現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > あえてハスラーに似せたところも! 軽ではできないことに挑戦したスズキ・クロスビーのデザイン

ここから本文です

あえてハスラーに似せたところも! 軽ではできないことに挑戦したスズキ・クロスビーのデザイン

掲載 更新
あえてハスラーに似せたところも! 軽ではできないことに挑戦したスズキ・クロスビーのデザイン

 ひと目見たら忘れられない個性的で魅力的なデザインを!

 冒険心も遊び心も満たしてくれる小型クロスオーバーワゴン。そんなスズキ発の新ジャンルのクルマとして企画された新型クロスビー。デザインチームが目指したのは、そのコンセプトにふさわしいSUVらしい力強さとたくましさを備え、ひと目見たら忘れられない個性的で魅力的なデザインの実現だ。

人気のSUVなのに売れない……だからこそ個性が主張できる魅力のSUV3選

 新型クロスビーのエクステリアデザインの取りまとめ役を果たした塚原 聖さんと、インテリアデザインのまとめ役である渡邉盛弘さんに、デザイン開発を振り返っていただいた。

「企画がスタートしたきっかけは、軽自動車であるハスラーの小型車版が欲しいというお客さまの声でした。そのため、新型クロスビーはハスラーに通じる世界観を持っています」(塚原さん)

「ハスラーのDNAや魅力的なキャラクターを生かした、いわばハスラーの兄貴分のような存在があったらいいねというのは、われわれの間でもずっと話していたことだったんです。その魅力的な世界観をアピールするためには、ハスラーという名前を車名に入れてわかりやすく訴求するという方法もあったかもしれません。ですが、『ハスラーワイド』といった名前にしてしまうと、ハスラーをベースにボディを拡幅したクルマと誤解されてしまう恐れがあります。今回はいちからデザインを作り上げているので、そうした点をアピールする意味でも新しい車名が必要だと考えたんです」(渡邉さん)

 ハスラーと共通するデザインモチーフのヘッドランプを備えているため、ぱっと見た瞬間は、誰もがハスラーを連想する顔付きだ。だが、よく見ると顔付きだけでなく、ボディ全体が驚くほどハスラーと違う。

「デザイン開発の最初のころは、ハスラーとどう違いを付けていくかということにとくにこだわりました。かつてスズキでは『ワイド』や『プラス』など、軽自動車をベースにボディを大きくしたモデルがありましたが、クロスビーはそう見えてはいけないという気持ちを強く持っていました」

「たとえばクロスビーのボディの抑揚の豊かさなどは、軽自動車枠のハスラーでは不可能な表現です。ハスラーではできない力強さや頼もしさの表現があって、それでいてハスラー同様に愛着を持てるデザイン。相反するとも言えるこのふたつの要素を、いかにバランスよく融合させるかという点について、かなり試行錯誤しながら落としどころを探っていきました。これまでのスズキ車では、まずはなるべく室内空間を広くという観点からデザインを行ってきましたが、クロスビーでは、軽よりも大きな寸法分を積極的に外形デザインにも生かしていこうという考えで取り組みました」(塚原さん)

「デザインの方向性を決める際にも、開発チームのなかで、いくつもの可能性をひとつひとつ試しました。たとえば、ハスラーのボディを左右に分割して、それを鉄板で繋いでストレッチしたり、ハスラーのボディにクレイを盛って、拡幅モデルを作ってみたり。モノを実際に作ってみて、やはりこういう方向じゃないよねと、ひとつひとつ確認したんです。そこで方向性をしっかりと打ち出したおかげで、最後まで狙いがブレることなくやり切ることができました。かなり初期のデザインスケッチの段階で、盛り込みたい要素はほとんど表現されていて、開発期間の多くの時間はそれをいかに具現化していくか、ということに使うことができました」(塚原さん)

 新型クロスビーは、外内装ともに、ハスラーと共通する部品がほとんどない。共通イメージを感じさせるヘッドライトも、じつは大きさからして違う。パッと見た瞬間はハスラー同様、「このクルマがあればなにか楽しいことができる」という印象をもたらし、近寄ってみると「もっともっと色々なことができそうだぞ」と感じさせてくれるデザインと言えよう。

 新型クロスビーが目指したのは、力強い佇まいやたくましさによって、オーナーの冒険心を掻き立ててライフスタイルの広がりを感じさせてくれるスタイリング。こうした狙いのデザインは、ともすると、アグレッシブさや屈強さばかりが目につくデザインになりがち。だが新型クロスビーでは、力強さのなかにも絶妙な柔らかさが融合されている。

