Xシリーズの末弟「BMW X1」
BMWのラインアップでXと名がつくのはSUV系のシリーズなのは御存知の通り。XシリーズはX5に端を発し、数字が大きくなるほどボディサイズは大きくなり、偶数モデルはスポーティーなクーペタイプとなります。
BMW X1はそんなXシリーズのエントリーモデル。現在でも人気が高いX1がどんなクルマかを探っていきましょう。
2代目となるBWM X1とは
現行モデルはX1としては2代目となり、FRだった先代からFFレイアウトへと生まれ変わりました。
プレミアムメーカーから発売されるコンパクトSUVはライバルがひしめく激戦区。そのなかでFRレイアウトを採用していた先代X1はひときわ個性が高く走りを重視するユーザーからの支持が高かった一方、室内空間の狭さが問題視されていました。現行モデルがFFへチェンジしたのは必然だったとも言えます。
現行モデルのボディサイズは全長4455mm、全幅1820mm、全高1610mm。ホイールベースが2670mm。
ライバルとなるメルセデス・ベンツGLAは全長4415mm、全幅1835mm、全高1620mm。ホイールベースは2730mm。アウディQ3は全長4495mm、全幅1840mm、全高1610mm、ホイールベースは2680mm。現行モデルはライバル車たちとほぼ同じボディサイズを有していることがわかります。
パワーユニットには2リッター直4ガソリンターボ、1.5リッター直3ガソリンターボ、2リッター直4ディーゼルターボと3種類のエンジンを用意(デビュー当時は出力が違う2リッターエンジンをラインアップ)。
トランスミッションは1.5リッターガソリンには7速DCT、それ以外のパワートレーンには8速ATが組み合わされます。
ドライビング・アシストをはじめストップ&ゴー機能付ACC、被害軽減ブレーキなど最低限必要な先進安全装備を備えていますが、メルセデス・ベンツGLAが備えているステアリングアシストを備えたACCなど最先端な機能は備わっておらず残念な部分といえるでしょう。
とはいえ、SUVに要求される室内空間が拡大し快適性を備えた現行モデルは、BMWのブランドイメージを備えていることもありプレミアムコンパクトSUVのなかでも高い人気を維持しています。
FF化によるメリット大! デメリットはあるか
2015年から国内販売が開始された現行型X1。先代モデルとなる初代X1から大きく変わったのが先ほども述べたように駆動方式です。
初代は当時のE91型3シリーズツーリングをベースにした後輪駆動を採用。FRベースのAWDとSUVとしては低い全高や走行性能などでスポーティーなイメージを全面に押し出していました。
一方、2代目となる現行モデルはFFプラットフォームを採用。居住スペースおよびラゲッジ容量はFFレイアウトを採用したことで大幅に拡大する恩恵を受けていますが、気になるのが走行性能。
ただ、BMWのコアバリュー「駆けぬける歓び」をFFベースで実現するためにステアリングの正確性、エンジンのパフォーマンスなどにこだわったことで初代より優れた性能を開発陣は達成しました。
先代のボディサイズは全長4505mm、全幅1800mm、全高1575mm。ホイールベースは2670mm。現行モデルは全幅と全高が拡大したものの全長はFF化したことにより50mmサイズダウンしていることがわかります。
しかし、パッケージングは大幅に向上。先代では狭いと指摘を受けた後席スペースは50~65mmも拡大し、ラゲッジ容量は85Lも大きくなりました。アウトドアやレジャーを楽しむため5人乗車で目的地に向かう場合に荷物を満載できるようになりましたが、先代ではそれすら実現できていませんでした。
また、いまどきでは残念と述べた先進安全装備もデビュー時は誇れる部分でした。エントリーグレードであっても充実した装備を備えていることも先代から進化した点だと言えます。
気になるのはFF化による走行性能の劣化ですが、一般的な走行シーンで先代より劣ることを意識することはないでしょう。FFとなったため前後重量配分は50:50ではなくなりましたが、ステアリングフィールやハンドリングはXDriveの優れた制御も伴って、先代よりワインディングを楽しめるなど、走りの良さでも評判を呼びました。
結果的にFF化による恩恵は多大にあるものの、ネガな部分はない現行モデルは先代からSUVとして大きな進化を遂げたのです。
ガソリン&ディーゼルエンジンの違いを深堀り
現行モデルに搭載されるパワーユニットはいずれも新世代モジュラーエンジン。無段階可変バルブトロニックを備えた直噴システムにターボを組み合わせ低燃費と高い走行性能を両立させています。
