2度のF1ワールドチャンピオンであるアロンソにとって、このデイトナ参戦はル・マン24時間の前哨戦のような扱いであった。当時マクラーレンからF1に参戦していたアロンソは大苦戦しており、F1への愛想を尽かしていた。そのため彼はインディ500とル・マンに挑戦し、モナコGPを含めた世界三大レース制覇を目指そうとしていたのだ。2017年のインディ500ではリタイアに終わったが、2018年のル・マン挑戦に向けて着々と準備を進めていたのだ。

 そんなアロンソとデイトナでチームメイトになったのが、当時18歳のノリスだった。ノリスは2017年のF3ヨーロッパ選手権でチャンピオンに輝いた後、マクラーレンのリザーブドライバーとなることが発表されたばかり。まさに新進気鋭のゴールデンボーイだった。

 ブラウンCEOは当時、次のように語っていた。

「F1の契約が完了して2分も経たないうちに、彼(アロンソ)が『デイトナをやりたい』と言った」

「フェルナンドは取り留めのない雑談をしたりするものだが、自分の考えていることはあまり言わない。そんな彼が突然そういうことを言ったんだ」

「ランドがどうするかも気になって仕方ない。彼とフェルナンドはとても仲が良いので、何よりもふたりの絆を深め、関係を構築する絶好の機会になるだろう」

「ランドはフェルナンドから、身のこなしやレースへの準備を学ぶことになる。ランドにとって非常に有益なものになるだろう」

 このふたりに耐久レーサーのフィル・ハンソンも加わった3人でデイトナ24時間に臨むこととなったユナイテッドオートスポーツだが、優勝を狙えるパッケージとは言い難かった。リジェJS P217のペースは他のDPI勢に大きく劣っていたのだ。それは予選でも明らかで、ポールタイムから1秒落ちの13番手に終わった。

 しかし、レースが始まると状況は好転した。

 アロンソはクローズド・コックピットのプロトタイプカーでのデビュー戦にもかかわらず、開始5分でふたつポジションを上げ、F1ワールドチャンピオンの実力を見せつけた。アロンソのスティントが終了した時点で、ユナイテッド・オートスポーツはトップ5に迫っていたのだ。

 さらに次に走ったノリスもその才能の片鱗を見せようとしていた。前を走るマシンとの差を縮めていたノリスだったが、太陽が落ち始めると突然激しい雨が降り出した。ただ、トリッキーなコンディションでこそエリートドライバーが輝くことはよく知られている。ノリスもその例外ではなかった。

 濡れた路面で誰よりも速いペースを刻んでいたノリスは、リジェのハンデを感じさせることなく、上位でさまざまなピットストップ戦略が繰り広げられて順位が入れ替わる中で合計8周にわたってリードラップを記録した。

「ピットに入って初めて、自分がP1だとわかったんだ」

 ノリスはレース後にそう語った。

「自分のラップを終えてピットに入る前、自分たちよりも順位が上だと思われるチームメイト(32号車)を抜いたんだ。彼ら(のデジタルの順位表示)が8になっていたけど、ピットに入ったら僕たちが1位だということが分かった」

 このノリスのパフォーマンスに感銘を受けたのがアロンソ。彼は次のように語っていた。

「チームワーク、準備、集中力などという点で、あのスティントは印象的だった」

「ウエットコンディションの中、しかも初めてのプロトタイプカー、初めてのデイトナ、初めてのコンチネンタルタイヤで、彼は20周で33秒を挽回した。彼が18歳ということを考えると、素晴らしいことだ」

 しかしその後、23号車の歯車は狂い始める。ハンソンに交代した第3スティントではパンクが発生し、その次のアロンソのスティントではブレーキトラブルに見舞われた。ブレーキマスターシリンダーの交換に約40分を要したユナイテッド・オートスポーツは急速に順位を落とし、ノリスが再びステアリングを握った時にはトップから26周遅れの総合22位となっていた。

 最終的にはクラス13位、総合38位でのフィニッシュとなったが、ドライビング面ではこれ以上ないほどのパフォーマンスを見せていたため、ノリスは不運を悔やんだ。

「レース全体のペースは、マシンのハンデを考えればかなり良かったと思う」とノリス。

「キャデラックやアキュラと比べれば、パフォーマンスという点で彼らの方が何枚も上手だった。でも僕とフィルとフェルナンドは、クルマの力を引き出すことができた」

「ドライバーとして、そしてチームとして成し遂げたことを誇りに思うべきだと思う。トラブルというのは起こり得るものだからね」

 デイトナでは結果を残せなかったアロンソだったが、同年はトヨタからル・マン24時間に参戦し、いきなり優勝。“トリプルクラウン”の内ふたつを達成したが、インディ500での勝利には未だ届いていない。

 またアロンソは翌2019年もデイトナに参加し、ウェイン・テイラー・レーシングで小林可夢偉らと共にキャデラックを駆り優勝。リベンジを果たしている。ただアロンソは2018年を最後に一旦F1を去っており、そこから2シーズンほどは耐久レースやインディ500、ダカールラリーなど幅広い競技で活躍の場を求めた。そしてそのアロンソの後任としてマクラーレンからF1デビューを果たしたのが、奇しくもノリスだったというわけだ。

 ちなみに、2018年のデイトナ24時間に参戦したF1ドライバーはアロンソやノリスだけではなかった。当時ウイリアムズでのルーキーシーズンを終えたばかりだったランス・ストロールは、ジャッキー・チェンDCR JOTAでフェリックス・ローゼンクヴィスト、ダニエル・ジュンカデラ、ロビン・フラインスと共に戦った。オレカ07での参戦となった彼らは総合15位、クラス11位でフィニッシュしている。

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