愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第23回の前編。アスリートの有森裕子さんが、思い出深いボルボについて、たっぷり語る。
兵藤ゆきさんのボルボに憧れて
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有森裕子さんは、オリンピック、1992年のバルセロナ・オリンピックで銀メダル、1996年のアトランタ・オリンピックで銅メダル、という快挙を成し遂げた女子マラソン界のレジェンドだ。今回の取材で、憧れの赤いボルボ240のステーションワゴンと対面するや、「うわぁ~」と声に出して目を輝かせた。
バルセロナ五輪のあと、テレビの取材で寮にやってきたタレント・兵藤ゆきさんのクルマが、おなじ型の赤いボルボ「240ワゴン」だったのだ。
「衝撃的にカッコイイ! と、思ったんです。流線型のデザインには私、ぜんぜん興味がなくて……。絶対に私は最初のクルマはこの赤のボルボにしようって決めたんです。『命を守るにはボルボがいちばんだ』っていわれて、当時は現役選手だったので余計そこに注目したんですけど、安全で、しかも、あんなにカッコイイんだ、って」
実際に手に入れた最初のクルマは、おそらくボルボ「740ワゴン」で、色はグレーだったけれど、とにかくボルボの四角いステーションワゴンだった。
アトランタ五輪が終わったあと、有森さんはニッポンの陸上選手としては初の「プロ宣言」をする。当時、JOC(日本オリンピック委員会)はオリンピック・アスリートの肖像権を一括管理することで協賛企業を募り、一部を強化費に充てていたから、許すはずがない。日本陸上競技連盟も認めず、国内の大会に出られなくなった。
それなら、と、アメリカに渡り、英語学校に行ったりもしているとき、パートナーとなるアメリカ人男性と出会い、1998年に結婚。コロラド州の高地、ボルダーに拠点を構えて練習に励む。
アメリカはクルマ社会で、なければ不便きわまりない。有森さんの実家は本人いわく“自転車家族”だったから、クルマとは無縁だった。実業団選手である間は、運転してくれるマネージャーがいた。選手に集中しよう、と考えてもいた。
「実業団から離れ、独立してプロになってから、そんなんじゃダメだ、自分で運転できるようになりたいな」と、思ったという。クルマの運転は自分で動くことの第一歩でもあった。
免許を取る前にクルマはすでに持っていた。
「『ボルボがいいんだ、ボルボがいいんだ』と、私がいっていたら、ものすごい中古で捨てようと思っているというのを知り合いが持っていて、それはボルボの“角ボルボ”だったから、欲しくなって。じゃあ私が買うから、(パートナーに)運転していいよ、と(笑)、まぁ、彼に任せて購入したんです。たしか740だったと思います」
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「あまりにも簡単すぎて、1回目で取れたのに、不安だからパートナーが『取り直して欲しい』と。それで、2回行ったんですけど、アメリカの教習所って、ものすごくすぐに取得させようとするんです。自分のクルマで行って、教官と一緒に近くをまわって、それを何回かやったあと、最後の日がたまたま教官の誕生日で、『誕生日だね、おめでとう』っていったら、『ありがとう。じゃあ、君はもういいよ』って(笑)」
ボルダーを拠点にした生活が充実していたのは、1999年のボストン・マラソンで3位入賞を果たしたことからもうかがえる。3年ぶりのマラソンで、自己記録を大幅に更新する快走だった。
アメリカでのドライブの思い出やボルボを運転しての感想を聞きそびれてしまったのは、このボルボの次は何を買ったんですか? という質問に対する答に筆者がちょっとたまげたからだ。有森さんはこうサラッと語った。
「ずっとボルボです。グレーの740の次は、そのあとは普通のセダンのボルボ。フォードとまだ組まないときですね。フォードグループになる手前の赤のセダンを新車で買ったんです」
するととなりで聞いていた、実業団のリクルート陸上部の同期で、練習パートナーを長年つとめた有森さんのマネージャー兼所属事務所の代表取締役を務めるユミちゃんこと大塚由美子さんが口を挟んだ。
「中古じゃないですか」
「赤のセダンよ」
「そうですよ。赤がとにかく気に入っていたから中古なんだけど、って買ったんだけど、すごい故障して。何回も何回も」
「そうだったっけ。故障したのはシルバーゴールドのやつ?」
「あれは新車でしたけれども、赤のは……」
「中古だったっけ?」
「中古です。とにかくよく修理に出していましたよ」
「修理にはしょっちゅう出していたけど……。そうか。中古か」
ちょっと噛み合わない、おふたりのやり取りにはおかしみがあった。新車か中古かはともかく、赤のボルボの普通のセダンは「850」のことのようだった。そのあと、シルバー・ゴールドの初代「V70」(たぶん)のステーションワゴンを、ユミちゃんによると新車で購入した。有森さんはキッパリとこういいきった。
「ボルボ一貫です。ボルボ以外乗ったことない。もうボルボにこだわって……、ただ、フォードと組んじゃったのが、すごくショックで(笑)。流線型が特徴のフォードと組んじゃったことで、角ばったボルボがだんだんなくなっちゃって、それからもう興味なくて」
“ボルボ一貫”。初めて聞いたけど、いいことばだなぁ。と、思うと同時に、有森さんの気風のよさというか、サッパリぶりに筆者の頭はそっちにいってしまった。
ちなみにボルボのフォード傘下入りは1999年。有森さんが結婚した翌年で、ボルボがフォードから離れ、中国のジーリー傘下に入ったのは2010年。たった10年ちょっとでボルボは大きく変わってしまったのだ。
帰国後はクルマを持つことはもちろん、運転すらしていない。アメリカの免許は日本でも使えると思っていたけれど、さにあらずだったからで、アメリカの永住権であるグリーンカードと一緒に返したからだ。
「グリーンカードは持っているとややこしいんですよ。6カ月に一度、アメリカに行かなきゃいけないから。本土に行かなくてもハワイとかでもいいんですけど、そのためにお金を使って、用事もないのに面倒だなぁと思い。で、大使館の窓口に行って、返す理由も書かなくちゃいけないから、“ディヴォースト(離婚)”っていったら、“サンキュー”っていわれちゃって(笑)。まぁ、旅行で行けばいいかなと思って」
帰国後、同志的親近感を抱いているのはもちろんボルボ……ではなく、トヨタ「カローラ」という。
その理由というのがじつに有森さんらしい。そちらは後編にて!
有森裕子(ありもりゆうこ)1966年岡山県生まれ。就実高校、日本体育大学を卒業して、(株)リクルート入社。1992年のバルセロナオリンピック、1996年のアトランタオリンピックの女子マラソンではそれぞれ銀メダル、銅メダルを獲得。2007年2月18日、日本初の大規模市民マラソン『東京マラソン2007』でプロマラソンランナーを引退。1998年NPO法人「ハート・オブ・ゴールド」設立、代表理事就任。2002年4月アスリートのマネジメント会社「RIGHTS.」設立(現・株式会社アニモ所属)。
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文・今尾直樹 写真・加藤純平 スタイリスト・間山雄紀(M0) ヘア&メイク・奈良裕也 編集・稲垣邦康(GQ)
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なんとなくBMWとか買いそうだったのに