3種類用意されるエンジンのうちもっともパワフルなのが20i M Sportなどに搭載されるB48A20A型2Lエンジン。最高出力192馬力(141kW)、最大トルク28.6kgm(280Nm)を発揮しBMWらしい走りが味わえます。ガソリンもうひとつのエンジンはB38A15A型1.5リッター直3。最高出力140馬力(103kW)、最大トルク22.4kgm(220Nm)。ターボチャージャーとエキゾーストマニフォールドを一体成形したことで素早い暖気性能を実現しました。
またディーゼルエンジンはB47C20B型2リッター直4で、最高出力150馬力(110kW)、最大トルク35.7kgm(350Nm)を発揮します。
2016年に追加されたこのディーゼルエンジンは従来型のエンジンと比べCO2排出量を5%削減するとともに燃費も低減。しかも最高出力や最大トルクはいずれも向上した新世代のクリーンディーゼルとなります。
パワーを向上させつつ環境性能を高めるためにエンジン起動直後の低回転域でも効率よく過給機の恩恵が受けられる2ステージターボを採用。ピストン・シリンダーの形状は、ディーゼルのネガとなるノイズを軽減するため、ピストン側が少し膨らんだ形状を採用し、シリンダー内の摩擦を大きく削減することを可能としました。
ガソリンエンジンとは燃料が違うのはもちろん、トルクが大きいことでとくに街乗りなどでの発進加速が優れていることを体感できます。
また燃費の面でもディーゼルエンジンがJC08モード燃費18.4km/L、WLTCモード15.3km/Lであるのに対して、1.5リッターガソリンエンジンがJC08モード燃費14.3km/L、WLTCモード13.0km/L、2リッターガソリンがWLTCモード11.4km/Lと大きなアドバンテージを得ています。
あえてディーゼルエンジンのあら探しをするならば、アイドリング時にカラカラとなるエンジンノイズ。逆に静粛性やエンジンフィールは大げさに言うとディーゼルと言われないかぎりはガソリン車との違いを感じません。
現行X1のベストモデルにディーゼルエンジン搭載グレードを推すメディア関係者が多いのですが、一度乗ると納得できるのではないでしょうか。
X1グレードによる違い
現行モデルのグレードは8タイプ。基本的に搭載されるエンジンに応じたグレードになっています。
X1 sDrive18i
1.5L直3エンジンと7速DCTを装備。セーフティ/セキュリティはすべて標準装備で、BMWの象徴となるキドニー・グリルはマットブラック仕立て。エアコンはマニュアルとなり、マルチファンクション・スポーツレザー・ステアリングホイールが備わります。シート表皮はグリッド・クロス。インテリアトリムはオキサイド・シルバー・ダーク・マットトリムとハイグロス・ブラック・ハイライトの組み合わせ。ホイールは17インチ・アロイ・ホイールでタイヤサイズは225/55R17を装備しています。
X1 sDrive18i xLine
エンジンやトランスミッションは18iと同様。装備の違いはキドニー・グリルがマット・シルバー・バー加飾となり、オートマチックエアコンやパーキング・ベンチレーションが備わります。またシート表皮はクロス・トラックとレザー・コンビネーション・シートを装備。インテリアトリムがパール・ダークとパール・クローム・ハイライトの組み合わせとなります。ホイールは18インチ・アロイ・ホイール、タイヤサイズは225/50R18を装着します。
X1 sDrive18i M Sport
エンジンやトランスミッションは18i、18i xLineと同様。装備の違いはキドニー・グリルがハイグロス・ブラック・バーとなりMエアロダイナミクス・パッケージやBMW Individual ハイグロス・シャドー・ライン・エクステリアが備わります。ルーフレールはBMW Individual ハイグロス・シャドー・ライン・ルーフレールとなり、マルチファンクション _M スポーツ・レザー・ステアリング・ホイール、BMW Individual アンソラジット・ルーフ・ライニング、シート表皮がマイクロ・ヘキサゴン・クロス/センサテック・コンビネーションのスポーツ・シート、インテリアトリムがファイン・ブラッシュド・アルミニウム・トリムとパール・クローム・ハイライトの組み合わせ。ホイールは18インチMライトアロイホイールが装着されます。
X1 xDrive18d Edition Joy+
2L直4ディーゼルエンジンに8速ATを装備。セーフティ/セキュリティはすべて標準装備で、BMWの象徴となるキドニー・グリルはマットブラック仕立て。エアコンはマニュアルとなり、マルチファンクション・スポーツレザー・ステアリングホイールが備わります。シート表皮はグリッド・クロス。インテリアトリムはオキサイド・シルバー・ダーク・マットトリムとハイグロス・ブラック・ハイライトの組み合わせです。ホイールは17インチ・アロイ・ホイールでタイヤサイズは225/55R17を装備。
X1 xDrive18d xLine Edition Joy+
