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クジラクラウンと呼ばれた「4代目クラウン」は不人気? スペックや価格は?

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クジラクラウンと呼ばれた「4代目クラウン」は不人気? スペックや価格は?

 この記事をまとめると

■4代目トヨタ・クラウンを紹介

「クジラ・サメ・ブタ」ユニークな愛称で親しまれたクルマ6選

■自動車ファンの間では「クジラクラウン」と呼ばれている

■中古車相場についても解説

 クジラクラウンとは?

 自動車ファンの間では「クジラクラウン」と呼ばれる4代目クラウン。歴代クラウンの中でもっとも不人気だったことでもその名が通っています。

 斬新すぎたそのデザインを採用したことが成功しなかった大きな理由ですが、内容もデザイン同様先進的。不人気モデルと評するだけではもったいないモデルでもあります。

 今回はそんな4代目クラウンについて紹介していきましょう。

 1971年に3代目からフルモデルチェンジで登場した4代目クラウン。3代目まで「トヨペット・クラウン」として販売されていましたが、このモデルから「トヨタ・クラウン」として販売されるようになりました。

 4ドアセダン、2ドアハードトップ、さらにステーションワゴンのカスタムをラインアップ。

 ボディバリエーションは3代目と変わりませんが、大きく異なるのがエクステリア。先代より全高を25mm低くして、ロングノーズ&ショートデッキで「スピンドルシェイプ」(紡錘型)の先進的なボディを身にまとったのです。

 このデザインはセダンのみならず2ドアハードトップやワゴンのカスタムも同様で、いま見るとなかなか魅力的だと評する声も多いのではないでしょうか。

 ただ、販売された1970年代の顧客層には全く受け入れられず、登場から2年後の1973年2月にビッグマイナーチェンジを実施。これは当時、最大のライバルだった日産セドリック/グロリアに年間で3万台近くも販売台数が負けていたことによるものです。

 4代目の大きな特徴だったボディカラーと統一された前後カラードバンパーは、当時は一般的だったクロームメッキのバンパーへ変更。フロントマスクも横格子から重厚感がある縦格子に意匠チェンジされるなど大幅に変更されました。

 と、デザインについての話題が多い4代目ですが、3代目と比べて装備などが高級化されたことも大きな特徴といえます。

 4代目登場から3カ月後に2.6リッターエンジンを搭載する3ナンバー車を投入。オプションで装備された自動定速度走行を可能としたオートドライブをはじめ、1973年のマイナーチェンジで電動リモコンミラーやパワーウインドウ、後席パワー式リクライニングシートなどを装備。ラジオのアンテナもフロントウインドウ埋め込み式となりました。

 パワーユニットはデビュー時がM-D型およびM-B型2リッター直6エンジンを用意。その後、4M型2.5リッター直6エンジンが追加。マイナーチェンジで2リッターエンジンは排ガス規制対応型のM-C型となり、2.5リッターエンジンは4M型のまま最高出力が130馬力から140馬力に高められています。

 また1974年には電子制御式燃料噴射装置EFIが装備されたM-E型2リッターエンジンも追加。合わせて電子制御式ATやESCも装備されています。

 見た目の奇抜さばかり注目されがちな4代目ですが、現在までに繋がるトヨタの高級車像を確立したモデルでもありました。

 クジラクラウンの外装

 特徴その1:スピンドルシェイプ

 4代目クラウンのデザインは空力特性を重視したスピンドルシェイプと呼ばれたものでした。当時、東名高速が全線開通するなどクルマに高速性が求められるようになったことで、空気抵抗が少なく高速走行時の安定性を増すことがデザイン採用の大きな理由となったようです。

 特徴その2:カラードバンパー

 スピンドルシェイプとともに4代目の大きな特徴となったのが、ボディと一体化されたカラードバンパーを採用したこと。「バンパー=クロームメッキ」が当たり前だった当時、かなり斬新なデザイン処理でした。

 ただ、先程お伝えしたようにデビューから2年後に行われたマイナーチェンジで、一般的なクロームメッキバンパーに変更されています。

 特徴その3:アメリカンな2ドアハードトップ

 セダンやステーションワゴンとともにラインアップされた2ドアハードトップ。セダンとはまたテイストが異なる斬新なフォルムを備えていました。

 角型ヘッドランプや角型4灯リヤコンビランプなど、当時のアメ車の影響をもろに受けたスタイリングはかなりスタイリッシュ。また、ステーションワゴンのカスタムも先鋭的でおしゃれです。