「そこはハスラー同様、強く意識した部分です。水平基調のSUVはどうしても堅いデザインになりがちですが、クロスビーではいい意味でのゆるさと言いますか、温かみをうまくミックスすることを強く意識しました。また、アクティブなライフスタイルのさまざまな場面に対応できる『ギア感』について、エクステリアでもインテリアでも共通のイメージが感じられるデザインにしたいという意識を強く持っていました」

「近年のスズキのデザインでは、コンセプトの策定段階からエクステリア、インテリア、カラーのデザイナーが深くコミュニケーションを取りながら進めるというプロセスを取っています。昔はそれぞれ別で作って、あとで合わせるというケースもありましたが、カラーも含めた内外の一体感が増すことで、魅力的な世界観をよりしっかりとユーザーに伝えることができます。クロスビーのようなキャラクター性の強い商品は、とりわけそれが大事です」(渡邉さん)

 エクステリア、インテリア、カラーそれぞれの領域が深く関わり合いながら進めたデザイン開発。それはクロスビーのデザインの遊び心にも生かされている。たとえばヘッドライトとエアコンの吹き出し口に共通のデザインモチーフが用いられていることもそのひとつだ。

「ほかにも、光の当たる角度によってメーターパネルのなかにクロスビーの姿が現れたり、四駆のモードスイッチを操作すると、雪の降る景色にシロクマがいるグラフィックが出てきたり、ちょっとした楽しい仕掛けを色々なところに忍ばせています。ハスラーよりも車格が上がった分、ハスラーでできないようなことも色々とやらせてもらいました」

「たとえばインパネは、2本の力強いパイプで上下から挟み込むデザインになっているんですが、そのパイプの両端にはエンドキャップを採用しています。この部分はお客さまが色々工夫して自分好みにカスタマイズしていただければとの想いを込めて設定しています。エンドキャップはクルマの外側からも見えますから、さりげなく個性のアピールができるんです」(渡邉さん)

 デザイナーのエゴよりも、お客さまの喜びを大切に

 渡邉さんはハスラーのインテリアデザインも手掛けており、じつはご自身の愛車もハスラーだ。ハスラーオーナーのミーティングにも、いちオーナーとしてたびたび参加しており、ハスラーを自分色に染めて楽しむさまざまなオーナーの姿に触れることで、デザインをするうえでのヒントや刺激をもらっているという。

「最近は、若い人たちがクルマへの興味を失いつつあると言われていますが、そうした状況はわれわれにも責任があると感じています。燃費などの効率を追うあまり、乗って楽しく所有してうれしいというクルマの魅力が薄れていたのではないかと思うんです。ほんのちょっとしたことでもいいからお客さまが楽しくなるような仕掛けを入れることができれば、クルマに対する関心の深さも変わってくるんじゃないかなと思います」(渡邉さん)

 自分好みのちょっとしたカスタマイズをしたり、自分なりに使い方を広げられたりする余地が、クルマへの愛着も深めてくれるはずだと語る渡邉さん。さらに後席ドアにはハスラー同様にふたつのボトルを置けるスペースが備わっている。

「こちらはグリップと合わせてブランケットやレジャーシートなどを丸めて挿しておくなど、お客さまの考え方次第で使い方をさまざまにアレンジできる部分です。こういったお客さまにとって便利で自由に使えるアイディアはクロスビーでも積極的に採用しました」(渡邉さん)

 デザイナーにしてみれば、「せっかくここまで違うデザインにしたんだから、ここだって違うデザインをしたい」と考えるのがごく自然なことだろう。むしろ、「1カ所も同じデザインがない」と言い切れる方が、セールストークにも使いやすい。それでもあえてこの部分を残したのは、デザイナーがいかにユーザーに寄り添っているかの表れと言えるだろう。

「それって、スズキのデザイナー全員に共通していることかもしれません。みんな、積極的に提案はしていくけれど、デザイナーのエゴになってはいけないとつねに考えています。クロスビーのデザイン開発でも、こんなことをしたらお客さまが喜んでくれるんじゃないか、ということを思い描きながら取り組みました」(塚原さん)

