世界最古の自動車メーカーである「プジョー」。現在は、アバルトやアルファロメオ、ジープやマセラティなどとともに「ステランティスN.V.」におけるブランドのひとつですが、メルセデスやBMWのような厳格さとは違って、おしゃれな雰囲気も漂っているのがプジョー車の魅力です。
海外製なので、日本の軽自動車やコンパクトカーのように、利便性が計算しつくされた収納がたっぷりある、なんてことは期待してはいけないのですが、輸入車のなかでは比較的手が出しやすいのもありがたいこと。そんなプジョーにラインアップされているSUVは、小さい順に「2008」「3008」そして「5008」の3つ。それぞれの魅力をご紹介します。
シャレオツ欧州SUVに首ったけ!! プジョーのSUV 3台を総チェック
文:吉川賢一
写真:STELLANTIS
マイチェンで改良新型となった2008 3本ラインの鍵爪と新ロゴがカッコ良い!!
プジョーのSUVラインアップでもっともコンパクトなモデルである「2008」は、全長4305mm、全幅1770mmというボディサイズで、ホンダヴェゼル(全長4330mm)や日産キックス(4290mm)とほぼ同じ。日本でも使い勝手のよいジャストサイズのコンパクトSUVです。
2019年にデビューした2008ですが、2023年10月24日にマイナーチェンジが行われており、改良型ではこれまでの魅力を残しながら、エクステリアやインテリアを一新。フェイスリフトによってフロントグリルやヘッドライト周りのデザインを修正したほか、他のプジョー車と共通のライオンのかぎ爪をイメージした3本のデイタイムライトが採用されました。また新デザインのアルミホイールやシャークフィンアンテナも採用し、フロントバッヂもプジョーの新ブランドエンブレムになりました。
インテリアは、インパネ周りのステッチパターンを変更。シートは全席がアルカンターラと合成皮革のコンビ表皮の上質な素材となり、かつ前席にはシートヒーター、および運転席パワーシートが標準装備となりました。10インチの大型タッチスクリーンや高解像度パークアシストカメラ、ワイヤレススマートフォンチャージャーも採用されています。
ラインナップは、1.2リッター直3ガソリンターボエンジンの「2008 GT」(税込419万8000円~)と、1.5リッター直4ディーゼルターボエンジンの「2008 GT BlueHDi」(445万4000円~)の2モデルで、どちらも8速ATの組み合わせです。また、バッテリーEVのE-2008(税込576万4000円~)もラインアップされています。
2023年10月にマイナーチェンジがなされた新型2008。なお2024年3月6日、欧州市場で2008のハイブリッドモデルの受注も発表されている。日本導入は未定だ
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使い勝手のいいサイズ感の3008 プラグインハイブリッド仕様も
その2008よりもひとクラス上に位置する小型のクロスオーバーSUVが「3008」です。全長4450mm、全幅1840mmのボディサイズは、カローラクロス(全長4490mm)やマツダCX-30(4395mm)に近い大きさで、2008よりも多くの荷物を積載できる、使い勝手の良いクロスオーバーSUVといえます。
3008の日本市場デビューは2017年。2021年に1度目のマイナーチェンジが行われ、ライオンの牙を模したLEDデイタイムライトを組み込んだフェイスへと改良されました。インテリアはやや落ち着いた雰囲気で、使われているトリム素材やシート革の質感も高く、高級車の雰囲気もあります。
ラインナップは、1.6リッター直4ガソリンターボエンジンの「3008 GT」(税込546万6000円~)、2.0リッター直4ディーゼルターボエンジンの「3008 GT BlueHDi Black Pack」(578万3500円~)、そして1.6リッター直4ガソリンに駆動用バッテリー&走行用モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドの「3008 GT HYBRID4」(710万5000円~)の3モデル、どれも8速ATの組み合わせです。
「3008 GT BlueHDi Black Pack」は、フロントグリル、ルーフレール、アロイホイールをはじめ、ライオンエンブレムにいたるまでブラックパーツを採用した、ディーゼル最後の特別仕様車だ
3列シートで大きな5008 ただしモデルライフはあと少し
プジョー「5008」は、プジョーのSUVラインアップでもっとも大きな7人乗りのミドルクラスSUVです。全長4640mm、全幅1840mmのボディサイズは、RAV4(全長4600mm)やエクストレイル(4660mm)とほぼ同じ。荷物もたくさん積み込めるので、アウトドアレジャーなどに使うには、便利なSUVです。
基本的には3008のストレッチ版ですので、デザインは共通の部分が多く、ラインナップは、1.6リッター直4ガソリンターボエンジンの「5008 GT」(税込580万6000円~)、2.0リッター直4ディーゼルターボエンジンの「3008 GT BlueHDi Black Pack」(611万1500円~)の2タイプ。どれも8速ATの組み合わせです。2023年10月19日には、3008と5008の限定車「Executive Edition(エグゼクティブエディション)」も発売されています(それぞれ限定120台)。
5008については、欧州市場では、2024年3月20日に3列シートの新型SUV「E-5008」を発表しています。「E」の頭文字が表す通り、バッテリーEV。日本導入は、欧州市場での発売後、1年ほど経ってから導入されるのが定例ですので、いまはじっくりと様子をうかがっておきたいところです。
現行の5008。3008のホイールベースをストレッチして7人乗り仕様としている
欧州市場では、2024年3月20日に3列シートの新型SUV「E-5008」が発表されている
どれもこのあと1~2年のうちにフルモルチェンジか!??
国産のSUVと比べると、概ね100万円ほど高くなりますが、プジョーならではの「味」が込められたデザインとその走りは、病みつきになる人も少なくないそう。筆者も、以前に試乗した現行208の柔らかいけれど芯のある乗り味には、病みつきにさせられました。
ただ、2008、3008、5008は、このあと1~2年のうちにフルモルチェンジがやってきます。現行モデルの最終型を手に入れるか、それとも、一新される新型モデルの登場まで待つかは悩ましいところ。気になる人はプジョーディーラーで相談してみるといいでしょう。
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文:吉川賢一