 クジラクラウンと他のクラウンを比較

 3代目クラウン

 1967年にデビューした3代目クラウン。4代目と比べるとオーソドックスなデザインではありますが、フェンダートップで伸びやかなフォルムは決して保守的ではありませんでした。

 3代目の大きな特徴は7代目クラウンまで続くペリメーター・フレームを初めて採用したこと。ペリメーター・フレームとは補強部材によってフロアの回りを囲った軽量なセパレート・フレームのことです。

 このモデルはタクシーなどのニーズはもちろん、パーソナルカーとしての販売に力を入れるため「白いクラウン」というフレーズで宣伝展開を行いました。この宣伝戦略は効果があったようで、当時、街中には白いクラウンが溢れたといいます。

 5代目クラウン

 販売不振に終わった4代目の後を受け、1974年に登場した5代目クラウン。スタイリングが評価されずに終わった4代目の反省を活かしたのか、とことんフォーマルなスタイリングを採用しました。

 5代目のトピックスといえば、歴代モデルで初となる4ドアピラードハードトップが追加されたこと。ハードトップの最上級グレードにはロイヤルサルーンが設定されています。

 また1976年にはディーゼル車も追加。後にディーゼル車としては日本で初めてAT車が設定されました。

 不人気・失敗作とレッテルを貼られる理由

 デザインの大幅変更が不評

 先程からお伝えしているように先進的なデザインでチャレンジした4代目は、高級車を求めるユーザーからそっぽを向かれてしまいます。販売的には大失敗とはいえないまでも成功したとは言えませんでした。

 5代目クラウンがおとなしめでフォーマルなスタイリングを採用し成功を収めたことからもわかるように、高級車には斬新過ぎるデザインで勝負することは上手い戦略ではないことを、トヨタが学ぶことになるモデルとなりました。

 車内の視界の問題

 奇抜なデザイン以外にも4代目で不評だったのは実用面。スピンドルシェイプを採用したことで、運転席からの視界はイマイチ。見切りが悪いため狭い道などで取り回しが悪いとユーザーから酷評を受けました。

 そのためクラウンの購買層となるタクシー業界で不評を買ったことも、販売が成功しなかった大きな要因です。

 現在では高評価も

 上記のような理由で4代目クラウンは、3代目や5代目のモデルサイクルより短いモデルライフを終えることになります。

 高級車を求めるユーザーは保守的な層が圧倒的に多かったことが理由ですが、現在、改めて4代目を見ると悪くないと思う方は多いのではないでしょうか。

 斬新とはいえデザインのバランスは悪くなく、当時のアメ車が有していたトレンドも取り入れるなど異端どころかカッコよく見えてしまいます。

 セダンもそうですが、2ドアハードトップやワゴンのカスタムに至ってはさらにスタイリッシュ。テレビドラマで4代目セダンが使用されていましたが、それはこのクルマの存在感や見た目に独自の雰囲気を有しているからなのでしょう。

 クジラクラウンの価格相場

 ここまで4代目クラウンについて説明してきましたが、果たして現在、中古車を購入することはできるのでしょうか。

 通常通りクラウンの中古車を探しても、1970年代に販売されていた4代目を検索することはできません。購入を考える場合、旧車を専門に扱うお店から探す必要があります。

 そんな旧車専門店で販売されている4代目クラウンはわずか5台。前期型のセダン1台、後期型セダンが2台、ワゴンのカスタムが1台、2ドアハードトップが1台販売されていました。

 程度が良い中古車の場合、250万円が最安値。とくに状態が良さそうなセダンには350万円の値段がつけられています。140万円や160万円で販売されている車両もありますが、これらは主に部品取り車として売られているようです。

 まとめ

 歴代クラウンにおいて異端な存在といえるのが4代目クラウン。結果的に販売は成功しませんでしたが、トヨタが新たな高級車像を提案するチャレンジを行ったことで大きな話題となりました。

 大きなチャレンジといえば現行クラウンも同様。大きなチャレンジを試みた現行クラウンが今後、どのように評価されていくのか楽しみです。

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みんなのコメント

3件
  • 当時は不人気で売れなかった
    3年でフルモデルチェンジせざるを得なかった黒歴史
    メーカー評価はそれで終わり
    今のヤツがどう思うかは関係ない
  • ケンコバの愛車
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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