エンジンやトランスミッションは18d Edition Joy+と同様。装備の違いはキドニー・グリルがマット・シルバー・バー加飾となり、オートマチックエアコンやパーキング・ベンチレーションが備わります。シート表皮はクロス・トラックとレザー・コンビネーション・シートを装備。インテリアトリムがパール・ダークとパール・クローム・ハイライトの組み合わせとなります。ホイールは18インチ・アロイ・ホイール、タイヤサイズは225/50R18を装着。
X1 xDrive18d M Sport Edition Joy+
エンジンは18d Edition Joy+、18d xLine Edition Joy+と同様ですがトランスミッションは8速スポーツATを搭載。装備の違いはキドニー・グリルがハイグロス・ブラック・バーとなりMエアロダイナミクス・パッケージやBMW Individual ハイグロス・シャドー・ライン・エクステリアが装備。ルーフレールはBMW Individual ハイグロス・シャドー・ライン・ルーフレールとなり、シフト・パドル付きのマルチファンクション M スポーツ・レザー・ステアリング・ホイール、BMW Individual アンソラジット・ルーフ・ライニング、シート表皮がマイクロ・ヘキサゴン・クロス/センサテック・コンビネーションのスポーツ・シート、インテリアトリムがファイン・ブラッシュド・アルミニウム・トリムとパール・クローム・ハイライトの組み合わせとなります。ホイールは18インチMライトアロイホイールを装着。
X1 xDrive20i xLine
現在受注生産となっている20i xLineは2L直4エンジンに8速ATを装備。キドニー・グリルはマット・シルバー・バー加飾で、オートマチックエアコンやパーキング・ベンチレーションが備わります。マルチファンクション・スポーツレザー・ステアリングホイール、クロス・トラック・クロス/レザー・コンビネーション・シート表皮、インテリアトリムはパール・ダーク・トリム/パール・クローム・ハイライトの組み合わせを採用。18インチ・アロイ・ホイールと225/50R/18タイヤを装着しています。
X1 xDrive20i M Sport
20i xLineとともに現在は受注生産。2L直4ディーゼルに8速スポーツATが組み合わされる。キドニー・グリルがハイグロス・ブラック・バーとなりMエアロダイナミクス・パッケージやBMW Individual ハイグロス・シャドー・ライン・エクステリアが備わります。ルーフレールはBMW Individual ハイグロス・シャドー・ライン・ルーフレールとなり、シフト・パドル付きのマルチファンクション M スポーツ・レザー・ステアリング・ホイール、BMW Individual アンソラジット・ルーフ・ライニング、シート表皮がマイクロ・ヘキサゴン・クロス/センサテック・コンビネーションのスポーツ・シート、インテリアトリムがファイン・ブラッシュド・アルミニウム・トリムとパール・クローム・ハイライトの組み合わせとなります。ホイールは18インチMライトアロイホイールを装着。
X1の主要装備
10.25インチ・コントロールディスプレイ
タッチ・パネル機能付コントロール・ディスプレイは、運転に関するあらゆる情報をひと目で把握することが可能。ステアリング・ホイールのマルチファンクション・ボタン、iDrive コントローラー、タッチ・パネルを利用しての操作や音声コントロールによるナビ、オーディオなど数々の機能にアクセスすることもできます。
ヘッドアップ・ディスプレイ
ドライブ中、前方の道路状況に集中できるよう装備されたヘッドアップ・ディスプレイは車速、ナビによるルート案内の矢印表示、チェック・コントロール、曲名やラジオ局のリストなど、さまざまな情報をフロント・ウインドーに投影。
メーターパネル・ディスプレイ
メーター中央の5.7インチカラー・ディスプレイには、ドライビングに必要なさまざまな情報が見やすく表示されます。
X1の価格一覧
現在、2リッター直4エンジン搭載車は受注生産になっているなど販売の中心はディーゼル仕様となっています。各グレードの販売価格をまとめてみました。
結局X1は買いか否か
メルセデス・ベンツ、アウディ、レクサスなどなどプレミアムコンパクトSUVは世界的なニーズが大きいことで数多くのモデルが登場してきています。
そんななか現行X1は国内での販売開始から5年を経過し、文中でも述べたように先進安全装備などいまどきのプレミアムカーとしては物足りない箇所も出てきました。
ウリとなるスポーツ性もデビュー時にラインアップされていた231馬力の2リッターエンジンは廃止され、いまではディーゼルエンジンがメインとなっています。
ただ、大きい不満箇所がないのも事実。駆けぬける歓びを与えてくれるBMWのエッセンスを楽しみたい方にとって、買って後悔することないでしょう。
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