■N-BOXのコンセプトの変遷
2020年12月24日にマイナーチェンジ予定のホンダの人気軽自動車「N-BOX」。
2011年11月に登場した初代モデルや2017年9月に登場した2代目モデルは、2020年時点で軽自動車販売台数が2015年から5年連続1位、普通車では3年連続1位という快挙を達成しています。
なぜこれほどまでN-BOXは絶好調なのでしょうか。
不人気にもほどがある!? ビックリするほど売れていない軽自動車5選
初代モデルは、当時スズキ「ワゴンR」やダイハツ「タント」といったスーパーハイトワゴンの競合車がいるなか、「ニューネクストニッポンノリモノ」というキャッチコピーで登場。
翌2012年には、いきなり競合車を抜いて軽自動車の年間販売台数2位に躍り出ました。
ホンダの販売店スタッフは、当時の売れ行きについて次のように話します。
「東京モーターショーでコンセプトが発表されてから、既存のお客さまを中心に徐々に問い合わせが増えていき、多い日は1日の問い合わせのほとんどがN-BOXなどのNシリーズだったこともありました。
ショールームに実車が来るようになると、買うつもりで見に来たという人も非常に多かった事を覚えています」
初代モデルの販売台数は、登場した翌年2012年に21万1000台、2013年に23万4994台と数字を伸ばしていきましたが、2013年10月にライバルのタントがフルモデルチェンジをした影響を受け、2014年は18万台へと落とします。
一度下がったものの、そこから2017年のフルモデルチェンジに至るまで18万台強をキープしています。
初代モデルのグレードは、標準モデルがベーシックなFF仕様と4WD仕様に分かれている「Gタイプ」に加え、パワースライドドアが追加された「G・Lパッケージ」の2種類がありました。
N-BOXカスタムでは、標準モデル同様、FF仕様と4WD仕様の「Gタイプ」、「G・Lパッケージ」、さらに「G・ターボパッケージ」の3種類を設定。
2012年からはN-BOXにもG・ターボパッケージが選択できるようになり、それぞれに特別仕様車も登場しています。
また、同年からコンプリートモデル「モデューロX」も登場し、2015年にはエントリーモデルとして「Cタイプ」も追加されました。
ボディサイズは、全長3395mm×全高1800mm×全幅1475mmとなっており、室内長は2180mmと、当時の軽自動車最大級の広い空間を実現。
エクステリアは、標準モデルがシンプルな箱型ながらも、曲線を取り入れて親しみのあるフォルムとなり、N-BOXカスタムでは直線を多用したスポーティでラグジュアリーな雰囲気のあるデザインが採用されました。
インテリアは、ベージュを基調としたベーシックで誰もが使いやすいデザイン、N-BOXカスタムは高級感のあるブラックを基調とした上質なデザインとなっています。
安全性能については、ホンダ独自の衝突安全技術「G-CON」を進化させ、相手車両に与えるダメージを軽減する「コンパティビリティ対応ボディ」、さらには「歩行者傷害軽減ボディ」を採用。
また、タイヤの回転数をコントロールする機能と急ブレーキ時の車輪ロックを防ぐ機能、横滑り抑制機能がセットになったVSBも搭載しており、運転時の安心感も担保されています。
当時の新車価格はN-BOXが124万円から146万円、N-BOXカスタムが144万円から178万円。
それぞれLパッケージやターボパッケージを選択するとプラス料金がかかるようになっていますが、特別仕様車を除いてもっとも高価な最終型モデューロXのグレードでも、乗り出し価格は200万円を切っています。
■N-BOX 2代目の登場
2017年9月には人気を維持したまま2代目へとフルモデルチェンジを果たします。
このときのコンセプトを「N for Life」と変更し、よりドライバーの生活に寄り添ったクルマづくりへとシフトしました。
CMで使用されていたキャッチコピーも、「本当につくりたいのは、いいクルマじゃなく、いい生活」とされており、さまざまなライフスタイルに対応したクルマであることをセールスポイントにしています。
このフルモデルチェンジにより、2017年から2019年の3年間は、普通自動車も含めた新車販売台数は3年連続1位を記録。
ターゲットについて、デビュー当時のテレビCMや、2代目にフルモデルチェンジした後のテレビCMを見ると「子育てファミリー」であることがわかります。
2代目以降はあらゆるライフスタイルへとターゲットを広めたことから、ファミリーに加えて、若いママと子ども、老夫婦、男友達で運転する様子も見られました。
フルモデルチェンジした2代目については、サイズやパワートレイン、エクステリアやインテリアデザインに大きな変更はありませんでしたが、走行性能、快適性能、安全性能をアップさせるために手を加えています。
走行性能については、ベースグレードで車重を950kgから890kgへと約60kg軽量させることにより、パワートレインは大きく変わらずとも改善を図っています。
快適性能の面では、デビュー当時は軽自動車最大だった室内長である2180mmから、6cmアップして2240mmへと拡大。
限られた軽自動車規格内で室内長を伸ばすことは非常に困難ですが、少しでも広い車内を目指して改良されています。
安全性能については、全車に安全運転支援システム「Honda SENSING」を標準装備。
初代モデルの「シティブレーキアクティブシステム」という機能では、低速時のみしか前方車両との衝突を回避出来ませんでしたが、Honda SENSINGでは、時速5kmから時速80kmの速度で反応するうえに、歩行者にも反応するよう機能が向上されました。
そのほか各種性能がアップしたのにも関わらず、エントリーモデルで141万1300円となり、多くのユーザーから支持されています。
現行となる2代目モデルについて、前述とは別の販売店スタッフは次のように話します。
「現行N-BOXは、独身層からファミリー層、若年層から高齢層まで幅広いお客さまに支持されており、これは乗り心地や安全機能、使い勝手などが高く評価されているからだと思います。
また、お陰様で『売れている軽自動車』というイメージが定着したのか、N-BOXを検討される人では、『売れているというから見に来た』とおっしゃられることも度々あります」
※ ※ ※
N-BOXは必要最低限の性能にとどまらず、競合たちよりも優れた性能を目指したことにより、デビューからすぐにライバルを追い抜きました。
フルモデルチェンジ後もターゲットを広め、各種性能を底上げしたことにより長所を伸ばし、短所を克服することによってさらに販売台数を伸ばしています。
誰もが使い勝手の良いクルマを、高性能、リーズナブルにユーザーへ提供したことが2020年もなお続くN-BOXの快進撃の秘密といえるでしょう。
今回の12月末のマイナーチェンジで、どれほど販売台数を伸ばせるのかにも注目です。
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みんなのコメント
別にいいんですよ、そんなに嬉しいのなら。
ただこの先ずーっとこれだけでホンダを支えることに
なるのは、例えるならコナンだけで支えられてる
週刊少年サンデーみたいなものですからね。