メルセデスが2023年用F1マシンW14を2月15日に発表した。メルセデスといえば”シルバーアロー”と呼ばれるように、銀色の車体であることが多かったが、W14はカーボン地を多様した真っ黒なカラーリングで現れた。
しかし、メルセデスが黒いのは、今回始まった話ではない。最近では2020年のW11、そして2021年のW12も黒く塗られていた。そして現在のメルセデスのF1活動の最初も、真っ黒なマシンだった。1993年のザウバーC12である。
【ギャラリー】”今のメルセデスF1”の第一歩、ザウバーC12:1993年
そのザウバーC12のエンジンカウルにはこう書かれていた。
「Concept by Mercedes-Benz」
ザウバーはメルセデスと共にグループCレースに参戦していたスイスのコンストラクター。そのザウバーが、メルセデスの本格参戦を前に、F1に打って出たのだ。ちょうどフォーミュラEの第5シーズンに、メルセデスの先鋒として参戦したHWAの立ち位置に似ている。
C12に搭載されていたエンジンは、イルモア製V10(2175A)。基本設計は前年ティレルが使っていたモノと大きな変わりはないが、コンパクトかつ軽量のため、マシンの特性に好影響を及ぼした。
またマシンもシンプルなモノだった。当時はハイテクデバイス全盛の時代であり、ウイリアムズを筆頭にマクラーレンやベネトン、フェラーリなどもハイテクで武装していった。そんな中、トラクションコントロールやセミオートマチック・トランスミッションは積んだが、アクティブサスペンションなどには手を出さなかった。
マシンの基本設計はハーベイ・ポストレスウェイト。しかしメルセデスとの反りが合わず、プロジェクト途中でザウバーを離脱。フェラーリを経て、ティレルへと移籍していった。そのためこのC12は、ティレルの1994年用マシン022とよく似ているとも言われる。ポストレスウェイトの離脱後は、レオ・レスがマシンをまとめ上げた。
ドライバーはJ.J.レートとカール・ヴェンドリンガーだ。ヴェンドリンガーは、メルセデス育成ドライバーであり、当時メルセデス”三羽ガラス”と呼ばれたうちのひとりだ。他のふたりとは、ハインツ-ハラルド・フレンツェンと、ミハエル・シューマッハーである。
開幕戦南アフリカGPでは、レートがいきなり5位入賞。サンマリノGPでは4位に入った。ヴェンドリンガーは、なかなか入賞にたどり着けなかったものの、第7戦カナダGPで6位に入ると、ハンガリー、イタリア、ポルトガルと計4回の入賞。イタリアGPでは4位となっている。
この結果、ザウバー初年度のランキングは7位。老舗ロータスと同ポイントだった。
翌年からはメルセデスが本格復帰。エンジンもイルモア製ながら、メルセデス・ベンツの名称がつけられた。ただ、ザウバーが”メルセデスエンジン”で走ったのは、この1994年限り。メルセデスは翌年から、マクラーレンをパートナーに選び、その関係が長く続いていくことになった。
一方のザウバーはその後、フォードZetec-Rを2年使った後、ペトロナス名となったフェラーリエンジンを使うことになった。この関係は2005年までと長く続いたが、BMWが参画したことにより”BMWザウバー”としてF1参戦。2007年にはコンストラクターズランキング2位(マクラーレンの失格処分を受け)、2008年のカナダGPではロバート・クビサの手により初優勝を挙げた。
ただ2009年限りでBMWがF1から突如撤退。ザウバーはフェラーリエンジンを再び手にし、F1への継続参戦を可能とした。フェラーリとの関係はその後より密になり、2018年からはアルファロメオと名称変更。しかしアルファロメオとの関係は今シーズン限りで、2026年からは新たにF1に打って出るアウディのワークスチームになることが決まっている。
ところでC12といえば、他の車両を思い浮かべる方もいるかもしれない。C12型蒸気機関車である。モビリティリゾートもてぎの近くを走る真岡鐵道で、今も1両が現役で活躍している機関車だ。奇しくもこのC12も漆黒である。
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