 押し付けがましいデザインではなく、お客さまが喜んでくれるデザイン。それはスズキ・デザインのポリシーであり、矜持であると言えるのかもしれない。新型クロスビーは、そんなデザイナーの想いを随所に見つけられるクルマと言えそうだ。

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

約900万円のヒョンデ新型「IONIQ 5N」 650馬力の高性能EVは凄かった、特徴は? 6月5日発売
約900万円のヒョンデ新型「IONIQ 5N」 650馬力の高性能EVは凄かった、特徴は? 6月5日発売
くるまのニュース
カワサキ「Ninja H2 SX」「Ninja H2 SX SE」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
カワサキ「Ninja H2 SX」「Ninja H2 SX SE」【1分で読める 国内メーカーのバイク紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
目標の4倍以上も!? マジで爆売れ中の[WR-V]!! 1カ月に1.3万台以上も! 主役Zグレードはオプション要らずの凄いヤツ!!
目標の4倍以上も!? マジで爆売れ中の[WR-V]!! 1カ月に1.3万台以上も! 主役Zグレードはオプション要らずの凄いヤツ!!
ベストカーWeb
THE大人の隠れ家的な渋い車内空間が魅力的! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
THE大人の隠れ家的な渋い車内空間が魅力的! トヨタ ハイエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
[2代目パジェロ]も途中から採用の本気っぷり!! 一瞬ナビかと思ったらエアコンかい!!  一時三菱のほぼ全車に使われたこだわりのエアコンパネル
[2代目パジェロ]も途中から採用の本気っぷり!! 一瞬ナビかと思ったらエアコンかい!!  一時三菱のほぼ全車に使われたこだわりのエアコンパネル
ベストカーWeb
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」6
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」6
グーネット
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」5
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」5
グーネット
チョーお得!? ボルボの最小5ドア V40試乗プレイバック ゴルフ Aクラス レクサスCT200hと渡り合う実力はあるか?
チョーお得!? ボルボの最小5ドア V40試乗プレイバック ゴルフ Aクラス レクサスCT200hと渡り合う実力はあるか?
ベストカーWeb
ランドローバー「レンジローバー」2025年モデル受注開始 ディーゼルモデルが出力アップ!
ランドローバー「レンジローバー」2025年モデル受注開始 ディーゼルモデルが出力アップ!
グーネット
東出昌大、ゆるキャン声優らがステージ出演決定!東京アウトドアショー2024
東出昌大、ゆるキャン声優らがステージ出演決定!東京アウトドアショー2024
グーネット
ランドローバー「ディフェンダーオクタ」7月3日ワールドプレミア!220台を日本導入
ランドローバー「ディフェンダーオクタ」7月3日ワールドプレミア!220台を日本導入
グーネット
新車価格260万円が今……S15シルビアは15万キロ超えでも200万円!! 今後さらに価格上昇か
新車価格260万円が今……S15シルビアは15万キロ超えでも200万円!! 今後さらに価格上昇か
ベストカーWeb
グランドハイエースに初代インサイトも輸出解禁!? もう25年越えってマジかよ?? 陰に隠れて高騰の可能性があるクルマ9選
グランドハイエースに初代インサイトも輸出解禁!? もう25年越えってマジかよ?? 陰に隠れて高騰の可能性があるクルマ9選
ベストカーWeb
「タコ2」三兄弟をおぼえてる? トヨタ「ターセル/コルサ/カローラII」はホットハッチ男子を魅了した国民的人気車でした
「タコ2」三兄弟をおぼえてる? トヨタ「ターセル/コルサ/カローラII」はホットハッチ男子を魅了した国民的人気車でした
Auto Messe Web
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」4
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」4
グーネット
類まれな「威厳と満悦」 ベントレー・コンチネンタルGT Sへ試乗 伝統継承のグランドツアラーを再確認 
類まれな「威厳と満悦」 ベントレー・コンチネンタルGT Sへ試乗 伝統継承のグランドツアラーを再確認 
AUTOCAR JAPAN
「メルセデス・ベンツ」ドイツ国内のディーラー網が大混乱!? リコールへの対応もあり現場は騒然です【みどり独乙通信】
「メルセデス・ベンツ」ドイツ国内のディーラー網が大混乱!? リコールへの対応もあり現場は騒然です【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」3
SUBARUサンバーを快走仕様!「ワイパーモーター不動からの復活」3
グーネット

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

138.7183.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0316.8万円

中古車を検索
ハスラーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

138.7183.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0316.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村